鏡の法則
野口嘉則さん

「3つの真実」もいいよ~
鏡の法則も大好きー♪(´ε` )
はじめに
皆サン、こんにちは。
幸せ成功力コーチの野口です。
『幸せ成功力を日増しに高めるEQコーチング』というブログを書き始めて、もうすぐ1年になります。
お蔭様で、沢山の読者サンに訪れて頂けるブログに成長しました。
ブログでは、幸せな成功を実現するタメに役立つ情報を、今のところ253本の記事にし て、公開しています。
そして、この253本の記事の中で、圧倒的に反響が高かった記事があります。
この記事の反響には、私自身が驚きました。
その記事とは、息子さんがいじめられて悩む主婦A子サンと、不思議な"コンサルタント"B氏のお話です。
実話に基づくお話です。
A子サンはB氏のサポートを得て、最大の悩みを解決するばかりか、人生で未完了だった問題(宿題)に気付き、人間的に大きく成長されます。
この記事を公開したところ、ブログのコメント欄に書き込んで下さるだけでなく、私のメールアドレス宛てに、個人的にメール下さった方が沢山おられたのです。
これは、他の記事では見られない現象でした。
『久々に号泣しました』・『長年許せなかった人を許す勇気を持てました』・『心の底から感謝の気持ちに満たされました』等、頂いたメールのほとんどは感動と感謝のメッセージで私自身、胸が熱くなりました。
また、この記事をコピーして、私が講師を務める企業研修(EQ向上研修)の中で配りました。
参加者の皆サンには、研修初日の夜に宿題として読んで頂き、翌日感想をお聞きしました。
すると参加者の約90%もの人が、この記事を読んで『泣いた』もしくは『涙がにじんだ』と答えて下さったのです。
このA子サンのストーリーには、私達の心の奥深くに訴えかけてくるものがある事を確信しました。
私自身も、この記事を読み直す度に、A子さんの勇気に触れて涙がにじみます。
そして、A子サンのストーリーから大きな勇気を貰います。
そこで今回、この話をレポートにする事にしました。
持ち歩いて読んで頂ければ、いつでも優しい気持ちになれるのではないかと思います。
感謝の気持ちを思い出させてくれるかもしれません。
あなたが幸せな成功を実現するために、このレポートがお役にたてば嬉しいです。
そして、あなたの周りに幸せな成功者の輪が広がっていくのに、このレポートがお役に立てば幸いです。
このレポートから、何かの気付きや感動が得られたら是非、その気付きや感動を周りの人に分かち合ってください。
このレポートはコピーして配って頂いてもOKです。
また、このレポートのファイルをメールに添付して転送して頂いても構いません。
あなたに、沢山の素晴らしい出会いが引き寄せられますように!!
2005年12月20日
野口嘉則
(このお話は実話ですが、登場人物の職業等を多少変えてストーリーを設定しています)
人生のどんな問題も解決する知恵
「鏡の法則」
A子(主婦、41歳)には悩みがあった。
小学校5年生になる息子が、学校でいじめられるのだ。
いじめられるといっても、暴力までは奮われないらしい。
友達から仲間はずれにされたり、何かあると悪者扱いされたりする事が多いようだ。
息子は『いじめられているわけじゃない』と言い張っているが、息子を見ていると、寂しそうなのでA子は胸が痛むのだ。
息子は野球が好きなのだが、友達から野球に誘ってもらえないので、学校から帰って来たら1人で公園に行って、壁とキャッチボールをしている。
2年位前には、息子が友達と一緒に野球をしていた時期もある。
当時のことなのだが、A子が買い物の帰りに小学校の横を通りかかった時に、グランドで息子が友達と野球をしていた。
息子がエラーをしたらしく。周りからひどく責められていた。
チームメイト達は、容赦なく大きな声で息子を責めた。
『お前、運動神経が、にぶ過ぎだぞ!!』
『お前のせいで3点も取られたじゃないか!!』
『負けたらお前のせいだぞ!!』
A子は思った。
『確かに息子の運動能力は高くない。 しかし、息子には息子のイイ所がある。とても心が優しい子なのに』
A子は、自分の息子のイイ所が認められていない事が、悔しかった。
そして、ひどいことを言うチームメイト達に対して、自分の息子が笑顔で謝っているのを見るのが辛かった。
その後まもなく、息子は野球に誘われなくなった。
『お前はチームの足を引っぱるから誘わん』と言われたらしい。
息子にとって、野球に誘ってもらえない事が一番、辛いようだ。
A子へのやつ当たりが目立って増えた事からも、それが分かる。
しかし息子は、辛さや寂しさを決して話してはくれなかった。
A子にとって一番、辛いのは息子が心を開いてくれない事だった。
『僕は平気だ』と言い張るばかりなのだ。
A子が『友達との上手な関わり方』を教えようと試みても『うるさいな!!放といってよ』と言ってくる。
『転校しようか?』と持ちかけた時は『そんな事をしたら一生、恨むよ!!』と言い返してきた。
息子の状況に対して、自分が何もしてやれない事が情けなく、A子は無力感に陥って いた。
そしてある日、学校から帰宅して公園に行ったばかりの息子が不機嫌な顔で帰ってきた。
『何があったの?』と聞いても『何もない』と言って教えてくれない。
真相は1本の電話で明らかになった。
その夜、親しくしている御近所の奥サンから電話がかかってきたのだ。
『A子さん、○○君(A子の息子の名前)から何か聞いてる?』
『えっ?いいえ』
