こんばんは。
山元です。
また、久しぶりの更新になってしまいました。
私は取材でいろんな人と話すのですが、話を聞いてみて3つのタイプに分けています。
頭で話す人。
心で話す人。
魂で話す人。
取材がスタートして5分もすれば、いずれかのタイプか分かります。
相手が、理路整然と感動的な話をしても何にも響かないときもありますが、会話は稚拙でも魂に響く一言に出会うときもあります。
27日、オバマ米大統領が、現職の大統領として初めて被災地・広島を訪れ演説を行いました。
当初は短いスピーチだと言われていましたが、17分にわたる素晴らしい内容でした。
私は、オバマ氏の演説をテレビでみました。
苦心して言葉を選び、自らの本心を魂で語っていることがみてとれました。
オバマ大統領広島演説
https://www.youtube.com/watch?v=asiEEiHIUW8
その少し前、15日のアメリカCNNのインタビューで、ライス大統領補佐官がオバマ大統領が広島を訪問することを受けて次のように答えました。
「興味深いことに日本はアメリカに謝罪を求めてこなかったのです。~いずれにしてもアメリカが原爆投下を謝罪することはありません」
私はこのコメントを読んで、この人は何もわかっていないな、とあらためて思いました。
戦争は「目には目を歯には歯を」の論理で、両国の感情のぶつかり合いからはじまります。
「日本は何も言ってこないのに、こちらから謝る必要はない」という論理です。
勝ち負けや正しいか誤っているかなどの愚かなプライドの張り合いレベルの発言です。
広島平和記念公園の慰霊碑には、次のような碑文が刻まれています。
「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」
この碑文は、浜井信三元広島市長が述べた「この碑の前にぬかずく1人1人が過失の責任の一端を担い、犠牲者にわび、再び過ちを繰り返さぬように深く心に誓うことのみが、ただ一つの平和への道であり、犠牲者へのこよなき手向けとなる」に準じたものだといわれています。
東京裁判で判事を務めたインドの法学者 ラダ・ビノード・パール氏は、 1952年11月にこの地を訪れました。
パール判事は、献花と黙祷の後、碑文の言葉に対して自らの意見を次のように述べました。
「原爆を落としたのは日本人ではない。落としたアメリカ人の手は、まだ清められていない」
パール判事は、東京裁判で平和に対する罪と人道に対する罪は、戦勝国によりつくられた事後法であり、これをもって裁くことは国際法に反する、という理由で、日本人被告全員の無罪を主張した意見書を提出した人です。
パール判事の碑文に対する意見は波紋を呼びましたが、第三国が中立な立場からみたまっとうな意見だと思います。
ライス補佐官の「日本がアメリカに謝罪を求めてこなかった」という発言と碑文に刻まれた「過ちは 繰り返しませぬから」という言葉。
私はこの言葉に想いをはせて向き合ってみました。
当時、原爆で尊い命を一瞬で奪われた数多の人々。
親、子ども、兄弟を亡くし、嘆き悲しみ心がバラバラになるほど苦しんだ被爆者たち。
人は絶望のどん底で苦しみぬいたからこそ、気付くことがあります。
悲しみと向き合い、苦しみでのたうちまわってはじめて気付くのです。
極限まで感情を感じれきれば、感情は解けて心は浄化されます。
そして、自らの本心と繋がり、物事の真理がみえてくるのです。
戦争に敵も味方もいいも悪いもない。
悲惨な戦争がなぜ起きてしまったのか。
その根源がみえてくるのです。
しかし人間ですから、行き場のない辛く悔しい思いもあったことでしょう。
被爆者もライス補佐官が言うように、やられた相手国に罵詈雑言を突きつけたかったでしょう。
でも、じっと我慢したんだよ。
それをやっても、この悲惨な争いがなくなることはないから。
また悲しみを繰り返すだけだから。
もうこんな馬鹿げたことは止めなければいけないと心の底から思ったから。
だから、アメリカに責任を追及せずに、身体が壊れるくらい悲しい思いをそっと心の奥底へ鎮めたんだよ。
そして、未来に生きる人たちのために「過ちは繰り返さない」と誓ったんだよ。
ライス補佐官は、おそらくこの被災者の気持ちを理解できないでしょう。
オバマ大統領の演説も、ただ形式だけの内容になるのかな。
私はそう思っていました。
しかし、違った。
オバマ大統領の演説はまさに言霊でした。
オバマ大統領は、被災者の心に寄りそいながら話していました。
人の心の痛みを共有し、共感するスピーチでした。
謝罪の言葉はありませんでしたが、彼の言葉はその何倍も被災者の魂に響いたと思います。
長年、被爆者が心の奥底に鎮めていた悲しみが癒され浄化していったのです。
そして、被曝で亡くなられた方々の御霊も清められ天へかえっていかれた。
私は、被爆者のインタビューをみて、そう感じました。
明かされた被爆者との会話
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160528-00000000-nnn-soci
68年前のパール判事のあの言葉。
「原爆を落としたのは日本人ではない。落としたアメリカ人の手は、まだ清められていない」
この言葉に対して、オバマ大統領は決着をつけたのだと思いました。
