一昨日ママが交通事故に遭った。
アラサーでママと書くのは恥ずかしい気持ちもあるが、私にとってママはママなので、このまま書くことにする。
水曜日の夜、師走で仕事が忙しかった私は職場で残業していた。
日中に「ママに週末帰るよ!」と連絡をした。急に寒くなったので、実家に置いているアウターを取りに行こうと思っていた。
ママから「今日から風邪引いたからおとんに迎え行ってもらう?年末はお兄ちゃんの彼女も来てくれるから、狭いけどみんなでぎゅうぎゅう美味しいものを食べよ〜」と返信がきていた。
私は仕事中に既読は付けず確認だけし仕事終わりに返信しようと思っていた。
年末にみんなで集まれることが嬉しくて楽しみだった。ママが風邪と言ったのは、心配と同時に年末によく風邪を引くママなので大事には考えていなかった。でもママの風邪はいつも重いので、この軽い口調よりひどいだろうとは思っていた。
夕方、父からも連絡がきていた。年末のことが嬉しくて連絡してきているのだろうと思って中身を確認しなかった。
残業中にふと父からの連絡を確認すると、ママが交通事故に遭って病院に行くとの連絡だった。
軽い事故かどうか記載はなかったが、心臓がバクバクした。
父に電話すると、父も状況は分からないが動揺している声だった。その声に私も焦り、駆け足で職場を後にした。
残業しなきゃよかった。すぐ連絡を確認すればよかった。母に返信していればよかった。
そんなことを考えながら1時間の電車は、呼吸が苦しく、とても長く感じた。
乗り換え駅でタクシーに乗り込み、運転手さんも急いで病院に向かってくれた。
旦那も病院に直接きてくれるとのことでありがたかった。
病院に着くと、父と兄と旦那が座っていた。
みんなを見たら安心し、そんなにひどい事故じゃないのかもと思った。
私は末っ子で家ではムードメーカーなので、明るく振る舞った。
1時間以上待ち、看護師さんに呼ばれた。
お医者さんが脳のCTを見せながら、歯切れ悪く話しだした。
結論から言ってくれと思いながら、ドラマでよく見る「手術は無事成功しました」が無いな。
まあ、悪い状況から伝えるのだろうとぼんやり思っていた。
話を聞いていてもどこが終わりか分からなかった。正直あまり理解はできなかったが、え、終わり?と思った。
医師からの話は、
頭を強く撃ち、脳がかなり腫れている状態。止血後もCTの脳は真っ黒で、つまり機能していない。
腫れすぎて、頭蓋骨を開く手術も適応でない。もうできることはない。
残念だが、最悪2、3日持つかどうか。といった話だったと思う。
え、つまり死ぬってこと?本当にできることはないの?この状況も医師も病院も全てを疑った。
このドラマみたいな状況が現実とは思えないのだ。
看護師さんに何やら説明され、サインをたくさん書かされた。しょうがないが、残酷だった。
いつも頼りない兄だが、こういう時は一番頼りになる。
さらに最悪なのが、コロナ陽性でカーテン越しでしか見れないというのだ。
他の患者さんもいるので…と説明された。
わかる、わかるけど…。いや、分からない。
馬鹿野郎。そんな話があるか。
ああ、返信してあげるべきだった。
電話して、強く会社を早退しろと連絡すればよかった。
いや、会社なんて休めばよかったんだ。でも無理して出勤するのは、私も一緒なんだよな、そう思った。
迷惑なのは百も承知だが、明日はカーテンを絶対突破する、そんな怒りも溢れてきた。
だって…、私たちにとって、これが最後になるかもしれない。
コロナなんて気にしてられない。怒られようが関係ない。
病室を出ると、警察が待っていた。
事故状況を聞いても、私たちも分からない、まだ何もお話できることがないと言われた。
警察官の申し訳なさそうな面持ちが、それ以上聞こうとは思わせなかった。お巡りさんも大変だななんて薄っすら思っていた。
理解ができず、現実とは思えないまま、一旦旦那と家に帰った。
完全に現実逃避をしていて、情緒がおかしくなった。
信じられないとかではない、「ありえない」という気持ちが一番大きかった。
フツーにありえなくない?マジで、私の中のギャルがそう言っていた。
帰宅後、旦那と何を話したかは覚えていない。泣いたり笑ったり怒ったりして、いつも通りの帰宅後ルーティンをこなした。
疲れたみたいで、電気を消したらすぐに眠れた。
翌朝、朝起きた時が地獄だった。
ふと目が覚めた時、一瞬考える、そしてすぐに現実だと気づく。夢だったらよかった。
最悪な気分だ。