『今日、公園でウチの下の子供をブランコに乗せていたのよ。○○君は、いつもの壁にボールを投げて遊び始めたわ。するとね、○○君のクラスメイトらしい子達が7、8人くらいやって来てね、『ドッジボールするから邪魔だ!!』って○○君に言うのよ。しかも、その中の1人がボールを○○君にぶつけたのよ。○○君、直ぐに帰って言ってたわ。私としては、その場で何も出来なくて申し訳なかったと思ってね』
A子は愕然とした。
『そんな事を私に黙っていたなんて』
そんな辛い思いをしていながら、自分に何も言ってくれない事が悲しかった。
その日は、改めて息子から聞き出そうという気力も湧いてこなかった。
翌日、A子はある人に電話をかけることを決意した。
その人とは、夫の先輩に当たるB氏だ。
A子は、B氏とは話した事もないのだが、1週間前に夫からB氏の名刺を渡された。
B氏は、夫が高校時代に通っていた剣道の道場の先輩である。
夫も20年位、会っていなかったらしいが、夫が最近街を歩いていたら、たまたまバッタリと出会ったという事だった。
久々の再会に盛り上がって喫茶店に入り、2時間も話したらしい。
B氏は、今は経営コンサルタントを仕事にしているそうだ。
夫の話では、B氏は心理学にも詳しく、企業や個人の問題解決を得意としているとの事。
そこで夫が息子のことを少し話したら『力になれると思うよ。』と言って名刺を渡して くれたそうだ。
夫は、その日『お前の方から直接電話してみろよ。話を通しておいてやったから』と、その名刺を渡してきた。
A子『どうして私が、そんな知らない人にまで相談しなきゃいけないの。あなたが直接、相談したらいいじゃない』
夫『俺が心配なのは、お前の方だ。○○の事で、ずっと悩み続けているじゃないか。だから、その事をBサンに相談したんだ』
A子『私に問題があるっていうの?私が悩むのは当然よ!!親なんだから。あなたは一日中、トラックに乗ってりゃイイんだから気楽よね。実際に○○を育てているのは、私なんだからね。あなたは一緒に悩んでもくれない。そのBサンに相談なんてしないわ。どうせその人も、子育ての事は何も分からないに決まっているわ』
そう言ってA子は、その名刺をテーブルの上に投げた。
しかし、昨日の出来事(近所の奥サンから聞いた話)があって、A子はすっかり落ち込み、ワラをもすがるような気持ちになっていた。
『こんな辛い思いをするのはイヤだ。誰でもいいから助けて欲しい』
そう思った時に、B氏の事を思い出したのだ。
幸い名刺は直ぐに見つかった。
息子が学校に行って1時間位、経った頃、意を決してB氏に電話をかけた。
その時、A子はその日に起きる驚くべき出来事を、想像だにしていなかった。
受付の女性が出て、B氏に取り次いでくれた。
A子は自分の名前を告げたものの、電話に出てきたB氏の声がとても明るかったので『こんな悩み事を相談してもいいのか?』という気持ちになった。
次の言葉がなかなか見つからなかったのだが、B氏のほうから声をかけてきてくれた。
『もしかして○○君の奥さんですか?』
『ハイ、そうなんです』
『あ~、そうでしたか。初めまして』
『あの~。主人から何か聞かれていますか?』
『ハイ。御主人から少し聞きました。息子さんの事で悩まれているとか』
『相談に乗って頂いていいのでしょうか?』
『今、1時間位なら時間がありますので、よかったら、この電話で話を聞かせて下さい』
A子は、自分の息子がいじめられたり、仲間外れにされている事を簡単に話した。
そして、前日にあった出来事も。
ひととおり聞いて、B氏は口を開いた。
『それは辛い思いをされていますね。親としては、こんな辛い事はないですよね』
その一言を聞いて、A子の目から涙が溢れてきた。
A子が泣き始めたのに気付いたB氏は、A子が落ち着くのを待って続けた。
『奥サン、もしあなたが"本気"でこの事を解決なさりたいなら、それは恐らく難しい事じゃありませんよ』
A子は『難しい事じゃない』という言葉が信じられなかった。
自分が何年も悩んで解決できない事だったからだ。
だけど、B氏の言葉が本当であって欲しいと願う気持ちもあった。
『もし解決できるなら、何だってやります。私は本気です。だけど、何をやれば解決するんですか?』
B氏『では、それを探りましょう。まず、ハッキリしている事は、あなたが、誰か身近な人を責めているという事です』
A子『えっ?どういう事ですか?』
B氏『話が飛躍しすぎていますよね。まず理論的な事をじっくり説明してから話せば良いんでしょうが、それをすると何時間もかかるし、私もそこまでは時間が無いのです。なので、結論から話します。理論的には根拠のある話なんで後で、参考になる心理学の本等を教えます。結論から言います。あなたが大事なお子サンを人から責められて悩んでいるという事は、あなたが誰か感謝すべき人に感謝せずに、その人を責めて生きているからなんです』
A子『子どもがいじめられるという事と、私の個人的な事が、なぜ関係があるんですか?何か宗教じみた話に聞こえます』
B氏『そう思われるのも、無理もないです。われわれは学校教育で、目に見えるモノを対象にした物質科学ばかりを教えられて育ちましたからね。今、私が話している事は"心理学"では随分、前に発見された法則なんです。昔から宗教で言われてきた事と同じようなものだと思ってもらったら分かりやすいと思います。私自身は何の宗教にも入っていませんけどね』
A子『その心理学の話を教えて下さい』
B氏『現実に起きる出来事は、1つの『結果』です。『結果』には必ず『原因』があるのです。つまり、あなたの人生の現実は、あなたの心を映し出した鏡だと思ってもらうとイイと思います。例えば、鏡を見る事で『あっ、髪型がくずれている!!』とか『あれ?今日は私、顔色が悪いな』って気付く事がありますよね。 鏡が無いと、自分の姿に気付く事が出来ないですよね。ですから、人生を鏡だと考えてみて下さい。人生という鏡のおかげで、私達は自分の姿に気付き、自分を変えるキッカケを得る事が出来るのです。人生は、どこまでも自分を成長させていけるようにできているのです』
