Transparence

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このブログにはTSF風小説を連載する予定でしたが、80年代の子ども視点の日常系小説で完結する予定です。

頑張っている子ども・お父さん・お母さんたちが、愛と幸せに包まれますように。
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 家を建てる前、荻原家は細田町に住んでいたんだって。
 そこにいた頃はおじいちゃんとおばあちゃんで、犬を飼っていたみたい。
 でも、こっちに引っ越してきてから逃げちゃった・・・って教えられた。
 ボクは赤ちゃんだったから覚えていないけど。
 もうペットは飼わないって、お父さんが・・・お母さんも・・・なぜか厳しいの。

 ボクとおじいちゃんがのんびり散歩中・・・花屋さんの近くまで来た時。
 あ、やっぱり今日も現れた。茶色の生き物がこっちに寄ってくる。
「タロー、げんきだった?」
 ワン! 元気に鳴いて尻尾をフリフリする犬。頭をナデナデしてあげる。
 鎖に繋がれてない、首輪もしてない・・・野良だけど、ボクが散歩する時間が決まってないのに、いつも同じ場所で待っていたみたいに現れる、スゴイ犬なんだ。
「きょうのごはんはコッペパンだよ」
 コッペパンをあげたら、タローは喜んで食べ始めた。お腹が空いていたのかな。
「あまり感心はしないが・・・大人しい犬だし、忍に懐いているな」
 タローに会ってご飯をあげることに、おじいちゃんは反対してる。家で飼えないのに、あまり懐かれたら困るからだって。でも、お父さんやお母さんほど大反対じゃないし、ボクと一緒に会ってくれるから、おじいちゃんだって本当はタローが好きなんじゃないのかなぁ?
 家で飼ってあげれたら良いのに・・・しつこく駄々をこねたけど、駄目だった。
「忍、そろそろ行くぞ」
「え、もう行くの?」
 そうだ、と言っておじいちゃんがボクの手を引っ張る。
「ごめんね、タロー。またあしたくるから・・・バイバイ」
 耳が下がって、クーンと鳴かれた・・・そんな目で見ないでよ・・・悲しくなるよ。
「タロー・・・かえりなさい」
 クーン・・・クーン・・・。
「ボクの言うことをききなさい・・・」
 クーン・・・クーン・・・。
「タロー! かえりなさい!」
 大きな声で命令すると、タローはビクッとして、大人しく帰っていった・・・帰る家なんてないはずなのに・・・ごめんね、ごめんね、ごめんね・・・。

 ある日、ボクは熱を出して幼稚園を休んだ。
 紀彦君にも涼子ちゃんにも会えないから、残念。達樹君は・・・まあ、追いかけっこができないのは、ちょっとつまらないかもしれないね。
 タローにも会えない・・・冷たい雨の中、ボクを待っていたりしないかな・・・心配でどうしようもなくて、おじいちゃんに一生のお願いって言って見てきてもらった。
「タロー、今日は来なかったぞ。まあ、雨が降っているしな」
 ホッとしたような・・・もっと心配になったような・・・お腹を空かせてないかな。
 早くタローに会いたいよ。ナデナデしてあげたいよ。

 お天気の日。幼稚園の庭を走り回るボクを、タローが追いかけてくる。
「タロー、こっちこっち」
 ワン! 小さな目をボクに向けて、どこに行くのって聞いてくる。
「しのぶたいちょうとタローたいいんで、ジャングルたんけんに行くよー」
 ワン、ワン! 尻尾をふりふり、タローも嬉しそう。良かったね。
 タローといっぱい遊んだ。すっごく楽しい、夢だった。

 3日経って、ボクの風邪は良くなったけれど。
 タローには会えなかった。
 ご飯をあげることができなかったから、嫌われちゃったのかな・・・?
 1週間経っても、2週間経っても、タローには会えなかった。
 お父さんが、ホケンジョに連れて行かれたんだろうってボクに言った。
 もしかして、先月迷子になったボクみたいに・・・タローも飼い主の人に再会できたっていうことかなぁ・・・ご飯をお腹いっぱい食べれるようになったのかなぁ・・・。
 ホケンジョさんちでタローが、幸せに暮らしていますように。

わんこ