レズビアンライフサポーターって？ ちょっと長いけれど、自己紹介
撮影：田中舞さん
牧村朝子です。まきむぅって呼んでちょうだいね。
タレント・レズビアンライフサポーターとして、「わいせつじゃなくて、たいせつ」な性のことを書いたり話したりするお仕事をしています。
ところでいま、レズビアンライフサポーターって何よ、って思われたことと思います。せっかくのご縁です。よければ、少し長いけれどきちんと、自己紹介をさせてくださいね。
撮影：イシイさん
小学校四年生で、クラスの女の子に初恋。しかし、そのせいで近親者がいじめに遭い、以後レズビアンであることを隠してきました。
以降、男性を好きになろうと、「いい彼女」を演じて、12年間男性とお付き合いしてきました。しかし、相手の男性を尊敬するからこそ、その肉体を愛することができない自分を責め、激しい自己嫌悪に陥っていました。
ここには居場所がない、どこか違う世界に行きたいと、男装をしてみたり、試行錯誤の毎日でした。
「男の人を喜ばせられる、杉本彩さんみたいないい女になりたい。」そういう想いもあり、芸能界入りを志望。結果、2010年度ミス日本ファイナリストに選んでいただくことができました。早速、杉本彩が社長を務める芸能事務所オフィス彩に履歴書を送り、いよいよ面接の日。
そこで言われた言葉は……
「あなたには色気がない。セクシーなランジェリーとピンヒールと香水、女の三種の神器をそろえて、パートナーと幸せに愛を交わして磨かれなさい
」結果、事務所には不合格。やはり、嘘をついた自分で恋愛してきていたことが原因かと、落ち込みました。
しかしその面接の帰り道、すぐにランジェリーとピンヒールと香水を買い求め、事務所に何度か電話をした結果、「杉本彩主催のタンゴパーティに来るように」との返事。
撮影：TAKUさん
ドレスを用立て、緊張してパーティ会場に向かうと、そこには杉本彩さんのお姿が。泣きそうになるのをこらえてご挨拶すると、彩さんは微笑んで乾杯してくださいました。
そのおかげで勇気付けられ、私は初対面の男性たちと、踊ったこともないタンゴを必死で踊りました。後日事務所に連絡し、「所属させてもらえますか？」と尋ねたところ、合格となりました。
芸能活動を始めても、レズビアンであることは隠し続けました。しかしある日、レズビアンであることを明るくオープンにして生きている友人と出会い、その明るい笑顔と正直な態度に衝撃を受けます。
「女が好きじゃないフリをするのは、努力じゃなく、自己否定だ」そう気づいたわたしは、やっと好きな女性に告白して交際を始めることができました。
相手はフランス人の女性。同棲、渡仏を経て、今はフランスの法律で結婚、パリで新婚生活を送っています。
テレビ番組でのカミングアウト後、日本初のレズビアンタレントとしてレギュラー出演。娯楽と情報提供を通して、ひとりひとりが自分らしくいられる社会に貢献することを目標に、タレント/レズビアンライフサポーターとして活動しています。
日本にはまだ、レズビアンを公表したうえで、冠番組を持ったり雑誌の表紙を飾るなどした芸能人がいません。そういう人がいれば、レズビアンという存在に対するイメージが湧きやすくなります。それに、社会活動家がどんなに叫んでも聞いてもらえないことを、お茶の間に楽しくわかりやすく届けることができるのです。
また、レズビアンのための活動をしていくことで、レズビアンに限らずとも、
「普通」「常識」という言葉に息苦しさを感じる人いつも愛想笑いをして、本当の自分でいられない人そういう皆さんがいつか本当の笑顔を取り戻せるような、多様性を認める社会をつくるために、少しでも貢献できればと思っています。
「彼氏いるの？（とりあえず聞こうかな）」「ううん、いない……（本当は彼女がいるんだけどな。）」「可愛いのにもったいない！（褒めてるつもりだよ）」「そんなことないよ（あぁ、また嘘ついちゃった……）」……こんな社会、息苦しいですよね。これがいつか、
「恋人はいるの？」「うん！今度、彼女のお母さんを紹介してもらうんだ！」「本当？よかったね！」こんな会話が普通に交わされるようになっていくといいな、と思って活動しています。
読んでくださって、ありがとうございました！
レズビアンの方はもちろん、どんな方でも私は、他人に具体的な危害を加えない限り、自分らしくいてほしいと思います。人に話すことで、考えがまとまることもありますから、お便りがあればお手紙でもブログでもツイッターでも、お気軽に送ってくださいね。匿名でもかまいません。お返事しきれないこともありますが、全てきちんと目を通しています。
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