A子『私の悩みは、私の何が映し出されているのですか?』
B氏『あなたに起きている結果は『自分の大切なお子サンが、人から責められて困って いる』ということです。考えられる原因は、あなたが『大切にすべき人を、責めてしまっている』という事です。感謝すべき人、それも身近な人をあなた自身が責めているのではないですか?1番、身近な人といえば御主人に対してはどうですか?』
A子『主人には感謝しています。トラックの運転手として働いてくれているおかげで、家族が食べていけてるのですから』
B氏『それは何よりです。では、ご主人を大切にしておられますか?尊敬しておられま すか?』
A子は『尊敬』という言葉を聞いた時にギクッとした。
A子は、日頃から夫の事を、どこか軽蔑しているところがあったからだ。
A子から見て、楽観的な性格の夫は『思慮の浅い人』に見えた。
また『教養のない人』にも見えた。
確かに、A子は四年制の大学を卒業しているが、夫は高卒である。
また、それだけではなく夫は言葉ががさつで、本も週刊誌くらいしか読まない。
読書が趣味のA子としては、息子に『夫のようになって欲しくない』という思いがあったのだ。
A子は、その事もB氏に話した。
B氏『人間の価値は教養や知識や思慮深さで決まる』と思っておられますか?』
A子『いえ、決してそんな風には思いません。人それぞれ強みや持ち味があると思います』
B氏『では、なぜご主人に対して『教養がない』ことを理由に軽蔑してしまうんでしょ うね』
A子『う~~~ん。私の中に矛盾がありますね。』
B氏『ご主人との関係は、どうなんですか?』
A子『主人の言動には、よく腹が立ちます。喧嘩になることもあります』
B氏『息子サンの件で、ご主人とはどうですか?』
A子『息子がいじめられている事は、いつもグチっぽく主人に言っています。ただ、主人の意見やアドバイスは受け入れられないので、主人にちゃんと相談したことはありません。恐らく、私にとって主人は一番受け入れられないタイプなんだと思います』
B氏『なるほど。もう1つ根本的な原因がありそうですね。ご主人を受け入れるよりも前に、そっちを解決する必要があります』
A子『根本的な原因ですか?』
B氏『はい、あなたがご主人を受け入れることができない根本的な原因を探る必要があります。ちょっと伺いますが、ご自分のお父様に感謝しておられますか?』
A子『えっ?父ですか?そりゃもちろん感謝してますが…』
B氏『お父様に対して『許せない』という思いを、心のどこかに持っていませんか?』
A子は、この『許せない』という言葉にひっかかった。
確かに自分は父を許していないかもしれない、そう思った。
親として感謝しているつもりであったが、父の事は好きになれなかった。
結婚して以降も、毎年の盆・正月は、実家に顔を見せに家族で帰っている。
しかし、父とはほとんど挨拶ていどの会話しかしていない。
思えば、高校生の頃から、父とは他人行儀な付き合いしかしてこなかった。
A子『父を許してないと思います。だけど、父を許すことはできないと思います』
B氏『そうなんですね。じゃあ、ここまでにしますか?お役に立てなかったとしたら、申し訳ありません。それとも、何かやってみますか?』
A子『私の悩みの原因が、本当に父や主人に関係しているんでしょうか?』
B氏『それは、やってみたらわかると思いますよ』
A子『分かりました。何をやったら良いか教えて下さい』
B氏『では、今から教える事をまずやってみてください。お父様に対する『許せない』 という思いを存分に紙に書きなぐって下さい。 怒りをぶつけるような文書で『バカヤロ~』とか『コノヤロ~』とか『大嫌い!!』とか、そんな言葉もOKです。具体的な出来事を思い出したら、その出来事も書いて『その時、私はこんな気持ちだったんだ』って事も書いてみて下さい。恨みつらみをすべて文章にして、容赦なく紙にぶつけてください。気がすむまでやる事です。充分に気がすんだら、また電話下さい。携帯の番号も教えておきます』
A子にとって、その事が息子の問題の解決に役立つのかどうかは疑問だった。
しかし、それを疑って何もしないよりも可能性があるならやってみようと思った。
A子は『今の悩みを解決できるなら、どんな事でもしよう』と思っていた。
それに、B氏の話には、根拠は分からないが不思議な説得力を感じた。
A子は電話を切ると、レポート用紙を持ってきて"父"に対する思いを、思いつくままに書き始めた。
自分が子供の頃は、何かと口やかましい父だった。
夕食が説教の時間になる事も多かった。
また、子供達(A子と兄弟)が自分の思い通りにならないと直ぐに大声で怒鳴りつける、そんな父だった。
『お父サンは、私の気持ちなんか興味ないんだ!!』と、そう思う事も多かった。
お酒を飲んだ時に、仕事のグチを言うトコロも"嫌"だった。
また、建設会社で現場監督をしていた父は砂や土で汚れた仕事着で帰って来て、そのまま食事をする事が多かったが、それも"嫌"だった。
A子は、父に対しての気持ちを文章にしていった。
気が付いたら、父に対して『人でなし!!』とか『あんたに親の資格なんかない!!』とか、かなり!!過激な言葉もたくさん書いていた。
ある出来事も思い出した。
自分が高校生の頃、クラスメイトの男の子と日曜日にデートをした事があった。
