文部科学省は、公立学校教員の「教職調整額」を現行の4%から13%に引き上げる方針を決めました。

 

「教職調整額」とは、基本給に加えて支給するもので、企業で言う残業代が適用されない教員の給与の優遇措置です。法的には近年問題となっている「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)で規定されていますので、引き上げには国会での法改正が必要です。文部科学省は、来年の通常国会に改正案を提出、2026年度から実施したいとしています。

 

引き上げることで概算では約1500億円必要とのことですが、引き上げだけでなく、教員不足などの働き方改革に使用することも考えてはどうでしょうか。

 

 

 

 

 

 

報道によると、東京都の千代田区立小中学校へ区外から通う、いわゆる「越境入学」で不正な申請があり、問題になっています。「越境入学」の不正申請には、仲介した元区議会議長が保護者から金品を受け取って関与、元議長が再三に渡り区の教育委員会幹部に要求していたということです。

 

公立学校では、基本的に「越境入学」は認められていませんが、自治体が基準を設けて認める場合があります(千代田区では11項目の基準があると言います)。千代田区など東京都の中枢地域には、伝統的ないわゆるナンバースクールがあり、少子化によって消滅(統廃合)の危機があり、それを防ぐために自治体が「越境入学」を認めてきました。それが、ナンバースクールを進学校化してきた部分もあり、人気の小中学校では「越境入学」の児童生徒が半分以上である場合もありました。当然ながら、児童生徒の学力も高く、先生方の実力もあり、私も東京都のナンバースクールの授業を幾度か見学したことがありますが、非常にレベルの高い授業をしていました。

 

ところが、少子化で「越境入学」者に頼ってきたのが、都心のタワーマンションの建設などにより児童生徒数が回復し、「越境入学」者を受け入れる必要性がなくなってきました。そうしたことが背景になり、どうしてもナンバースクールに入学させたいという保護者の要請が今回の事件を生み出したのではないか、と推測します。千代田区では、元区議会議長の要求は、「越境入学」の審査に何ら影響しなかったとしています。

 

 

ひとり親家庭サポート団体全国協議会(JSPF)」の調査によると、経済的に困窮するひとり親家庭の約半数が、夏休みを「短く」あるいは「なくす」ように希望していることがわかりました。

 

調査結果では、夏休みについて「今の長さでよい」が48.4%、「今より短い方がよい」が42.1%、「なくていい」が8.7%でした。「短く」「なくす」と答えた理由については、夏休みに給食がないことやエアコン代の負担が大きいことがあげられています。

 

また、NPO法人「グッドネーバーズ・ジャパン」によると、低所得のひとり親家庭対象の調査で、学校の長期休業中に1日3食食べられない子どもが普段の3倍以上に増えているということです。そうした実態を受け、同法人では夏休み期間中は普段の2倍の食品をひとり親家庭に配る緊急施策を行うことにしました。

 

酷暑が続く夏、熱中症、プール指導、給食、体験活動、部活動など、夏休みの在り方を見直す時期が来ているようです。

 

 

 

 

今年も異常な酷暑が続いていますが、水を飲むのが苦手、水を飲めない子供たちが増えてきているということです。

 

水が苦手、水を飲めない子供は、都内のある小学校の話では、クラスに2~3人いるということです。熱中症などの予防のために水を飲ませようとすると、飲むのを嫌がる、少し口に含んだだけ、唇を濡らす程度で口に含むこともしない子供もいるそうです。こうした子供たちは、普段からジュースやスポーツドリンクなどを常飲していて、味がしない水を嫌がる、中には水を飲んだことがない子供もいるということです。

 

これには、コロナ禍の影響も大きく、感染防止のため、学校で水道水を飲まさないようにして、水筒やペットボトルで飲料を持参させたことがあると言います。また、熱中症等の予防には、塩分や糖分が入ったスポーツドリンクの方がよい、ということも影響しているようです。ただ、ジュースやスポーツドリンクの過剰摂取は、肥満などの原因にもなるため、小学校では意識的に水道水を飲ませる取組をしているところもあると言います。

 

 

 

文部科学省は、7月31日に「近視実態調査」の結果を公表しました。この調査は、小中学生対象で、2021年度から3年の経年調査をしています。

 

調査結果では、裸眼視力1.0以上は小学1年生で約80%、中学3年生では約40%になっています。経年調査では、小学1年生から3年生で近視の増え方が最大で、小学1年生時に約12%だった近視児童が小学3年時には約36%と最大になっています。

