介護事業者様支援サイト「M-kaigo」オープン


株式会社エム・エム・ピー・ジー総研では、7月23日(火) 介護事業者様支援サイト「M-kaigo」をオープンさせました。本サイトは、介護事業者様のお困りごとを解決すべく、高齢者事業に係る多くの企業様とタイアップし、コンテンツが盛りだくさん!!


介護請求には欠かせない請求ソフトとしてNTTデータの介護請求ソフト「かがやきぷらん2」を搭載。


オリジナルコンテンツとしましては、給与計算ソフトや人事コンサルティングを行っている弊社会員が作成をした「これだけは揃えておきたい人事労務ツール」、「キャリアパスのチェックシート」、更に明日からでも事業運営が可能なように「事業別現場で使える帳票類」等が、無料でダウンロードするが可能です。また、これらを自社用にカスタマイズする必要がある際には、弊社会員がお手伝いさせていただくことも可能であり、その連絡先一覧も掲載しております(カスタマイズサービスは有料)。


さらに、人材不足が叫ばれる業界の中で、すぐにご紹介できる人材一覧(人材派遣会社とのタイアップ企画につき、有料)や、事業開始に必要な事業予定地に関する情報を掲載しています。また、金融機関様にご協力をいただき、融資担当窓口のご紹介や入居一時金、ファクタリングのサービスについても紹介しております。各種情報については、各社の担当者への直接連絡が取れる体制をとっており、欲しいと思う人材や不動産について、即アポイントをとることが可能となっています。


これだけのものが揃って、月額利用料は、利用者50名まで、同一住所であれば、サービスがいくつあっても

15,700円(税別)【初回のみ、初期設定費用として、別途50,000円(税別)を頂戴いたします】。


M-kaigoへのアクセスは、http://m-kaigo.com/ をクリックください。



本サイト利用のお申し込みは、株式会社エム・エム・ピー・ジー総研

電話:03-6228-5256

メール:soken@mmpg.gr.jp

まで、お願いいたします。


また、今後、本サイトに情報を提供いただける企業様も随時募集をしております。現在は、「不動産」「人材」「金融」の3部門となっておりますが、介護事業者様のお困りごとを解決する有用な情報領域については、随時掲載を検討してまいりますので、お気軽にお問い合わせください。お問い合わせ先は、上記連絡先までお願いいたします。



㈱エム・エム・ピー・ジー総研  坂井 浩介



◆TPPの真の狙いは日本の医療・保険市場への本格参入にある!


農業ばかりが注目されるTPP交渉参加に関する論議、確かに狭隘な国土で、非効率的な生産性を強いられる日本の農業に与えるダメージは計り知れない。しかも、食糧の確保は見方を変えれば国家安全保障上の重要課題でもあり、ただでさえ食糧自給率40%前後の我が国にとって農業製品の貿易自由化は日本の農業の「死」を意味する。さらに言えば、日本の美しい風土の崩壊にもつながりかねないのだ。故にマスコミも連日、TPP参画による農業への影響を最重要課題と言わんがばかりに取り上げている。 
しかし、米国の最大のターゲットは、もう一つの閉鎖的市場である医療分野であることを我々は強く認識しなければならない。何故ならその市場規模は農業の比ではないからだ。仮にTPP参加により日本の医療市場が無条件に開放されることになれば、国民皆保険制度はその形を残存させたとしても、その給付内容は大きく変質することとなろう。


小泉政権のDNAをもつ安倍新政権にとってTPPへの参加は必然


安倍首相がTPPへの交渉参加を表明した。これにより日本は6月から本格的な協議のテーブルに着くことになる。国民、マスコミの関心の多く農業に向く中で、医療分野における深掘りがどこまでなされているか不安が残るところだ。すでに半数以上の国民がTPPへの参加は国益にかなうと賛意を示しているが、果たして我々は国民皆保険制度への影響をどこまで把握しているのだろうか。安倍首相は国民皆保険制度は堅持すると公言するも、問題はその守り方である。そもそもTPP参加による医療への影響とは何なのか。ここで思い出さなくてはならないのが、アメリカからの強い圧力を受けた小泉政権下における医療市場開放に向けての動きである。規制改革・民間開放推進会議では、民間企業による医療経営参入・混合診療の拡大が提起された。医療の非営利・公益性を強く主張した厚生労働省サイドが辛うじて歯止めをかけたものの、自らの主張を言質に取られ、結果的に従来の出資持分の解釈を大きく変えざるを得なくなった。即ち、現在の大きく歪んだ医療法人制度は、まさに医療市場への民間参入阻止によって生まれた申し子的存在ということも出来る。第一次安倍政権が2007年1月に発足させた総合規制改革会議も、まさにこういった小泉路線を踏襲するものであった。
昨年末、誕生した第二次安倍政権が小泉路線を踏襲することは上記の流れからも間違いないであろうし、事実、混合診療の拡大等を目指す議論がすでに新政権下での規制改革会議で進められている。言葉を換えれば改革・開放とはまさにグローバリズムそのものであったのであり、小泉首相の遺伝子を有する安倍首相によるTPPへの交渉参加表明は言わば必然であったとも言えるのだ。そして医療もその例外ではないのだ。

