序章

 そこは白が支配していた。壁も、扉も、物も、服も、そして人も。

 


 「ねぇ、こんなの退屈だよ」

少年は感情を隠すことなく言った。

 「でも大切な仕事よ?もう逃げないでねアニー。」

アニーと呼ばれた少年は、母親に励まされながらもしぶしぶ仕事を進めていた。といっても、その作業は、AかBの二択からどちらかを選択する。ただそれだった。報酬は将来の地位だが、遊び盛りのアニーにとっては、これっぽちも魅力的なものではなかった。

 「・・・それぞれ勝手にやらせればいいのに。」

 「それはダメなの!私たちは無欲の象徴であり、色でいえば純白。

  ここに黒がない理由を知ってるでしょ?」

 「じゃあ僕は無色になる。」

改めて考える。無色ってどんな色?透明?空気?そしてつぶやく。

「知っても知らなくても関係ないか。見えないんだから。

 ・・・ってあれ?アニー?」

そこには少年の姿はなかった。

 「またやられた。」