2018(平成30)年7月

今年の5月に見た韓ドラ 『インス大妃』 です

少し遠ざかっていますので振り返ってみましょう

朝鮮王朝第5代文宗(ムンジョン)の弟=(スヤン大君=キム、ヨンホ)の

長男(トゥオン君=ペク、ソンヒョン)の許に嫁いだ

ハン、ジョン=ハム、ウンジョ(後のインス大妃)

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首陽(スヤン)大君は兄文宗が病弱でもあり自身は創建で才智もあり

虎視眈々と王位を狙っています

ジョンの野望も大きく、やがては夫、桃源(トゥオン)君が王となり王妃となるのが夢でした

兄の文宗(ムンジョン)が亡くなり11歳のセジャ、ノサン君が

第6代王端宗(タンジョン)=チェ、サンウの誕生です

不完全燃焼のスヤンタイ君


1453年10月クーデター(癸酉青南事件)により朝廷内の権力者

キム、ジョンソ将軍=ハン、インスを廃し、

名実ともに朝廷内の実権を握ります

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年代は1450年代、

日本では室町時代、足利将軍義政(銀閣寺建立)の頃です

スヤン大君の野望はとどまらず、ついには端宗を廃し

自らが第7代王、世宗(セジョ)として王位(38歳)に就きます

ジョンにとっても王妃になる夢の第一難関突破です

しかしジョンの夫、トゥオン君はセジャとなるのですが、

情愛の深いトゥオン君は王位の座に未練も無く

甥を廃した父に盾突き、ついには自責の念から19歳で早逝してしまいます

ジョンは3人の子を引き連れ実家に戻るのでした

10年が経過します

ジョン=チェシラが10年ぶりに宮廷に姿を現します(配役が変わっています)

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(ジョンの野望はまだ胸に残っていました)

次期王となるセジャはトゥオン君の弟、へアン大君ですが

ジョンの思惑はジョンの夫、トゥオン君の子が王位を継ぐのが正統でした

度重なるジョンの出現にチョンヒ王妃=キム、ミスクは警戒を強めるのでした

嫁、姑の確執です

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宮中に力を得たいジョンは

旧知で領義政のハン、ミョンへ=ソン、ビョンホの娘と

次男のチャサン君との婚姻を結び

従兄のハン、チヒョン=キム、ハギュンを官職につけ地位を固めます

しかしその願いも叶わず

セジャ、へアン大君に第一子の誕生です(後のチェアン大君)

事態が悪化しジョンはまたしても実家に戻ります

さらに追い打ちをかけるかのように舅、世宗(セジョ)が52歳で亡くなります

第8代王のへアン大君改め睿宗(イエジョン)は若き王(18歳)でしたが病弱でした

おのずと政務は大王大妃となった母が取り仕切ります

垂簾聴政といわれる政治手法ですが

哀しいかな大王大妃は読み書きができません

ジョンが宮中に呼び出されます

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睿宗(イェジョン)は王位在位1年2か月19歳の若さで亡くなります

イェジョンの子は生まれたばかりの幼子

白羽の矢はジョンの次男で聡明な資質のチャサン大君に

12歳の若き王、第9代成宗(ソンジョン)となります

そのチャサン君の実家にいる頃から世話係として仕えていたのがソンイでした

ソンイは没落両班の娘で、売られて宮中入りした娘でした

少女時代  チン、ジヒ

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チャサン君=イ、ウジュとソンイ=チョン、ヘビン

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朝廷内の権力はチョンヒ大王大妃が握ったまゝです

チョンヒ大后は成宗(ソンジョン)と母であるジョンとの接触を避けさせるため

ジョンの住まいを宮殿外の昌徳宮にするのでした

さらに、成宗のコンへ王妃(ハン、ミョンへの娘)が病弱であったため

側室の話が持ち上がります

ジョンは家柄もよく聡明なチョンヒョンを推しますが

チョンヒ大妃は複数の側室を主張しソンイもその中の一人に加えるため

宮中に呼びます

病弱であったコンへ王妃が亡くなりました

6年が経過します

成宗(ソンジョン)は立派に成人しましたが、依然朝廷の実権は

祖母のチョンヒ大后が握ったまゝです

成宗(ソンジョン)の容貌は亡き父トゥオン君そっくりですが

性格は180度違う豪放磊落でした

トゥオン君、成宗(ソンジョン)二役のペク、ソンヒョン

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成宗の後継王妃が取りざたされてくる中

あくまでもチョンヒョンを推すジョンでしたが

思いもかけずソンイの懐妊が発表されました

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久方ぶりの朗報に宮中は喜びに沸きます

チョンヒ大后も孫の第一子誕生を喜び

ソンイを王妃の座につけると約束するのでした

ジョンの推すチョンヒョンは他の側室に比し幼すぎました

チョンヒョン(ハン、ボべ)  チョン氏(チョン、ヨスク)  オム氏(パク、タミ

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祖母から朝廷の権限も引き継ぎ親政を始めた成宗(ソンジョン)

