俺の仕事のお客さんだった。
聞くと、関東方面から出てきて飲み屋をするとの事。
俺からしたら、こんな九州の田舎で、なんで?と思った。
オーナーと店長、二人とも個性ある人間だった。
個人的には最初から好感が持てた。
最終的には色々な理由がからみ、お店をたたみ、あちらに帰るとの事。
その時点で数ヶ月分のお金はもらえていない。
よくある話だ。
夜の世界てのは、昼間より、お金は動くが波が激しい、良いも悪いも一瞬で決まるし、そうでない事も多々ある。
お金もらえないなんて事はザラで、ある程度覚悟しながら仕事はしないといけない。
俺は特に店長に強い関心があった
福岡での生活も終わり近く、二人で飯を食いに行こうと誘った、そんな気分でない事もわかっていたが、少し強引に誘った。
せっかく来て、店をやめたから帰るではなんか、かわいそうやし、福岡て良い所だと伝えたかったのかもしれない
後にも先にも、お客さんと、プライベートで酒を飲んだのはあれが最後だ。
店長は、俺にお店の件でお金払っていない事もあり、遠慮していたし、恐縮もしていた、しかい一度たりとも 誰が悪いとか言わず、愚痴も言わす、ただ 「すいません、いつか必ず払います」 とだけ言っていた。
夜の世界は厳しい。
約束なんてあって
ないようなもんだ。
ましてや、帰るのは関東。 遠い。
お金は気にせず、せっかく福岡きたんだから、最後一瞬くらいは「楽しんで」
と思う気持ちで、酒を飲んだ。 楽しかった
色々な話した。
別れて何度もメールをもらった。
数ヶ月後
バシッと入金
。これは稀なケースだ。
店長の強い意志がないと絶対できない話だ。
ましてやオーナーの掛売。
人間てのは逃げる
この場合、正確に言うと彼に責任はない。
彼は逃げなかった。
今富士山のふもとで、家業で民宿をされている、
山梨県山中湖村だ。
今年、お中元に
沢山の葡萄と桃を送ってきてくれた。
日本一の格別な味わいだった。
また会う約束をした。
人生すてた
もんじゃない。