元夫は、普通で考えたら耐えるようなことを
耐えることができない人でした。
だから、いっしょにいて私に対しても
ムカつくことがあれば、場所を構わず怒鳴る人でした。
普通であれば、「恥ずかしい」と思って、
その場は耐えるはずなんですけど、
デパートであろうと、スーパーであろうと、
気に入らないことがあったら、すぐに大きな声を出して、
私が
「ちょっと、静かにして!」
「そんな大きな声出さないで…!」
と言っても、お構いなしでした。
お構いなしというか、
余計に声が大きくなって、
「なんや?またまりなの『常識的に』か?
そんなもん、俺には関係ないからな!
通用せえへんからな!!」
と言うような人でした。
常に「人の上にいたい」と思う人で、
この「上にいたい」というのは、
適切なリーダーシップを発揮したい、という意味ではなく、
「自分がいちばんでいたい」
「自分が上から言いたい」
という意味であることは明白でした。
自宅から少し離れたところに、人気のラーメン屋さんがありました。
そのラーメン屋さんの大将は、まだ若くて、でもとてもがんばっていて、
私もいつも応援していました。
ある日、元夫といっしょに行ったとき、
大将が自分のお店のアルバイトスタッフのことをグチり出したんです。
「今日から来るって言ってたアルバイトのコが、
お店が始まる10分前に『行けません』って、1日も働かずに辞めたんですよー。
もう今のコってどうなってるんですかねー、わかりませんわー。」
という感じで、それはでも、真剣に悩んでいる…という感じではなくて、
ほんとに元夫に対して、
「こばやしさんところも、そんなことあります?」
という感じで、共感してもらえるんじゃないかな…と思っていることが
感じられるような軽い口調でした。
それなのに、
「それは大将がな…」
といきなり説教を始めます。
私は隣でラーメンをすすりながら、
「いやいや、大将は本気でアドバイスなんて求めてへんって!」
と思っていました。
大将も案の定、「えっ…と……」という感じで、
「別にそんな真剣なアドバイス求めてませんけど…」という様子でした。
それでも、当の本人は、自分に悦に入っているというか、
もう止められないんです、「オレ、すごいやろ」って感じが。
もう私は恥ずかしくなってしまって、
ラーメンを食べ終わって、お店を出るときに、
大将に向かって、
「ほんとごめんね」
と、片目をつぶりながら、手を合わせる仕草をして出ました。
こんなことが、あらゆるお店でどれほどあったかわかりません。
私は悦に入って、そんな話をしている彼を止められませんでした。
先ほども書いたように、どこで怒鳴り出すかわからないからです。
だから、黙っているしかなくて、
それも妻として恥ずかしく、情けなかったです。
店を出て、私が
「大将は、別にこばやしさんのアドバイスを欲しがってたんじゃないと思うよ。
ただ単に、飲食店の先輩であるこばやしさんに、
『俺もそういうことあったわー。でもお互いがんばろな』って
言って欲しかっただけやと思う。本気で悩んでたら相談してきはるやろ。
忙しい営業中にそんなこと相談するわけないやん。」
と言ったら、
「俺の方が長く飲食店やってるんやから、
そんなもん教えてあげなかわいそうやろ。」
と、「もうほんまに何目線やねん?お前、ラーメン屋やったことあるんか?」と
私は呆れることしかありませんでした。
まぁ、回転寿司に行ったときも同じですけどね、
とりあえず、飲食店については恥ずかしい気持ちになることが多かったですね。