医療分野は聖域とはなり得るか

前回は表向き「国内問題」として回避出来た医療市場の開放は、今回新たにTPP参加を巡って「国際的課題」として矢面に立たされることとなった。ヒト・モノ・カネすべての分野で医療市場の開放が進むことになれば、当然医療そのものに、格差が生じ、その平等性において皆保険としての態をなさなくなる、これこそ日本医師会等がTPPへの参加に反対する大きな理由である。具体的に言えば、規制的障壁を除外された中で、最新の医薬品や医療機器が市場に流入し、混合診療によって国民の前に選択肢としてラインナップされることを想像すればよい。さらにそういった最新技術の医療提供を担保する民間保険が大挙参入し、経営難にあえぐ日本の医療機関(病院)への積極的資本投下が、こういった民間保険会社と連動すれば、その姿は極めてアメリカ型のヘルスケアシステムに近づくと言っても過言ではあるまい。誤解を恐れず言えば、日米のGDPで80%を占めるTPPとは「環太平洋」の名を借りた実質的な両国間のFTAにも等しいのである。そして彼らが最大のターゲットとするものは医療・保険を介しての700兆円とも言われる国民資産の取り崩しにあるのだ。近い将来米国資本の入った病院が誕生し、米国の医療保険による高度先進医療が提供されるという時代の到来を我々は覚悟しなければならない。当然、米国資本参加型医療機関の経営収支は大きく改善され、人的資源が収益性の高い医療機関に流れることも十分に予想される。そして、こういった動きは医師の更なる偏在と、医療機関のレベルそのものにも大きな格差を発生させる可能性をも秘めているのだ。
 まさに日本医師会等が危惧する国民皆保険制度の有名無実化である。保護的であった故に守られてきた我が国の国民皆保険制度、しかしながら、一方で医療財源は困窮し、高齢化の更なる進展でその維持すら危ぶまれているのも事実である。医療費の抑制を睨んだ医療の効率的提供体制の構築が叫ばれながらも、フリーアクセスが結果的にこれを阻害する形となり、施設機能の体系化は遅々として進んでいない。結果的には、高齢化に伴う自然増も相まって医療費の増嵩は極限状態に達しつつある。財政的視点に立てば、消費税率を10%としても、医療財源は早晩、再枯渇すると言われるなかで、公的保険給付の枠を縮小し、その一部を民間保険に肩代わりさせるという発想は極めて必然であり、大いにあり得る話なのだ。再燃する規制改革会議における混合診療拡大といった議論は、TPPへの参画を前提としたものと見るべきであり、安倍首相は、農業ほどに医療市場を保護しないとみる方が賢明である。つまり、「国民皆保険制度は堅持する」という言葉の前には、「規模を縮小してでも」あるいは「国民の選択肢を広げた上で」といった言葉が隠されていると私は考えている。

医業経営は完全なる競争社会に巻き込まれる

医療市場を開放するということは、医業経営にあっても競争原理がものをいう社会の到来を意味する。もちろんすべての医療機関が影響を受けるとは考えにくいが、中長期的には、市場競争による優劣、即ち勝ち組負け組がこれまで以上に明確に発生することとなろう。混合診療への取り組みにより、勝ち組の収益力は大幅にアップする一方で、閉鎖倒産に追い込まれるといった医療機関も出現するであろう。また、このような経営環境はよりよい労働環境を求める医療人材の流動化に拍車をかけることになるかも知れない。さらには先進医療を保障する保険会社との相対契約といった新たなマーケティング活動の必要性に迫られる可能性もある。いずれにしても文字通りの「経営力」が強く求められる時代が到来するのである。TPPへの参加により、医療機関経営は民間企業と同様の環境に置かれることを覚悟しなければならない。

