2017年(平成29)年11月

韓国映画 『弁護人』 は

2013年(平成25)公開の韓国映画です

翌年の第35回、清龍映画賞で作品賞

主演男優賞 ソン、ガンホ  助演女優賞 キム、ヨンエ が受賞

同年、第51回大鐘賞でもキム、ヨンエは助演女優賞を受賞しています

127分

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この作品は1981年(昭和56)軍事政権下での韓国で

実際に起きた冤罪事件、桂林事件を題材としています

後の韓国第16代大統領,

故ノ、ムヒョン大統領(1946年~2009年)が主人公です

韓国内での観客数は歴代8位の1,100万人を超えました

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物語りは1971年(昭和41)に遡ります

韓国釜山

高校を出て建築現場でアルバイトをしながら

司法試験の勉強をしている一人の青年がいました

ソン、ウソク=ソン、ガンホ(王の運命、歴史を変えた八日間)

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困窮の生活の中、司法試験の参考書も売り払い

妻の出産費用も捻出、出来ないまま

馴染みの食堂のつけを払おうかどうか、

もらったばかりの給料袋を見つめています

迷った結果、ウソクは代金を払わずに逃げ出し

売った参考書を買い戻し試験勉強を再開しようやく夢を叶えました

高卒というレッテルの付きまとう裁判官生活を数年勤めた後

ウソクは釜山で弁護士事務所を開業します

今まで司法書士の領域であった不動産登記の仕事が弁護士にも解禁となり

まだ誰もが手掛けていない仕事に着手します

ところが韓国の不動産ブームもあり大賑わい

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一躍、釜山でも名の知れた弁護士となり

当初、弁護士の名折れだとか、恥知らずと陰口をたたいていた

弁護士連中も登記事業に参入するありさまです

左はウソク弁護士事務所のパク、ドンホ事務長=オ、ダルス(国際市場で会いましょう)

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富を得たウソクには

どうしても手に入れたいマンションの一室がありました

その部屋は、かってウソクが建設作業に携わり

この部屋の壁に絶対に諦めるなという文字を刻んだ一室でした

そしてウソクは

かって食い逃げしたクッパ店にも家族同伴で謝罪に向かうのでした

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女店主のチェ、スネ=キム、ヨンエ

立派になったウソクとの再会を喜び抱きしめるのでした

真ん中はスネの一人息子パク、ジヌ=イム、シワン

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その日以来

ウソクは外食というと必ずこのクッパ店に頻繁に通います

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この日もウソクは高校時代の同級生と飲み数人で

スネの店に入ってきました

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TVでソウル大学の学生デモが映し出されています

冷ややかな目で見るウソクは

勉強したくないだけだと一蹴します

同級生で新聞社に勤めるイ、ユンテク=イ、ソンミンは

事の重大性を認識しょうとしないと批判し

さらにウソクの学歴コンプレックスに言及し

二人は乱闘となります

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店は荒らされ

ウソクは金で解決しょうとしますが息子のジヌは受け取りません

酔ったウソクはジヌに対し片親の礼儀知らずと浴びせてしまい

怒ったスネはウソクを店から追い出すのでした

反政府活動の波は

ソウルから各地方にも移り釜山にも押し寄せてきました

1981年

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その犠牲者となったのがスネの息子、大学生のジヌでした

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文学の読書会を開いていたところ

公安警察により共産主義の疑いを賭けられ捕縛されました

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長い間、突如消えた息子を探し続けたスネは

一か月後ジヌが拘置所にいることを探し出し

ウソクの許を訪ねます

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今まで税法専門の金儲け弁護士のウソクでしたが

この事件により

人権派弁護士へと変身していくのでした

ウソクが調べ出すと

ジヌ達の読書本は共産主義にほど遠い本で

国家権力によるでっち上げの犯罪です

身柄を拘束、拷問し嘘の自白調書を出ちあげた

組織ぐるみの犯罪でした

公安の警監チャ、ドンヨン=クァク、ドウォン

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ウソクはスネと共に拘置所に向かいジヌと接見します

やせ細り怯えた表情のジヌ

その体には拷問による無数の痣が…母親のスネは失神してしまいます

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ウソクはこの理不尽な現実を前に

冤罪を晴らすために弁護を決意するのでした

裁判が始まります

高校時代の同級生、新聞社のユンテクがウソクに近寄り

出来レースだと言って立ち去るのでした

国家権力を前に裁判長と検事は落としどころを事前に相談し

弁護人も及び腰というのがこの種の裁判でした

しかしウソクの心に揺るぎはありません

裁判が始まると起立させられている被告人の

自由と着席を要求し

共産主義嫌疑の書物の解読、証拠のいい加減さを鋭く突きます

第1回目の公判はウソクが終始優勢に攻め続けました

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2回目、3回目と公判は行われ

ウソクは拷問の事実を明かそうと証拠を探ります

拷問場所を探し出すと

そこには公安の警監チャがいました

ウソクはチャに手荒く痛めつけられ裁判から身を引くように脅されます

しかしウソクは怯みません

4回目の公判ではジヌを証人として召喚

拷問により嘘の自白調書が強要された事実が生々しく語られます

被告の大学生たちは皆が涙を流し

被告家族の眼は傍聴席に座るチャ警監に注がれます

次回はチャ警監の証人喚問を導き出しました

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ウソクは公判に手ごたえを感じていましたが

同時に国家権力の脅威が身に迫りつつありました

本業の弁護士事務所への締め付け、嫌がらせ

家族への脅迫電話

赤野郎と叫んでは卵を投げつけていく民衆

そんなウソクに黙ってスーツを手渡したのは

同級生の新聞記者ユンテクでした

5回目の公判はウソクとチャの直接対決です

しかし傍聴席には公安の関係者しかいず被告側は

当局の不当な理由で入れません

チャ自身は愛国心を盾に自己弁護をしウソクを挑発します

怒りが爆発したウソクは声高に叫びました

国家の主権は国民にあり、すべての権力は国民に由来する…と

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結局、国家ぐるみの犯罪で

チャに決定的な打撃を与えることもできず

結審は明後日と申し渡されました

ウソクが事務所に帰ると

事務所は不当な脱税容疑で荒らされ放題

絶望感を感じるウソクでした

朗報が届きます

拷問を受けた大学生の治療に当たっていたユン軍医が

証言を申し出てきました

ユン軍医の証言により形勢は一気に逆転です

しかし公安当局と検事は裏で手を回し

ユン軍医の脱営の罪をでっち上げ

証言の削除を求め、裁判長もそれを認め

結果、ジヌたち大学生は刑を科せられてしまいます

国家権力に立ち向かったウソクに

スネは感謝と信頼を改めて寄せるのでした

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その数年後

ウソクはジヌたちと共に公安の犠牲者になった

大規模な追悼集会を開催していました

警察隊を前にひるまず集団をリードしているウソクは

武力により鎮圧され拘束されてしまいます

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ウソクの裁判の弁護は先輩のキム弁護士

キムは開廷を前に弁護人全ての読み上げを裁判長に願い出ました

裁判長に手渡されたのは何枚もの弁護人名簿

一人ひとり読み上げていくと

傍聴席に座る弁護人が返事と共に起立していきます

検察側は驚きの表情を隠せません

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釜山の弁護士組合に所属する

142名の内99名がこの公判に駆けつけたのでした

ノ、ムヒョン大統領、若き頃の逸話です

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韓国民の強権打破

政治意識は相当なものです

長い物には巻かれろ式のわが国

平和ボケだけではすまされませんね



評価  ★ ★ ★ ☆