稀勢の里は

初土俵から十両、新入幕とは

破竹の勢いで駆け上がり、史上最年少記録の

第65代横綱貴乃花に次ぐ第2位のスピード出世でした

2004年(平成16)11月場所

新入幕を期に四股名を本名の萩原から稀勢の里に改め

18歳3か月の若者の将来は

誰しもが大関、横綱の器だと確信し期待も膨らむ力士でした

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ただこの後の道のりは順風なものではなく

大関とりには新入幕から42場所(7年)を費やし

史上5位のスロー昇進でした (ただし歳は25歳4か月でした)

また初優勝、横綱への道のりは険しく

度々のチャンスをつかむ者のモンゴル勢の壁にはじき返される場所が続き

強いがあと一番足らずのもどかしい歳月を過ごします

(優勝一歩届かずが12場所もあります)

その稀勢の里が開花したのが

大関在位31場所目(5年1か月)の

2017年(平成29)1月場所でした  (歳も30歳6か月でした)

モンゴル勢の壁であった一角

日馬富士、鶴竜の両横綱は7日目と10日目にそれぞれが休場

10日目を終え単独トップの稀勢の里を

横綱白鵬、前頭の貴ノ岩と逸ノ城のモンゴル力士3名が追います

12日目に逸ノ城が敗れ

13日目には弟弟子の高安が貴ノ岩を破る援護射撃で

稀勢の里と白鵬との優勝争いとなります

14日目

稀勢の里は逸ノ城を破り1差をつけたまま白鵬、貴ノ岩戦を見守ります

何と貴ノ岩が横綱白鵬を破る大殊勲で

呆気なく稀勢の里の初優勝が確定しました

モンゴル互助会もガチンコ貴乃花部屋の貴ノ岩までは及びませんでした

真っ向勝負に徹した稀勢の里の初の勝利でした

            貴ノ岩、白鵬戦                       稀勢の里、逸ノ城戦

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長かった初優勝でした

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初土俵から89場所目の初優勝

大関昇進後31場所での初優勝は歴代のスロー記録です

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第72代横綱稀勢の里の誕生です

65代貴乃花、66代若乃花、67代武蔵丸

68代朝青龍、69代白鵬、70代日馬富士、71代鶴竜

若乃花以来19年ぶりの日本人出身横綱の誕生です

土俵入りは雲竜型

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そして最も稀勢の里が輝いた3月場所の到来です

横綱として初めて迎える2017年(平成29)3月大阪場所

初日から無傷の12連勝

しかし魔の13日目を迎えます  対するは先輩横綱の日馬富士

日馬富士の鋭い立ち合い一気の寄り

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なすすべもなく土俵下に転がり落ちる稀勢の里に異変が

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左肩を脱臼したか負傷を負ったようです

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心配そうに見つめる日馬富士

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誰しもが休場かと思われた翌、14日目

稀勢の里は左肩に大きなテーピングを貼り強行出場

あえなく横綱鶴竜に一方的に寄り切られ

トップを走るモンゴル大関照ノ富士に1差をつけられます

この場所横綱白鵬は5日目から途中休場優勝争いは二人に絞られます

千秋楽

稀勢の里、照ノ富士戦は直接対決ですが稀勢の里が本割で勝ち

さらに優勝決定戦でも勝たねばならず

さらにこの状況下では照ノ富士がはるかに有利でした

まず本割の一番

照ノ富士は手負いの横綱の気迫に呑まれたのか初優勝に堅くなったのか

稀勢の里の左への変化からの小手投げについて行けずにバッタリ

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13勝2敗で並び優勝決定戦に

稀勢の里はもろ差しを許し土俵際まで押されますが

体を入れ替え、またしても捨て身の小手投げで勝利をつかみ逆転優勝を果たします

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22年ぶり史上9人目の新横綱の優勝

稀勢の里2場所連続の優勝です

人目をはばかることなく涙を流し観客もその姿に万雷の拍手が鳴りやみませんでした

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しかしこの怪我をおしての出場が

稀勢の里の相撲人生を大きく変えてしまいました

この当時のブログです


優勝は果たしたもののその後の代償は高く

場所後の4月巡業は全休

不安視されながらも翌5月場所、稀勢の里は周りの心配も無視し強行出場

前半戦を6勝2敗と折り返しながらも

痛めた左上腕部の傷が悪化、9日目からは殆ど左腕を使えず

11日目から途中休場となります

7月場所

横綱審議委員会の場でも稀勢の里の休場容認の意見が出るほどでしたが

稀勢の里はあえて出場

5日間の出場で2金星を配給し6日目から休場に陥ります

せめて誰かが稀勢の里を制止できなかったのか悔やまれます

2017年度以降の成績です

連続優勝後

6勝5敗4休  2勝4敗9休  全休  4勝6敗5休

2018年度(平成30)に入り

1勝5敗9休  全休  全休  全休  10勝5敗  0勝5敗10休

そして迎えた今年   2019年(平成30)1月場所

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初日、小結御嶽海に押し出しで敗れ

2日目、西前頭筆頭、逸ノ城にはたきこみで敗れ

身体が一回転するほどの完敗でした

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あまりの無残な負けっぷりに

早や引退かと思われましたが3日目も稀勢の里は出場します

対戦相手は稀勢の里と同期の東前頭筆頭、栃煌山

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もろ差しを許し、土俵を割ってしまいます

この結果2018年9月場所から不戦敗を除き

8連敗となり横綱ワースト記録を更新してしまいます

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そして1月16日(水)

稀勢の里の引退記者会見が行われました

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横綱として期待に応えられず悔いは残るが

自分の土俵人生には一片の悔いもありません…と

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この問いかけには

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大関と横綱とは違う

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まだまだ先代が見ていた景色は見られませんでした…と

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何度も何度も跳ね返されたモンゴル力士にも

感謝の意を持ち続けていました

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真っ向勝負

愚直な一途な相撲人生でした

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生涯通算800勝496敗

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横綱としての2年16場所

三場所連続休場を含む4場所全休

36勝35敗の成績が悔しさを物語っています

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先輩横綱、貴乃花からのメッセージです

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また現、相撲協会理事長

八角親方(第61代横綱北勝海)もこう語っています

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稀勢の里関

多大なる重圧から解放されゆっくりしてください

ご苦労様でした