その男の子と歩いているトコロを、たまたま父に目撃され後で問いただされて説教された事があった。
両親には『女の子の友達と遊ぶ』と嘘をついていたのだが、父はその嘘を許せないようだった。
その時の、父の言葉は今も覚えている。
『親に嘘をつくくらい後ろめたい付き合い方をしているのか!!お前は、"ろく"な女にはならん!!』
思い出しているうちに悔し涙が出てきた。
悔しさも文章にした。
『お父サンがそんな性格だから、嘘もつきたくなるんでしょ!!自分に原因が有る事も分からないの?それに『ろくな女にならない』って、なんてヒドイ言葉なの。私がどの位、傷ついたか知らないんでしょう!!あんたこそ、ろくな親じゃない!!あれから私は、お父サンに心を開かなくなったのよ。自業自得よ!!』
書きながら、涙が止まらなかった。
気が付いたら、正午を回っていた。
書き始めて2時間近く経っていた。
十数枚のレポート用紙に、怒りを込めた文章が書きなぐってあった。
容赦なく書いたせいか、それとも思いっ切り泣いたせいか気持ちが随分、軽く なっていた。
A子は、午後1時を回ったところで、B氏に電話をした。
B氏『お父様を許す覚悟は出来ました?』
A子『正直なところ、その覚悟まではできていないかもしれません。だけど、出来る事は何でもやってみようと思います。許せるモノなら、許して"楽"になりたいとも思います』
B氏『では、やってみましょう。お父様を許すのは他でもない、あなた自身の"自由"のタメに許すんです。紙を用意して下さい。そして、上の方に『父に感謝、出来る事』というタイトルを書いて下さい。さて、お父様に対して感謝できるとしたらどんな事がありますか?』
A子『それはまず、働いて養ってくれた事ですね。父が働いて稼いでくれたおかげで家族も食べていけたワケですし、私も育ててもらえたワケです』
B氏『それを紙に書き留めて下さい。他にもありますか?』
A子『う~~~ん。私が小学生の頃、よく公園に連れていって遊んでくれましたね』
B氏『それも書き留めておいて下さい。他には?』
A子『それ位でしょうか』
B氏『では、別の紙を用意して『父に謝りたい事』ってタイトルを書いて下さい。さて、お父様に謝りたいことは、何かありますか?』
A子『特に浮かびませんが、あえて言えば『心の中で反発し続けた事』でしょうか。ただ、心から謝りたいという気持ちにはなれませんが』
B氏『実感がともなわなくてもOKです。形から入りますから。とりあえず、今おっしゃったことを書き留めて下さい』
A子『書き留めました。で、形から入るといいますと、何をやればいいのですか?』
B氏『いいですか、今から勇気の出しどころです。もしかしたら、あなたの人生で一番、勇気を使う場面かもしれません。私が提案することは、あなたにとって、最も抵抗したくなる行動かもしれない。実行するかどうかは自分で判断して下さいね。今から、お父様に電話をかけて"感謝"の言葉とあやまる言葉を伝えるのです。実感が湧いてこなかったら、用意した言葉を伝えるだけでもOKです。『父に感謝できる事』と『父に謝りたい事』の2つの紙に書き留めた事を、読んで伝えるだけでOKです。伝えたら、すぐに電話を切ってもらってかまいません。やってみますか?』
A子『…。確かに、今までの人生で使った事がない位、勇気を使わないとできませんね。でも、これが私の悩みの解決に役立つなら、それだけの勇気を使う価値はあるんだ思います。だけど、難しいですね~。』
B氏『やるかやらないかは、ご自分で決めて下さいね。私も、一生に一度の勇気を使う価値はあると思います。それから私は、次の予定がありますので、この辺りで失礼します。もし実行されたらご連絡下さい。次のステップをお教えします。』
A子にとって救いなのは『形だけでイイ』という事だった。
『謝る』という事については、気持ちが伴わない。
『悪いのは父親の方だ』という思いがあるから、自分が謝るのは筋違いだと思う。
だけど、書き留めた文章を棒読みする位なら出来そうだ。
それならば、やってみた方がイイに決まっている、と思えた。
A子は『電話をかけよう』という気になってきた。
そして、電話をかけようとしている自分が、不思議だった。
こんなキッカケでもなかったら、A子が父親と電話で話すという事は一生、無かったかもしれない。
結婚して間もない頃は、実家に電話をして父が電話に出た時は、すぐさま『私だけど、お母さんにかわって』と言っていた。
しかし、今は『私だけど』と言っただけで、父の『お~い、A子から電話だぞ』と母を呼ぶ声がする。
父も『A子から自分に用事があるはずない』という事が分かっているのだ。
しかし、今日は電話で父と話すのだ。
『躊躇していたら、ますます電話をかけにくくなる』と思ったA子は、意を決して直ぐに電話をかけた。
電話に出たのは、母だった。
A子『私だけど』
母『あら、A子じゃない。元気にしてる?』
A子『うん、まあね。…ねえお母さん、お父さんいる?』
母『えっ?お父さん?あなたお父さんに用なの?』
A子『う、うん。ちょっとね。』
母『まあ、それは珍しいことね。ねえ、お父さんに何の用なの?』
A子『えっ?え~と、ちょっと変な話なんだけど説明するとややこしいから、お父さんにかわってくれる?』
母『分かった、ちょっと待ってね。』
父が出てくるまでの数秒間、A子の緊張は極度に高まった。
すっと、父の事を嫌ってきた。
父に心を開くことを拒んできた。
その父に、感謝の言葉を伝え謝るのだ。
普通に考えて、出来っこない。
しかし、息子の事で悩みぬいたA子にとって、その悩みが深刻であるがゆえに、普通だったら出来そうに無い行動を取っているのだった。