いい医療を「金」で買う時代になってもいいのか

言うまでもなく「よりよい医療」が混合診療により提供されることとなれば、富裕層は競ってこれを利用することとなろう。また様々な医療保険商品から所得に応じた保障プランを購入するといった動きも顕著となるであろう。逆説的には従来の公的保険による医療保障との間に明確な格差が生じることとなる。ここに医療保障の平等性は完全に瓦解する。まさに米国型のヘルスケアシステムに国民皆保険制度は浸食されてしまうのである。残念ながら米国式の医療保障制度が、その平等性、経済性において優れたシステムであるとは言い難い。何よりも我が国の国民皆保険制度こそが世界的にも高い評価を得ているのである。公的保険による給付は最低保障のみ、という社会を我々は認めてよいのであろうか。TPPへの無条件参加が医療にもたらす影響の大きさを我々はもっと声を大にして唱え、議論するべきではあるまいか。



※上記はあくまで個人的意見であり、MMPGとしての見解を述べたものではない。












TPPが医療保険制度に及ぼす影響についての考察


            ㈱エム・エム・ピー・ジー総研  坂井 浩介


 野田首相がAPECにおいて事実上のTPPへの参加表明を行った。TPPとは改めて言うまでもなく環太平洋諸国間における貿易自由化を目指す経済的な取り組みをいうものであるが、この中にはモノばかりではなくサービス財も含まれる。また環太平洋諸国と言っても日本の参加が決定すれば、参加諸国におけるGDPの90%を日米が占めることとなり、極めて直観的に言えば、TPPへの参加は米国に対する日本市場の全面開放を意味することに他ならない。

 現在、文字通り国論を二分する形でTPP参加の是非が議論されているが、反対派の主論は農業に集中し、関税撤廃により我が国の農業は壊滅的な打撃を受けるばかりでなく、現在40%を保っている食料自給率は13%にまで下落すると主張している。確かに食料自給率の低下は国家安全保障に直結する問題であり、軽々に結論を出すべきではないであろう。そして何よりも憂慮されるのが、自由化によって大きな影響を被るとされる医療分野である。すでに日本医師会などは猛反対しているが、事実、TPPへの参入が医業経営に及ぼす影響は国民皆保険制度その存続そのものをも揺るがしかねない極めて甚大なものとなる可能性がある。外務省はすでにTPPへの参加問題を巡って混合診療の解禁が議論される可能性は排除されないとし、小宮山厚生労働大臣もこれをも認めている。以下TPP参加が我が国医療保険制度に及ぼす影響について考察する。




◆ アメリカ民間医療保険の参入が市場原理的医療の悪弊をもたらす


 小泉政権時における医療市場の民間開放への圧力は、半ば強引な医療法人制度改革等を通じ、医療そのものが有する公益性、非営利性を強調することによって辛うじて排除し得たが、その後も米国は虎視眈々と日本の医療市場を狙っているといっても過言ではあるまい。事実、2006年の日米投資イニシアティブ報告書においても混合診療の導入や民間企業の医療参入に高い関心を示している。周知の通り、米国は国民皆保険制度を有しておらず、過半の国民が民間保険に加入し、医療サービスの提供を受けているが、営利主導による保険運営が結果的に市場原理型の医療構造を生む結果となっている。混合診療の解禁とはまさにこう言った保険会社の参入余地を我が国医療分野にも確保しようとするものに他ならない。

 一方で、政府は医療費の増嵩に喘ぎ、多くの病院が経営悪化に苦しむ中で、混合診療の解禁が、むしろその双方の問題を解決する糸口となる、という声も聴かれる。確かに混合診療の解禁は往々にして公的保険給付範囲縮小の口実となり、医療機関経営者にとっては新たな収入の途を広げるチャンスともなろう。しかしながらこういった医療市場の自由化がもたらすであろう負の影響も決して少なくはないのである。




