近松門左衛門「心中天網島」より

@シアターコクーン

現代の大阪の場面から。
風俗で金の亡者のようになって働くハル。
深津絵里さん。
もう若くはないようだけど、亡き夫が残した借金を返済するため、あと何年、何人、と計算をしています。
火曜日の男 次郎が、特別な存在。
ある日の客は、その男の兄でした。
男とのやり取りのメールを突きつけられ、30万円で切れるよう迫られます。
愛想尽かしは、携帯に録音。
ハルは、サバサバした女性に見えますが。

心中天網島を現代に写しています。

昔、蜆川があった場所の橋で、ハルは江戸時代の曾根崎新地の遊女小春に出会います。
小春は、七之助さん。
歌舞伎の女形。

現代に生きる女性ハルと、江戸時代の女性小春の対比が上手く表現された演出でした。
共に、借金のために身を売っています。

心中天網島の"河庄"と"時雨の炬燵"の場面へ。

小春は、紙屋治兵衛に愛想尽かしをしました。
治兵衛の命を助けてほしいという内容の妻おさんの文のため。
女同士の義理のため。

それを知った治兵衛は、おさんが用意した金と着物を持って、小春の元へ向かいます。

おさんも小春との女同士の義理を立てようとしました。
敵とは思わない。
治兵衛を想う心は同じなのです。

ハルは、おさんに、悔しくないのか?と尋ねます。
その答えは観ている客としても知りたかったこと。
やっぱり悔しくないはずがない。


治兵衛は、時雨の炬燵で、メソメソ、くよくよした情けない紙くずのように描かれています。
ハルの夫は、何も明かさず、突然命を絶ってしまった。
自分がもっとしっかりしていたら、夫は治兵衛のように打ち明けてくれたかもしれない。

ハルは「心中天網島」の中に紛れ込んで観ているうちに、人を愛すること、生きること、自分の夫への想いに、気付かされました。

小春は、治兵衛と心中する時、今度生まれたら、遊女で生まれたくない、遊女が心中しないように守ってやりたいと願っていきました。

それでハルの前に現れたのでした。
小春の想いの強さにジーンとしました。

もうハルは大丈夫。
ハルを陰で見守っていた夫も、安心するのでした。
とっても優しそうな旦那様は、○○さんでした。

七之助さんの小春、綺麗でした。
近松の時代は心中が美しいかのように語られてきているけれど、物語、三面記事として。他人事だったよう。
生きる道は無かったのか、
深津さんのハル、小春の生き方に向き合い、闇から光のさす方へ歩いていける、強さを感じました。



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