「3つの真実」もいいよ~
鏡の法則も大好きー♪(´ε` )
はじめに
皆サン、こんにちは。
幸せ成功力コーチの野口です。
『幸せ成功力を日増しに高めるEQコーチング』というブログを書き始めて、もうすぐ1年になります。
お蔭様で、沢山の読者サンに訪れて頂けるブログに成長しました。
ブログでは、幸せな成功を実現するタメに役立つ情報を、今のところ253本の記事にし て、公開しています。
そして、この253本の記事の中で、圧倒的に反響が高かった記事があります。
この記事の反響には、私自身が驚きました。
その記事とは、息子さんがいじめられて悩む主婦A子サンと、不思議な"コンサルタント"B氏のお話です。
実話に基づくお話です。
A子サンはB氏のサポートを得て、最大の悩みを解決するばかりか、人生で未完了だった問題(宿題)に気付き、人間的に大きく成長されます。
この記事を公開したところ、ブログのコメント欄に書き込んで下さるだけでなく、私のメールアドレス宛てに、個人的にメール下さった方が沢山おられたのです。
これは、他の記事では見られない現象でした。
『久々に号泣しました』・『長年許せなかった人を許す勇気を持てました』・『心の底から感謝の気持ちに満たされました』等、頂いたメールのほとんどは感動と感謝のメッセージで私自身、胸が熱くなりました。
また、この記事をコピーして、私が講師を務める企業研修(EQ向上研修)の中で配りました。
参加者の皆サンには、研修初日の夜に宿題として読んで頂き、翌日感想をお聞きしました。
すると参加者の約90%もの人が、この記事を読んで『泣いた』もしくは『涙がにじんだ』と答えて下さったのです。
このA子サンのストーリーには、私達の心の奥深くに訴えかけてくるものがある事を確信しました。
私自身も、この記事を読み直す度に、A子さんの勇気に触れて涙がにじみます。
そして、A子サンのストーリーから大きな勇気を貰います。
そこで今回、この話をレポートにする事にしました。
持ち歩いて読んで頂ければ、いつでも優しい気持ちになれるのではないかと思います。
感謝の気持ちを思い出させてくれるかもしれません。
あなたが幸せな成功を実現するために、このレポートがお役にたてば嬉しいです。
そして、あなたの周りに幸せな成功者の輪が広がっていくのに、このレポートがお役に立てば幸いです。
このレポートから、何かの気付きや感動が得られたら是非、その気付きや感動を周りの人に分かち合ってください。
このレポートはコピーして配って頂いてもOKです。
また、このレポートのファイルをメールに添付して転送して頂いても構いません。
あなたに、沢山の素晴らしい出会いが引き寄せられますように!!
2005年12月20日
野口嘉則
(このお話は実話ですが、登場人物の職業等を多少変えてストーリーを設定しています)
人生のどんな問題も解決する知恵
「鏡の法則」
A子(主婦、41歳)には悩みがあった。
小学校5年生になる息子が、学校でいじめられるのだ。
いじめられるといっても、暴力までは奮われないらしい。
友達から仲間はずれにされたり、何かあると悪者扱いされたりする事が多いようだ。
息子は『いじめられているわけじゃない』と言い張っているが、息子を見ていると、寂しそうなのでA子は胸が痛むのだ。
息子は野球が好きなのだが、友達から野球に誘ってもらえないので、学校から帰って来たら1人で公園に行って、壁とキャッチボールをしている。
2年位前には、息子が友達と一緒に野球をしていた時期もある。
当時のことなのだが、A子が買い物の帰りに小学校の横を通りかかった時に、グランドで息子が友達と野球をしていた。
息子がエラーをしたらしく。周りからひどく責められていた。
チームメイト達は、容赦なく大きな声で息子を責めた。
『お前、運動神経が、にぶ過ぎだぞ!!』
『お前のせいで3点も取られたじゃないか!!』
『負けたらお前のせいだぞ!!』
A子は思った。
『確かに息子の運動能力は高くない。 しかし、息子には息子のイイ所がある。とても心が優しい子なのに』
A子は、自分の息子のイイ所が認められていない事が、悔しかった。
そして、ひどいことを言うチームメイト達に対して、自分の息子が笑顔で謝っているのを見るのが辛かった。
その後まもなく、息子は野球に誘われなくなった。
『お前はチームの足を引っぱるから誘わん』と言われたらしい。
息子にとって、野球に誘ってもらえない事が一番、辛いようだ。
A子へのやつ当たりが目立って増えた事からも、それが分かる。
しかし息子は、辛さや寂しさを決して話してはくれなかった。
A子にとって一番、辛いのは息子が心を開いてくれない事だった。
『僕は平気だ』と言い張るばかりなのだ。
A子が『友達との上手な関わり方』を教えようと試みても『うるさいな!!放といってよ』と言ってくる。
『転校しようか?』と持ちかけた時は『そんな事をしたら一生、恨むよ!!』と言い返してきた。
息子の状況に対して、自分が何もしてやれない事が情けなく、A子は無力感に陥って いた。
そしてある日、学校から帰宅して公園に行ったばかりの息子が不機嫌な顔で帰ってきた。
『何があったの?』と聞いても『何もない』と言って教えてくれない。
真相は1本の電話で明らかになった。
その夜、親しくしている御近所の奥サンから電話がかかってきたのだ。
『A子さん、○○君(A子の息子の名前)から何か聞いてる?』
『えっ?いいえ』
