話題の【ストリート・キングダム】



久しぶりに劇場で観たいと思える邦画だったので、初日レイトショーに行ってきました。

そこら辺に散らばっていた小さなエネルギーが集まりだし、何かが始まる事への期待を感じさせる前半と、これからって時に分解してしまう後半の喪失。

この高低差が心地良い。


まぁ実のところ既にピストルズがロンドンでやっていた事に似ている。



ピストルズはマルコムとヴィヴィアンというスポンサー、というか詐欺師がいたからツアーも出来たしレコードも出せたが、シドの逮捕とロットンの解雇で呆気なく終わる。


洋の東西を問わず、インディペンデントでやりたい事だけをやり続けられる無敵モードなんて儚いものです。
しかし、清志郎や坂本龍一の様に、メジャーとマイナーを往来しながらも、やりたい事を貫く人もいるのも確かだ。



周期的に訪れる昭和カルチャーブームの一つとして捉える向きあるけれど、それだけではない深みが感じられるのは、脚本を担当したクドカンの愛情なのではないでしょうか。


この物語は78年に東京で興った小さなカルチャーを題材にした青春物語にも見えますが、「あの頃は良かった」とか、「昔の方が勢いがあった」などの懐古する薄っぺらい言説に強烈なカウンターパンチを食らわしています。

貴方達が語る「過去」は、そんなに良いものでしたか?と。

♯ストリート・キングダム

2/3 大阪での初日に行ってきました。



Wikipediaでは『幾重にも重ねられたノイジーなギターサウンドと、甘く脱力的な歌い方の男女のボーカルのメロディーを融合させ、サンプラーエフェクターなどの機材も駆使し強くディストーションを掛けた幻想的なサウンド』と紹介されています。

しかし実際はかなり小さめのウィスパーボイスで、しかも、ライブでは全く聴き取れないほどの音量です。


この雰囲気がそのまま映画になったのが、ソフィア・コッポラの[ロスト・イン・トランスレーション]



異国の地トーキョーで、コミュニケーションが取れないストレスで憂鬱な日々を過ごしていた見知らぬ男女の、出会いと別れが上手く描かれています。


異国の喧騒の中

偶然の出会いから始まる淡く不確かな関係


曖昧で不安定な爆音ギターの演奏

しかし、その中に確かに聴こえる甘美な歌声


リーダーのケビンが劇伴を担当したことからも、コッポラがマイブラの音楽性をヒントに撮った作品かなぁと思います。


入口で耳栓を頂く配慮に感謝しながら、2階指定席へ。



一階スタンドエリアで爆音を聴くには歳をとり過ぎたので、2階席でゆっくり観れるのは有り難かった。



初日だったせいか、何度か演奏中止してやり直す場面もありましたが、2時間強のショーはとても素晴らしいものでした。






リコリス・ピザは69年からチェーン展開していたレコードチェーンの名称ですが、こちらは『ファントム・スレッド』などの監督、ポール・トーマス・アンダーソンが撮った切ない青春映画です。



このなかでちょっと気になったシーンがありました。
とあるパーティーシーンで、主役の女性が「ニール・キャサディを探しに来たのよ」という台詞です。
もちろんジョークだし、『路上』が古典文学になっているアメリカ人ならクスッとした人も多いはず。
ただ日本だと関心がある人ぐらいしか伝わらないと思うと、残念だったり愉快だったり。

PTアンダーソン監督流の「解る人だけに解ればいい」趣向が散りばめられている、所謂、やりたい様にやらせてもらった作品。
その為、ショーン・ペンやトム・ウェイツも出演している割に、過去作品の様な重厚さは感じません。

この映画からの教訓は、60年代後半の西海岸文化は楽しそうだけれど、馴染むには難しそうって事と、好きな事をやりたかったら、まずは稼げ!かな?

ところで『坊ちゃん』とか『走れメロス』の様な、殆どのアメリカ人が読んでいる本を調べてみたら、『華麗なるギャツビー』や『ライ麦』らしい。
ホントかな?

主役のアラナ・ハイムさん、今年のフジロックで演奏してました。
バンド名は『ハイム』
三姉妹で組んだバンドではギター担当。


映画とは程遠い精緻な演奏に度肝を抜かれました。