新たな人材を登用し刷新を図ろうとしますが

母、インス大妃と功臣の扱いで軋轢が生じます

一方、懐妊中のソンイは王の溺愛のみで女官から側室、王妃へと

のし上がっただけにその嫉妬心も異常でした

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流産を祈祷していると言っては側室の住む中宮殿を下女に放火させたり

(かって前王妃の死を祈祷したのはソンイ母娘でした)

成宗(ソンジョン)の御手付きとなった旧知の女官カンナン(ソン、ジヒョン)を王妃付きに命じ

苛め辱め、挙句の果てに自殺に追いやってしまいます

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そういった目にも余る高慢横柄な態度が日に日に増してゆきます

そしてソンイは待望の王子を生むのでした。(1476年10月)

後の第10代国王、燕山君(ヨンサン君)です  

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王子を産み、揺るぎない地位を得たソンイ

(チョンヒ大后、インス大妃等、目上の大妃が宮殿を出、ソンイが女主となりました)

しかしソンイの猜疑心は深くなるばかりで

成宗(ソンジョン)を独占せねば気の休まらぬ日々を送ります

そしてヒョンヒ大王大妃に取り入り、インス大妃にはわざと反抗の素振りを露わにし

チョンヒ大妃とインスの確執を弄ぶ悪女ぶりを発揮します


成宗(ソンジョン)と母、インス大妃の間も

厳格な母の教えに反発を抱いていた成宗でしたが

自分の登用した人材がまゝならず苦悩している頃でした

母は成宗を訪ね悩みを聞くつもりでしたが、

疲れ果て眠る王の横顔を眺め無言で帰りました

このことをハン、ミョンへから聞き、一人では改革はできないと諭されると

成宗(ソンジョン)は母へのわだかまりを捨て和解するのでした

そして成宗はインス大妃を宮殿に呼び戻します

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成宗(ソンジョン)とインス大妃の和解はソンヒにとっては一大事です

それでなくてもソンヒは成宗が新しい側室を置き

また、チョン貴人が懐妊したという情報も入り気が気ではありません

焦るソンイはチョン貴人の流産を祈祷したり

側室の許に王が近寄れぬように策を弄します

そして、この不満をチョンヒ大王大妃に告げようとしますが

ソンイの幼い頃からの育ての親チェ尚宮(イ、ドッキ)が必至に止めます

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血の登ったソンイは見境もなくし

チェ尚宮に乱暴を働き官吏に刑を与え処罰します

憐れにもチェ尚宮はこのことが原因で息だえてしまいました

ソンイの数々の悪行が側室を通しインスの許に届きます

インス大妃はソンイの許に出向き

王子を取り上げ、その世話を長男ウォルサン君の嫁に託し

ソンイを実家に帰し静養させます

全てが自分の蒔いた種です

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インス大妃は、あくまでもソンイの嫉妬深さを是正するための措置でしたが

ソンイにはその真意が分からず反抗するのみでした

遂にインス大妃は徳のないソンイの王妃剥脱を成宗に説きます

王子を奪った上、王妃まで剥脱するのはインスの横暴だと

チョンヒ大后はソンイを庇います

祖母と母の確執の因は嫁のソンイでした

困り果てる成宗(ソンジョン)でした

結論の出ぬまゝ、ソンイが戻ってきました

成宗(ソンジョン)の取った策は王子の養育権は取り上げますが

ソンイを王妃から鬢に格下げする策でした

そうすれば臣下がソンイの王妃復活を言上すれば元の鞘に収まる…と

成宗の温情で窮地を脱したソンイですが

反省するどころかチョン貴人の流産を図り、

妊婦には良くない益母草のお茶を飲ませ渡すのでした

チョン貴人が流産しました

事の真相を知った成宗はソンイの企みだと感づいてはいますが

確証がありません

成宗(ソンジョン)はソンイに絶縁を伝え大殿への出入りも禁じるのでした

しかしそれに怯むソンイではありません

ソンジョンが最近ユン淑儀=(チョンヒョン)の許に通うことを知ったソンイは

矢も楯もたまらずユンの部屋に突撃し

すざましい形相で割って入ります

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そしてもみ合った成宗の顔に引っかき傷を負わせてしまうのでした