『今日、公園でウチの下の子供をブランコに乗せていたのよ。○○君は、いつもの壁にボールを投げて遊び始めたわ。するとね、○○君のクラスメイトらしい子達が7、8人くらいやって来てね、『ドッジボールするから邪魔だ!!』って○○君に言うのよ。しかも、その中の1人がボールを○○君にぶつけたのよ。○○君、直ぐに帰って言ってたわ。私としては、その場で何も出来なくて申し訳なかったと思ってね』
A子は愕然とした。
『そんな事を私に黙っていたなんて』
そんな辛い思いをしていながら、自分に何も言ってくれない事が悲しかった。
その日は、改めて息子から聞き出そうという気力も湧いてこなかった。
翌日、A子はある人に電話をかけることを決意した。
その人とは、夫の先輩に当たるB氏だ。
A子は、B氏とは話した事もないのだが、1週間前に夫からB氏の名刺を渡された。
B氏は、夫が高校時代に通っていた剣道の道場の先輩である。
夫も20年位、会っていなかったらしいが、夫が最近街を歩いていたら、たまたまバッタリと出会ったという事だった。
久々の再会に盛り上がって喫茶店に入り、2時間も話したらしい。
B氏は、今は経営コンサルタントを仕事にしているそうだ。
夫の話では、B氏は心理学にも詳しく、企業や個人の問題解決を得意としているとの事。
そこで夫が息子のことを少し話したら『力になれると思うよ。』と言って名刺を渡して くれたそうだ。
夫は、その日『お前の方から直接電話してみろよ。話を通しておいてやったから』と、その名刺を渡してきた。
A子『どうして私が、そんな知らない人にまで相談しなきゃいけないの。あなたが直接、相談したらいいじゃない』
夫『俺が心配なのは、お前の方だ。○○の事で、ずっと悩み続けているじゃないか。だから、その事をBサンに相談したんだ』
A子『私に問題があるっていうの?私が悩むのは当然よ!!親なんだから。あなたは一日中、トラックに乗ってりゃイイんだから気楽よね。実際に○○を育てているのは、私なんだからね。あなたは一緒に悩んでもくれない。そのBサンに相談なんてしないわ。どうせその人も、子育ての事は何も分からないに決まっているわ』
そう言ってA子は、その名刺をテーブルの上に投げた。
しかし、昨日の出来事(近所の奥サンから聞いた話)があって、A子はすっかり落ち込み、ワラをもすがるような気持ちになっていた。
『こんな辛い思いをするのはイヤだ。誰でもいいから助けて欲しい』
そう思った時に、B氏の事を思い出したのだ。
幸い名刺は直ぐに見つかった。
息子が学校に行って1時間位、経った頃、意を決してB氏に電話をかけた。
その時、A子はその日に起きる驚くべき出来事を、想像だにしていなかった。
受付の女性が出て、B氏に取り次いでくれた。
A子は自分の名前を告げたものの、電話に出てきたB氏の声がとても明るかったので『こんな悩み事を相談してもいいのか?』という気持ちになった。
次の言葉がなかなか見つからなかったのだが、B氏のほうから声をかけてきてくれた。
『もしかして○○君の奥さんですか?』
『ハイ、そうなんです』
『あ~、そうでしたか。初めまして』
『あの~。主人から何か聞かれていますか?』
『ハイ。御主人から少し聞きました。息子さんの事で悩まれているとか』
『相談に乗って頂いていいのでしょうか?』
『今、1時間位なら時間がありますので、よかったら、この電話で話を聞かせて下さい』
A子は、自分の息子がいじめられたり、仲間外れにされている事を簡単に話した。
そして、前日にあった出来事も。
ひととおり聞いて、B氏は口を開いた。
『それは辛い思いをされていますね。親としては、こんな辛い事はないですよね』
その一言を聞いて、A子の目から涙が溢れてきた。
A子が泣き始めたのに気付いたB氏は、A子が落ち着くのを待って続けた。
『奥サン、もしあなたが"本気"でこの事を解決なさりたいなら、それは恐らく難しい事じゃありませんよ』
A子は『難しい事じゃない』という言葉が信じられなかった。
自分が何年も悩んで解決できない事だったからだ。
だけど、B氏の言葉が本当であって欲しいと願う気持ちもあった。
『もし解決できるなら、何だってやります。私は本気です。だけど、何をやれば解決するんですか?』
B氏『では、それを探りましょう。まず、ハッキリしている事は、あなたが、誰か身近な人を責めているという事です』
A子『えっ?どういう事ですか?』
B氏『話が飛躍しすぎていますよね。まず理論的な事をじっくり説明してから話せば良いんでしょうが、それをすると何時間もかかるし、私もそこまでは時間が無いのです。なので、結論から話します。理論的には根拠のある話なんで後で、参考になる心理学の本等を教えます。結論から言います。あなたが大事なお子サンを人から責められて悩んでいるという事は、あなたが誰か感謝すべき人に感謝せずに、その人を責めて生きているからなんです』
A子『子どもがいじめられるという事と、私の個人的な事が、なぜ関係があるんですか?何か宗教じみた話に聞こえます』
B氏『そう思われるのも、無理もないです。われわれは学校教育で、目に見えるモノを対象にした物質科学ばかりを教えられて育ちましたからね。今、私が話している事は"心理学"では随分、前に発見された法則なんです。昔から宗教で言われてきた事と同じようなものだと思ってもらったら分かりやすいと思います。私自身は何の宗教にも入っていませんけどね』
A子『その心理学の話を教えて下さい』
B氏『現実に起きる出来事は、1つの『結果』です。『結果』には必ず『原因』があるのです。つまり、あなたの人生の現実は、あなたの心を映し出した鏡だと思ってもらうとイイと思います。例えば、鏡を見る事で『あっ、髪型がくずれている!!』とか『あれ?今日は私、顔色が悪いな』って気付く事がありますよね。 鏡が無いと、自分の姿に気付く事が出来ないですよね。ですから、人生を鏡だと考えてみて下さい。人生という鏡のおかげで、私達は自分の姿に気付き、自分を変えるキッカケを得る事が出来るのです。人生は、どこまでも自分を成長させていけるようにできているのです』