 

小学校に入ると当たり前のようにスマートフォンを使うようになる、学習で近い所を見ることが増える他、コロナや熱中症によって屋外活動が減少する(遠くを見ることが減る)ことも原因として挙げられます。文部科学省では「自分の目は自分で守る」をキーワードとして、スマートフォンの使用や目を休める時間をとるなどの推奨をしています。

 

 

文部科学省は、全国の公立の小中高校で、日本語指導が必要な児童生徒が計6万9123人(2023年度)いるという調査結果を公表しました。前回調査(2021年度)から1万816人増えて、過去最多になりました。

 

調査は、国籍に関わらず日本語が話せない、読み書きが苦手などで支援が必要と学校が判断した児童生徒で、小学校が4万6132人、中学校が1万5067にん、高等学校が5573人でした。日本に住む外国人が増えていることが増加原因とされていますが、日本語指導は必ずしも十分とは言えないということです。約1割が日本語指導・支援を受けていなかったという結果が出ています。

 

今後も日本語指導が必要な児童生徒は増加すると思われます。教員不足が言われる中、どのように体制を整えるのかが課題となっています。

 

 

 

 

新潟県教育委員会は、今年度の教員採用で、11月に追加の採用試験を行うことを発表しました。志願者が少なく、採用予定者数に達する見込みがないためだということですが、追加募集は初めてのケースです。

 

対象校種・教科は小学校、特別支援学校、中学・高校の英語と国語で、特に中学・高校の国語が深刻で、採用予定者数55人に対して志願者は27人でした。

 

追加募集の試験は11月下旬に行う予定で、1日で筆記と面接試験を実施します。今夏の不合格者も再度応募できるということです。

 

文部科学省が実施している「令和6年度全国学力学習状況調査」の結果が公表されました。今年度は、小学校6年の国語・算数、中学校3年の国語・数学が実施されました。(小学校1万8673校、中学校9603校で実施)

 

平均正答率は、小学校国語が67.8%、算数が63.6%、中学校国語が58.4%、数学が53.0%で、中学校国語以外は例年並み、中学校国語が昨年度(70.1%)より10ポイント以上下がりました。特に「読む」の正答率が低く、文部科学省では「難易度は年によって変わるので問題ないが、子供たちに多様な文章を読ませることが重要」と指摘しています。

 

国語では、「事実と感想、意見との区別が明確でないなど、自分の考えを伝えるための書き表し方の工夫に課題が見られた」「自分の考えなどを記述していても、必要な情報を取り出すことや表現の効果を考えることに課題が見られた」とし、算数・数学では「図形や単位量当たりの大きさ(速さなど)について、深い理解を伴う知識の習得やその活用に課題が見られた」「複数の集団のデータの分析の傾向を比較して捉え、判断の理由を数学的な表現を用いて説明することに課題が見られた」としています。

 

 

 

 

 

交通遺児育英会は、同会に所属して奨学金を受け取っている高校生や大学生について、15.8%がヤングケアラーの可能性があることを調査・公表しました。

 

調査は同会の高校生・大学生対象で(回答があったのは366人)、ヤングケアラーの可能性があるのは、高校生が16.7%、大学生が15.9%でした。介護の対象者は父親が最も多く、交通事故などで父親に障害があるケースが多いと推定されています。

 

近年、ヤングケアラーの問題がクローズアップされてきていますが、同会では調査の継続して支援プログラムに生かしていくということです。

 

 

 

茨城県教育委員会は、来年度の教員採用試験の一次試験の「教職専門」を廃止することを表明しました。「教職専門」の廃止は全国初ということです。

 

教員採用試験の一次筆記試験では、通常教職教養と言われる「教職専門」試験と、各校種・各教科の「専門教養」試験が行われるのが常です。「教職専門」は、教育原理や教育法規、教育心理などで構成され、教員としての教育知識を試す試験です。茨城県教委によると、志願者数の減少を鑑みて、より受験しやすい配慮を進めたということです。

 

この措置で茨城県の志願者数が増えるのか、そのあたりも不透明です。これまでも関東一円で試験日を統一していたのを、茨城県だけ変更し、併願を可能とした措置をしています。私見ですが、教員採用試験における「教職専門」は重要な分野ですので、志願者数増については、別の措置を考えることが必要なのではないかと思います。もっとも、それだけ危機感があるということでしょうか。