報道によると、東京都の千代田区立小中学校へ区外から通う、いわゆる「越境入学」で不正な申請があり、問題になっています。「越境入学」の不正申請には、仲介した元区議会議長が保護者から金品を受け取って関与、元議長が再三に渡り区の教育委員会幹部に要求していたということです。
公立学校では、基本的に「越境入学」は認められていませんが、自治体が基準を設けて認める場合があります(千代田区では11項目の基準があると言います)。千代田区など東京都の中枢地域には、伝統的ないわゆるナンバースクールがあり、少子化によって消滅(統廃合)の危機があり、それを防ぐために自治体が「越境入学」を認めてきました。それが、ナンバースクールを進学校化してきた部分もあり、人気の小中学校では「越境入学」の児童生徒が半分以上である場合もありました。当然ながら、児童生徒の学力も高く、先生方の実力もあり、私も東京都のナンバースクールの授業を幾度か見学したことがありますが、非常にレベルの高い授業をしていました。
ところが、少子化で「越境入学」者に頼ってきたのが、都心のタワーマンションの建設などにより児童生徒数が回復し、「越境入学」者を受け入れる必要性がなくなってきました。そうしたことが背景になり、どうしてもナンバースクールに入学させたいという保護者の要請が今回の事件を生み出したのではないか、と推測します。千代田区では、元区議会議長の要求は、「越境入学」の審査に何ら影響しなかったとしています。