A子『私の悩みは、私の何が映し出されているのですか?』
B氏『あなたに起きている結果は『自分の大切なお子サンが、人から責められて困って いる』ということです。考えられる原因は、あなたが『大切にすべき人を、責めてしまっている』という事です。感謝すべき人、それも身近な人をあなた自身が責めているのではないですか?1番、身近な人といえば御主人に対してはどうですか?』
A子『主人には感謝しています。トラックの運転手として働いてくれているおかげで、家族が食べていけてるのですから』
B氏『それは何よりです。では、ご主人を大切にしておられますか?尊敬しておられま すか?』
A子は『尊敬』という言葉を聞いた時にギクッとした。
A子は、日頃から夫の事を、どこか軽蔑しているところがあったからだ。
A子から見て、楽観的な性格の夫は『思慮の浅い人』に見えた。
また『教養のない人』にも見えた。
確かに、A子は四年制の大学を卒業しているが、夫は高卒である。
また、それだけではなく夫は言葉ががさつで、本も週刊誌くらいしか読まない。
読書が趣味のA子としては、息子に『夫のようになって欲しくない』という思いがあったのだ。
A子は、その事もB氏に話した。
B氏『人間の価値は教養や知識や思慮深さで決まる』と思っておられますか?』
A子『いえ、決してそんな風には思いません。人それぞれ強みや持ち味があると思います』
B氏『では、なぜご主人に対して『教養がない』ことを理由に軽蔑してしまうんでしょ うね』
A子『う~~~ん。私の中に矛盾がありますね。』
B氏『ご主人との関係は、どうなんですか?』
A子『主人の言動には、よく腹が立ちます。喧嘩になることもあります』
B氏『息子サンの件で、ご主人とはどうですか?』
A子『息子がいじめられている事は、いつもグチっぽく主人に言っています。ただ、主人の意見やアドバイスは受け入れられないので、主人にちゃんと相談したことはありません。恐らく、私にとって主人は一番受け入れられないタイプなんだと思います』
B氏『なるほど。もう1つ根本的な原因がありそうですね。ご主人を受け入れるよりも前に、そっちを解決する必要があります』
A子『根本的な原因ですか?』
B氏『はい、あなたがご主人を受け入れることができない根本的な原因を探る必要があります。ちょっと伺いますが、ご自分のお父様に感謝しておられますか?』
A子『えっ?父ですか?そりゃもちろん感謝してますが…』
B氏『お父様に対して『許せない』という思いを、心のどこかに持っていませんか?』
A子は、この『許せない』という言葉にひっかかった。
確かに自分は父を許していないかもしれない、そう思った。
親として感謝しているつもりであったが、父の事は好きになれなかった。
結婚して以降も、毎年の盆・正月は、実家に顔を見せに家族で帰っている。
しかし、父とはほとんど挨拶ていどの会話しかしていない。
思えば、高校生の頃から、父とは他人行儀な付き合いしかしてこなかった。
A子『父を許してないと思います。だけど、父を許すことはできないと思います』
B氏『そうなんですね。じゃあ、ここまでにしますか?お役に立てなかったとしたら、申し訳ありません。それとも、何かやってみますか?』
A子『私の悩みの原因が、本当に父や主人に関係しているんでしょうか?』
B氏『それは、やってみたらわかると思いますよ』
A子『分かりました。何をやったら良いか教えて下さい』
B氏『では、今から教える事をまずやってみてください。お父様に対する『許せない』 という思いを存分に紙に書きなぐって下さい。 怒りをぶつけるような文書で『バカヤロ~』とか『コノヤロ~』とか『大嫌い!!』とか、そんな言葉もOKです。具体的な出来事を思い出したら、その出来事も書いて『その時、私はこんな気持ちだったんだ』って事も書いてみて下さい。恨みつらみをすべて文章にして、容赦なく紙にぶつけてください。気がすむまでやる事です。充分に気がすんだら、また電話下さい。携帯の番号も教えておきます』
A子にとって、その事が息子の問題の解決に役立つのかどうかは疑問だった。
しかし、それを疑って何もしないよりも可能性があるならやってみようと思った。
A子は『今の悩みを解決できるなら、どんな事でもしよう』と思っていた。
それに、B氏の話には、根拠は分からないが不思議な説得力を感じた。
A子は電話を切ると、レポート用紙を持ってきて"父"に対する思いを、思いつくままに書き始めた。
自分が子供の頃は、何かと口やかましい父だった。
夕食が説教の時間になる事も多かった。
また、子供達(A子と兄弟)が自分の思い通りにならないと直ぐに大声で怒鳴りつける、そんな父だった。
『お父サンは、私の気持ちなんか興味ないんだ!!』と、そう思う事も多かった。
お酒を飲んだ時に、仕事のグチを言うトコロも"嫌"だった。
また、建設会社で現場監督をしていた父は砂や土で汚れた仕事着で帰って来て、そのまま食事をする事が多かったが、それも"嫌"だった。
A子は、父に対しての気持ちを文章にしていった。
気が付いたら、父に対して『人でなし!!』とか『あんたに親の資格なんかない!!』とか、かなり!!過激な言葉もたくさん書いていた。
ある出来事も思い出した。
自分が高校生の頃、クラスメイトの男の子と日曜日にデートをした事があった。