◆ 崩壊する医療の公平性


 世界各国の医療制度に精通するパリ行政学院ブルーノ・パリエ教授は、その運営方法をアクセス、サービス、成果、財源といった4つの視点で評価し、それぞれの間に存在する相関関係を指摘しながらも日本の医療制度が世界でもっとも理想的なバランスで成り立っていると断言している。即ち、我が国の医療・医療保険制度はフリーアクセスを維持し、医療従事者数においては欧米に劣るものの、健康寿命世界一という成果をOECD諸国との比較において極めて低い医療費で達成していることを高く評価しているのである。一方で、公的保険制度が極めて限定的であり、民間保険主導であるアメリカにおいてはアクセス、サービス内容は加入する保険によっては大幅に制限され、医療費の対GDP比は世界一でありながらも平均寿命は他のOECD諸国との比較においては決して高くはない。

 MMPGは1999、2001年と保険者主導による医療費抑制効果を検証すべく米国を訪問したが、民間主導における医療費抑制(=民間保険会社の利益拡大)の背景には上述したような保険会社によるアクセシビリティ、医療サービスそのものへの制限といった我が国では考えられないような弊害の存在を確認した。その後、医師、患者双方の反発により、若干の改善は見られたが、これらは当然保険料のアップという形で国民を直撃することとなった。

 もちろん、こういった米国型の医療保険制度が直ちに我が国にもたらされるとは考えられないが、医療機関経営者の中には収入増の手段として民間医療保険会社の指定医療機関としての途を選ぶ者も出てくることとなろう。

 即ち、これまで厳然と保たれてきた我が国医療サービスの公平性がここに瓦解する可能性があるのである。




◆ 海外資本の流入によって国民皆保険制度は崩壊する

 TPP参加によって医療市場の自由化がどこまで進むのかは今のところ全く不透明であるが、TPPに参加した場合、協定内容は国内法に優先するとされる。即ちこれまで徹底的に保護的政策によって守られてきた医療は農業同様、甚大な影響を被ることになるのである。これは、かつての株式会社の医療参入阻止のレベルではない。一例を挙げれば、経営に喘ぐ医療機関に米国企業が資本参入し、経営権を行使しつつ民間保険会社との連携で医療サービスを提供するといった構図は容易に想像出来るのである。経営的に安定すれば高報酬をして、医師をはじめとする医療従事者の確保は容易となる。いうまでもなく、こういった動きが医師の偏在にますます拍車をかけることとなり、さらには公的保険のみによる経営意欲は大きく減退することにもなりかねないのである。即ちここでも我が国の世界に誇るべき医療の公平性は崩壊する可能性を帯びているのである。もし政府がこういった活動を制限しようとすればISD条項(国家対投資家の紛争処理条項)で損害賠償請求されることとなる。これはある意味において主権を失うことにも等しく、TPPとはこういった巨大なリスクも有していることも決して忘れてはならない。

◆医療に関していえば失うものの方が多い

経済団体の指導者がTPPを肯定的に捉える背景には関税撤廃による国際競争力の向上がある。即ち、昨今の中国、韓国の急速な経済成長と相反する形で失いつつある我が国の工業製品輸出を復活させるにはTPP参加が不可欠としているのである。政府の試算によるとTPP参加による経済効果は10年間でわずか2.7兆円に過ぎない。これはGDPの0.5%強に過ぎず、これが事実とすれば、昨今の円高による為替差損にすらはるかに及ばない額に留まることとなる。農業や医療がこのまま保護的政策のもとで生き抜いていけるかどうかについては大いに議論の余地が残るところであるが、こと医療に関していえば、TPP参加の是非に関する議論はほとんどなされておらず、ましてやわずかな経済効果のために医療の公平性が失われることとなれば、経済効果以前に国民の健康に生きる権利すら失われてしまうことにもなりかねないのである。かつて医療法人制度改革が株式会社の参入阻止を図るべく、非営利性、公益性を強調したがために、結果的にほとんどの医療法人が制度上、経過措置下に置かれるといった異常な構図を生み出す結果となったが、TPPによる医療市場の自由化が進めば、厚生労働省が医療への市場原理導入を阻止すべく改めて錦の御旗とした非営利性、公益性そのものが空論化することとなる。つまりTPP参加による医療市場の開放は、これまで培ってきた我が国医療の基本的スタンスすら瞬時にして崩壊せしめる可能性を秘めているのである。今一度言おう。一度TPPに参加すれば、もはや非営利性、公益性といった錦の御旗をもってしても米国企業の参入を防ぐことはできないのである。


※上記はあくまで個人的意見であり、MMPGとしての見解を述べたものではない。