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王の身体に傷を負わすとは死罪にもあたる重罪です

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事の重大さに気付いたソンイは

翌朝、インスの許に出向き扉でお顔を傷つけてしまったと虚言するのでした

成宗(ソンジョン)も顔の傷を隠すつもりでしたが

隠しと通せるものではありません

ついにソンイは王妃を廃され庶民として実家に戻されました

幽閉され涙にくれるソンイ

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朝廷内では廃妃に同情する声が多く

学者や庶民が復位を求める座り込みが続きます

インス大妃の腹は王妃廃位に決まっていますが

ハン、ミョンへに相談すると王妃廃位にするならば

王子も廃さねばと具申します

多くの反対の声を押し切りインス大妃はソンイの自決を

成宗(ソンジョン)に促し

王もソンイに賜薬を下す命を発します

ソンイ(28歳)とその母   1482年のことでした

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ウォルサン君の妻に養育されていた王子は

新たに王妃となったチョンヒョン王妃に託されます

病床の身の合ったチョンヒ大后も

この8か月後に息を引き取ります

廃妃ユン氏=ソンイは心のまゝに生きた女性です

これが宮殿で無く、王妃でなければ

素直に夫を愛し健気な暮らしを送ったのではないかと思います

物語は続きますが女3人の葛藤はここまでです

以降はソンイの残した息子の物語となります

インス大妃の孫でもあります

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12年後

1494年成宗(ソンジョン)は崩御し17才になった

燕山君(ヨンサン君)が第10代王に即位します

1年が経っています

ヨンサン君(チン、テヒョン)は連日、芸人を呼んでは夜遅くまで遊び興じています

ヨンサン君の胸の内は

祖母のインス大后も養母のチョンヒョン大妃(淑儀ユン氏)も

弟のチンソン大君(チョンヒョンの子)ばかりを可愛がるのが癪に障ります

夜な夜なの奇行は、祖母や大妃への鬱積であり

孤独感からでした

周囲はそんな王の奇行に眉をひそめるばかりです

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ヨンサン君は宮中の過去を探りだします

ヨンサン君は父の二番目の正室が廃妃となった原因を質すと

誰しもが押し黙ります

廃妃ユン氏の話は禁句でした

秘密、事実は隠し通せるものではありません

ユン氏が嫉妬から父である王の顔に傷つけた

その息子が自分であることが分かるとヨンサン君は

今までの自分の疑念を納得するのでした

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ヨンサン君は自身の出生の秘密を知り

罪人の息子であるという罪悪感に対し、母の罪を洗い流すか

インス大后と戦うか悩みます

ヨンサン君の取った策は正面切って戦うのではなく

まず学者の粛正からでした

そしてヨンサン君の最終の目的は母を見殺しにした

大后の手先となった重臣と母の敵、インス大后でした

次々と起こる粛正の嵐に宮殿の人々は恐怖に陥ります

インス大后は故ハン、ミョンへがいった

廃妃するなら王子も共にせねばという言葉を思い出すのでした

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ヨンサン君の奇行、蛮行は増すばかり

今度は女遊びに夢中になり当代の売れっ子妓生

チャン、ノスク(チョン、ソミン)を宮中に招き入れます

政務も私生活も暴虐極まる暴君ぶりです

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朝鮮王朝史上前例のない暴君と言われる所業は続きます

中でも亡き母と敵対した側室への復讐

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母を罪人に祭り上げたと称し

かっての功臣の亡骸を掘り起こし首をさらします

さらに諫言する重臣をことごとく斬首するという

人道を外れた所業の数々を行います

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そして最後の本丸、祖母インス大后と対峙します

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鬼気迫る両者の形相です

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粛正の名のもとに宮中に、暴走の嵐を吹かせ

亡き母、廃妃の怨念、追尊を実現したヨンサン君

心労によってインス大后は倒れ息を引き取ってしまいます

1504年5月   66歳の生涯でした

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ついに宮殿を制圧したヨンサン君ですが

インス大后死去の2年後の1506年9月

臣下による宮廷クーデターにより失脚、江華島に配流され王位も剥奪されました

また正妃慎氏も廃位、残された王子は処刑、王女は奴婢となります

ヨンサン君の恋人で会ったチャン、ノスクは斬首刑となっています

そしてヨンサン君は配流先で2か月後に30歳で亡くなります

後継の王には

成宗(ソンジョン)の次男でありヨンサン君の異母弟である

チンソン大君が就任します

第11代王、中宗(チュンジョン)です

若き頃から政治に関心を抱き、セジャ妃、大妃、大王大妃と上り詰め

朝廷を操ったインス大妃の一生ですが

政治に長けた彼女にも、血のひく孫への思いが仇となり

史上稀に見る暴君の誕生を生んでしまいました

政治に情は禁物です

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ありがとうございました