その男の子と歩いているトコロを、たまたま父に目撃され後で問いただされて説教された事があった。
両親には『女の子の友達と遊ぶ』と嘘をついていたのだが、父はその嘘を許せないようだった。
その時の、父の言葉は今も覚えている。
『親に嘘をつくくらい後ろめたい付き合い方をしているのか!!お前は、"ろく"な女にはならん!!』
思い出しているうちに悔し涙が出てきた。
悔しさも文章にした。
『お父サンがそんな性格だから、嘘もつきたくなるんでしょ!!自分に原因が有る事も分からないの?それに『ろくな女にならない』って、なんてヒドイ言葉なの。私がどの位、傷ついたか知らないんでしょう!!あんたこそ、ろくな親じゃない!!あれから私は、お父サンに心を開かなくなったのよ。自業自得よ!!』
書きながら、涙が止まらなかった。
気が付いたら、正午を回っていた。
書き始めて2時間近く経っていた。
十数枚のレポート用紙に、怒りを込めた文章が書きなぐってあった。
容赦なく書いたせいか、それとも思いっ切り泣いたせいか気持ちが随分、軽く なっていた。
A子は、午後1時を回ったところで、B氏に電話をした。
B氏『お父様を許す覚悟は出来ました?』
A子『正直なところ、その覚悟まではできていないかもしれません。だけど、出来る事は何でもやってみようと思います。許せるモノなら、許して"楽"になりたいとも思います』
B氏『では、やってみましょう。お父様を許すのは他でもない、あなた自身の"自由"のタメに許すんです。紙を用意して下さい。そして、上の方に『父に感謝、出来る事』というタイトルを書いて下さい。さて、お父様に対して感謝できるとしたらどんな事がありますか?』
A子『それはまず、働いて養ってくれた事ですね。父が働いて稼いでくれたおかげで家族も食べていけたワケですし、私も育ててもらえたワケです』
B氏『それを紙に書き留めて下さい。他にもありますか?』
A子『う~~~ん。私が小学生の頃、よく公園に連れていって遊んでくれましたね』
B氏『それも書き留めておいて下さい。他には?』
A子『それ位でしょうか』
B氏『では、別の紙を用意して『父に謝りたい事』ってタイトルを書いて下さい。さて、お父様に謝りたいことは、何かありますか?』
A子『特に浮かびませんが、あえて言えば『心の中で反発し続けた事』でしょうか。ただ、心から謝りたいという気持ちにはなれませんが』
B氏『実感がともなわなくてもOKです。形から入りますから。とりあえず、今おっしゃったことを書き留めて下さい』
A子『書き留めました。で、形から入るといいますと、何をやればいいのですか?』
B氏『いいですか、今から勇気の出しどころです。もしかしたら、あなたの人生で一番、勇気を使う場面かもしれません。私が提案することは、あなたにとって、最も抵抗したくなる行動かもしれない。実行するかどうかは自分で判断して下さいね。今から、お父様に電話をかけて"感謝"の言葉とあやまる言葉を伝えるのです。実感が湧いてこなかったら、用意した言葉を伝えるだけでもOKです。『父に感謝できる事』と『父に謝りたい事』の2つの紙に書き留めた事を、読んで伝えるだけでOKです。伝えたら、すぐに電話を切ってもらってかまいません。やってみますか?』
A子『…。確かに、今までの人生で使った事がない位、勇気を使わないとできませんね。でも、これが私の悩みの解決に役立つなら、それだけの勇気を使う価値はあるんだ思います。だけど、難しいですね~。』
B氏『やるかやらないかは、ご自分で決めて下さいね。私も、一生に一度の勇気を使う価値はあると思います。それから私は、次の予定がありますので、この辺りで失礼します。もし実行されたらご連絡下さい。次のステップをお教えします。』
A子にとって救いなのは『形だけでイイ』という事だった。
『謝る』という事については、気持ちが伴わない。
『悪いのは父親の方だ』という思いがあるから、自分が謝るのは筋違いだと思う。
だけど、書き留めた文章を棒読みする位なら出来そうだ。
それならば、やってみた方がイイに決まっている、と思えた。
A子は『電話をかけよう』という気になってきた。
そして、電話をかけようとしている自分が、不思議だった。
こんなキッカケでもなかったら、A子が父親と電話で話すという事は一生、無かったかもしれない。
結婚して間もない頃は、実家に電話をして父が電話に出た時は、すぐさま『私だけど、お母さんにかわって』と言っていた。
しかし、今は『私だけど』と言っただけで、父の『お~い、A子から電話だぞ』と母を呼ぶ声がする。
父も『A子から自分に用事があるはずない』という事が分かっているのだ。
しかし、今日は電話で父と話すのだ。
『躊躇していたら、ますます電話をかけにくくなる』と思ったA子は、意を決して直ぐに電話をかけた。
電話に出たのは、母だった。
A子『私だけど』
母『あら、A子じゃない。元気にしてる?』
A子『うん、まあね。…ねえお母さん、お父さんいる?』
母『えっ?お父さん?あなたお父さんに用なの?』
A子『う、うん。ちょっとね。』
母『まあ、それは珍しいことね。ねえ、お父さんに何の用なの?』
A子『えっ?え~と、ちょっと変な話なんだけど説明するとややこしいから、お父さんにかわってくれる?』
母『分かった、ちょっと待ってね。』
父が出てくるまでの数秒間、A子の緊張は極度に高まった。
すっと、父の事を嫌ってきた。
父に心を開くことを拒んできた。
その父に、感謝の言葉を伝え謝るのだ。
普通に考えて、出来っこない。
しかし、息子の事で悩みぬいたA子にとって、その悩みが深刻であるがゆえに、普通だったら出来そうに無い行動を取っているのだった。