日本人レイの日常 -3ページ目

日本人レイの日常

いつまで経っても箱


ヌパーンの人とインド




「そろそろ寒くなってきたなぁ。有給も取れたところだし、久しぶりにインドでも行くか!」

ヌパーンの人は浅草の隅田川から、かつて無い速さの屋形船に乗りインドへ向かった。

「あ、ウーロンハイ下さい」

隅田川を出発して30分経った頃、船はインド湾へ突入していた。

「ヒマラヤ山脈はでっかいなぁ~
あれ、ウーロンハイがない、、、、」

屋形船のものすごい速さに耐え切れなかったウーロンハイのアルコールは抜け、インドチャイに変わっていた。

それから1分。
インドへ着いたヌパーンの人は、日本を発ってからなにも食べていなかったためマサラカレーのお店に行くことにした。

「ナン食べ放題・・・・ナンダッテ!!!」

厨房の奥から「ナンダッテ」の店長が出てきた。

「ようこそヌパーンの人、久しぶりだね!ナマステ!」

「会いたかったよ、店長!」

店長はヌパーンの人のために、特製のマサラカレーあたため10秒とマンゴーラッシーを作ってくれた。
カレーを食べている間、久しぶりに再会した2人は嬉しくなって色んな話をした。

「そういえば、最近ガンジス川で勢力を上げているインド象のチームがあるんだ。
街中を暴れ回って商店街のバナナチップスを大きな鼻で吸い上げてしまうんだ。もう、住民は参ってしまってなぁ、、、。
どうにかならないもんかねぇ、ナマステ!」

「そりゃ困ったね、ちょっと様子を見てくるよ!」

ヌパーンの人はたまたま店に入ってきた牛に飛び乗り、ガンジス川へと急いだ。


2分後、目的地に着いたヌパーンは早速暴れるインド象のチームを見つけた。
インド象たちはガンジス川の水を吸い上げ、そしてそれを食事をしている人々に吹き付けているのだった。彼らのタンドリーチキンはもうびしゃびしゃで、味付けもほとんど落ちてしまっていた。

「困った奴らだ、、、。
おい!!!インド象達!!!悪い奴!!!
許さん!!!!」

「なんだお前は?
小せえ奴め。俺が相手をしてやろう。」

チームの中でも一番体格の大きなインド象が前に出てきた。

「俺の名前はナウマン象。好きな物は石器だ。」

意外に礼儀正しく、インド象のナウマン象は自己紹介をしてくれた。ヌパーンの人から話しかけたのに申し訳なさ過ぎる。

「申し遅れました。ヌパーンの人と言います。得意なことは、カレーを3秒で食べることです。」

挨拶を済ませた二人は、5分後に決闘の約束をした。ヌパーンの人はナウマン象に比べて身体もずっと小さく、パワーもないのでお供を連れてくることを許された。
二人の交わした約束は、ヌパーンの人が勝てば、ナウマン象たちは街を暴れるのを辞め、ナウマン象が勝てば全国のJRが乗り放題になることになった。

「あと5分でお供を見つけなければ、、、。」

と、その時ヌパーンの人は白いふわふわしたものを見た。

そう、それはまるで、勇敢な犬、サモエドのようです!!!

「そう、それはまるで、勇敢な犬、サモエドのようです!!!」

ヌパーンの人はこの勇敢な犬サモエドを仲間にすることを思い付いて、ナウマン象たちに水をかけられた人々から、味がほとんどなくなってしまったタンドリーチキンをもらい、そして食べさせた。(犬はあまり味付けの濃いものを食べてはいけないのである。)


勇敢な犬サモエドは仲間になり、5分後の決闘のときがやってきた。
インド象たちが叫ぶ、
「よーい、、、スタートッ!!!」


勇敢な犬サモエドはさっそくナウマン象に噛み付いた。効果はあるようだが、ナウマン象の皮膚はとても丈夫でなかなか倒れてくれそうにない。
ヌパーンの人はガンジス川の畔でアツアツのサモサ(揚げ餃子揚げ時間2分)を購入して、ナウマン象に向かって投げようとした。しかし、すべてパクパクと自分で食べてしまったのだった。揚げたてなので、ヌパーンの人の口の中はもうベロベロである。

勇敢な犬サモエドは苦戦している。
なんだかそれにさっきよりもひとまわりほど小さくなっている様な、、、

「まさか、あれは、、、毛が抜けている、、?!」

そのまさか、勇敢な犬サモエドの毛はふさふさと抜けていくのである。
ちょうど毛の生え変わりの時期なのだ。
抜け落ちたふさふさの毛玉は大きな塊となり、もう一匹のサモエドとして走り出した。
塊と魂という字は似ている。

スタートから3分、2匹になった勇敢な犬サモエド達はあっという間にナウマン象を倒してしまった。
ナウマン象達は約束通り街を暴れることを辞め、「インドまるわかり美味しいカレー屋100」と、ヌパーンの人にインドっぽい柄のスパイスの匂いが効いた石器をくれた。

こうしてガンジス川と街に再び平和が訪れた。


ヌパーンの人はナン食べ放題「ナンダッテ」まで戻り、もう一度カレーを食べながら、店長にナウマン象達との闘いのこと、サモサのすごく熱かったことを話した。

「どうもありがとう!また会おうナマステ!」

「ああ、また会おう!もう口の中はベロベロさ!」

勇敢な犬サモエドはナンダッテのカレーをとても気に入り、店長にすっかり懐いてしまったのでお店に預けることにした。

ヌパーンの人は、白いもさもさのサモエドっぽい毛玉を連れて浅草行きの屋形船に乗り込んだ。
帰り道の途中で毛玉にカレーをあげてみたけれど、ただただ毛に茶色くついてしまうだけで、食べてはくれなかった。
猛スピードで走る屋形船。
茶色く染まった毛玉は、枯葉と共に秋の空に舞った。
インドから日本に帰ってきた瞬間を今度は見逃さなかったのだ。


























































さて、ヌパーンの人が日本を出てそして帰ってくるまでの時間はどれくらいでしょう?