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文章喫茶

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お題「メモ帳」で書かせていただきました。





 机の上に一冊のメモ帳が置いてあった。ピンク色で、花柄の模様の着いたデザインのごく普通のメモ帳だ。

「私の嘘」

 花柄で飾られた表紙には、薄い字でそう書いてあった。


 メモ帳が置いてある机は、とある病室に存在しており、そのメモ帳の持ち主はその病室で寝ている患者だった。
 一日の終わりに、彼女はそのメモ帳に今日ついた嘘を書き記している。入院している事もあり、誰にも嘘を言えない日もあるのだが、そのメモ帳には、驚くほどビッシリと文字が書き記してあった。

「体調が良い」

 それは彼女のメモ帳に、特に多く書かれていた言葉だ。どういった経緯で書かれたモノなのかは解らないが、彼女はそう嘘をついたのだ。
 彼女が嘘をメモし出したのは、入院生活が多くなってきた頃からだった。それまでも頻繁に検査入院等をしてきたのだが、本格的な長期入院し出したのは彼女が14歳の誕生日を迎えた頃からだった。

「全然平気、辛くなんてない」

 震えた字でメモしてあるその言葉は、嘘だと認識しながら読むには、とても残酷な一文だ。そこには彼女の強がりや、心配掛けまいとする気持ちが汲み取れる。

「残さず食べた」

 これは嘘ではない。しかし、このメモ帳に書かれているのはすべて彼女のついた嘘。その矛盾はこの続きに書かれた一文で解かれる。

「それに、吐かなかった」

 なぜ彼女が日記では無く、このメモ帳と言う物を選んだのか、その理由については先に紹介した一文で説明している。

「辛くなんてない」

 そう。それは辛くないと言う嘘から読み取る事が出来る。辛いという思いを、日記という書き残せてしまう物ではなく、メモ帳というメモするだけの紙に書き、書き終えて必要としなくなれば捨ててしまえるという理由からだ。
 そしてもう一つ。それは彼女の願いでもあるだろう。必要としなくなれば捨ててしまえるという点だ。このメモが必要では無くなる事は、彼女の入院生活が終わるという事と同義である。

「私は死なない」

 メモ帳の最後の紙に、小さくこの一文が書かれていた。このメモ帳に書かれているのは、全て虚偽。この一文も、もちろん嘘である。
 このメモ帳が置いてある病室に、人の姿はない。綺麗にシワを伸ばされたシーツ。何も入っていない花瓶。ネームプレートには誰の名前も書かれていない。



「私は不幸だった」

 メモ帳の裏表紙にはしっかりとした字で、そう書かれていた。







 短編専門になろうかな、何て考えちゃっているMASAでした。
お題をいただいて書いてみました!


 目の前に広がる世界から色が消えた。一匹の蝶が優雅に舞っている。色を失った世界で尚、唯一自分の色を失わないで居られているのだろうか。そうでも無ければ、あんなにも優雅に舞うことなんて出来ないはずだ。
「凄いよね。あの蝶は自分の色を忘れないでいられるんだ」
 蝶に見とれていたら、不意に横から声が聞こえた。男にしては少し高いが、女にしても低い。顔を見るまで性別の判断が出来ない。そう思い、私は声のした方へ視線を送る。
「初めまして。君もこの蝶の魅力に気付けた人なのかい?」
 目が合うと、“彼女”は微笑んだ。綺麗な長い髪が風に揺れている。凛々しい顔立ちをしていて、とても美人だ。ただ一つ残念なことに、その綺麗な髪の色を私は知らない。
「あなたは誰?」
 今度は私から質問をしてみた。
「私はね、蝶になり損ねた人間さ」
 彼女は自嘲混じりな笑みを見せる。“蝶になり損ねた”と云う表現にただならぬ何かを感じた私は、それ以上私からは何も聞かないようにしようと、心に決めた。
「そうだ。君に良いことを教えてあげよう。人はね、自分の色を思い出せた時、あの蝶のようになれるんだ。素敵だろう?」
 色を思い出せれば私も彼女も、あの蝶の様にこのモノトーンの世界を優雅に舞うことが出来るんだろうか。もしそうなら、彼女は自らの色を思い出せなかったと云うことなのだろう。しかし、言われてから気が付いたのだが、私は生まれてからずっとこのモノトーンの世界で生きてきた。だから私は自分の色を思い出すことは永遠に無いんではないだろうか。
「私には、元々色がないの。だから思い出すのは無理よ」
「ふふ……。心配はいらないよ。思い出せないのなら、探せばいいだけの話なのだから」
 彼女がそう言うと、訳が分からない事でも何故か納得してしまう自分がいる。彼女に感じた不思議な魅力とは、こう言う所なのだろうか。
「私にも、見つけられるかな?」
「それは分からない。見つけられるかは本人次第なんだ。こればかりは何とも言えない」
 彼女は困ったように笑い、肩を竦める。何だかその仕草が可愛らしくて、彼女の見た目とのギャップに私は笑ってしまった。
「ふふ……全く、君は失礼な人だな」
 今度の彼女は、私に釣られて笑い出したようだ。彼女に対する私の中の印象がかなり変わり始めた。ある種の恐怖すら感じていたはずなのに、今は自然に同じ人間の女の子だと理解できる。
「あの、あなたのお名前は何て言うの?」
「そう言えば、自己紹介がまだだったね。私の名前は“白”」
 “シロ”それは色の名前だ。私は可笑しな想像をしてしまう。彼女と言う存在の正体が実は色であるという。
「変わった名前ね。でもそれって色の名前よね?」
 きっとそれがキッカケだったのだ。私が本当の彼女の色を思い出させてしまったのだ。
「ふふ……。ありがとう。これでようやく、あの蝶の様になれるんだ」
 彼女は私に一礼して、真っ白な蝶になった。綺麗な髪は消え、代わりに大きな羽根になる。優雅に舞う彼女の姿に、私は様々な感情を抱いた。羨ましいと思う気持ちや、寂しいという気持ち、それこそ数えられない程に。
「綺麗な蝶々……」
 そんな時、私の横に新しい“色”がやって来た。そこで私は知ることを許された。これは世界に色が戻るように繰り返される“再生の物語”なのだと。

ーー羨ましいよね。あの蝶は自分の色を思い出せたんだよ。




終わりです。
かなりの短編になってしまいましたが、この方が気軽に読めるかな?
今度は長編や中編に挑んでみようと思いますので、その時はまた読んでくださると光栄です。
だいぶ久しぶりの更新になってしまいました、、、

とまぁそれはともかく、最近アニメの魍魎の匣を見たのですが、キャラデザがコードギアスなども担当したCLAMPだったせいもあり、主の目に止まり見始めたのですが、これがまた面白くてですねぇ見始めたら止まらなくなりました(笑)

内容は、ちょいと風変わりなミステリーで、事件に非科学的な(霊的な)要素が入っているのでは?と臭わせる作りになっていて、そこがまた面白いです。

以前、俳優の堤真一さんが主演で実写化もされていましたし、それなりに知名度の高い作品ですし、内容も面白いので、実写もアニメもお勧めします!!