前回、高知市の水泳授業のことを取り上げましたが、学校のプールの老朽化、教員の負担軽減などを理由に、水泳授業の外部委託化が進んでいます。

 

スポーツ庁が行った調査(全国体力・運動能力、運動習慣等調査)によると、水泳の授業を学校のプール以外で行っているのは小学校で10.8%、中学校で10.3%と約1割になっています。地域のスイミングクラブで指導する場合が多く、「外注化」が進んでいます。

 

水泳については、学習指導要領で体育・保健体育の授業で必ず行うことになっていますが、外部委託に警鐘を鳴らす識者もいます。外部委託で、いわゆるインストラクターが教えるのは技術(スキル)的なこととだと思われますが、水泳授業はからだづくりや苦手な子の指導、集団での協働など、学習的な要素もあるでしょう。高知市の事故も受けて、今水泳の授業(指導)の意味が問われてきていると言えます。

高知市立長浜小学校で、児童がおぼれて死亡した事故を受けて、高知市教育委員会は小中高校など市立の全学校(60校)の今年の水泳授業を中止すると発表しました。

 

児童の死亡事故は今月5日に発生しました。小学校のプール設備が故障していたので、中学校のプールを使って授業をしていたということです。小柄で泳ぎが苦手の児童から先生の目が離れていたということも判明しているようです。規定では、中学校のプールの水深は0.9~1.4m程度で、小学校は0.8~1.2m程度としています。学習指導要領では飛び込みは禁止とされていますが、飛び込み台の近くが深くなっているのは周知のことと思います。死亡した児童の身長は110~120㎝と報道されているようですが、中学校のプールをそのまま使えば、かなり深い所があり、泳ぎが苦手な子は怖かったのではないでしょうか。

 

高知市では、小学校の水泳授業を中学校のプールで行うことはこれまでも結構あったようですが、プールの深さの調節はしてこなかったのでしょうか。私見ですが、プールの水の入出はそれほど手間のかかることではないと思うので、小学生が使用する場合は水深の調節をするべきでしょう。

 

文部科学省は、毎年4月に行っている全国学力・学習状況調査について、2027(令和9)年度から学習用端末を使ったCBT化(オンラインでの出題・解答)する方針を固めました。

 

全国学力・学習状況調査は、毎年4月に小学6年生・中学3年生を対象に国語・算数(数学)のほか、年度によって理科や英語についても行います。既に、2025(令和7)年度の中学校の理科をCBT化することが決まっていますが、全面的な実施方針が来まりました。

 

CBT化により、出題に画像や動画を取り入れることも可能となり、調査のバリエーションが増えますし、データの蓄積や解析も効率的になり、その後の指導によりよく生かせるということです。

昨年実施の教員採用試験の実態についてですが、鳥取県からかなり衝撃的な情報が入っています。

 

鳥取県教育委員会によると、昨年の鳥取県の教員採用試験では採用予定者数270人に対して327人が合格(受験者数1378人)しましたが、最終的に採用(本年度)できたのは、補欠合格者を含めて161人にとどまり、174人が辞退したということです。中でも、採用予定者数が150人ともっとも多い小学校については、受験者数590人のうち381人が一次試験合格しましたが、二次試験の欠席者が125人、二次試験合格者は203人でしたが、採用できたのは74人だったということです。最終の合格者のうち70%近くが辞退したことになります。(なお、鳥取県では採用者数が予定者数より少ないのは3年連続だということです。)

 

鳥取県教育委員会では、県外からの応募者の辞退が多かったとしていますが、かなり深刻な実情だと思われます。近年の教員不足・教員不人気を象徴するようなニュースでした。

 

 

 

北海道の旭川市で2021年3月、いじめを受けていた中学校2年生の女子生徒が自殺した事件で、市の再調査委員会(尾木直樹委員長)は、「いじめがなければ自殺は起こらなかった」という調査結果を公表しました。

 

この事件は、女子生徒が2019年にいじめの被害にあったことから端を発し、女子生徒が自殺を図った後、他校に転校。その後もいじめの疑いがあったものの、市教委はそれ以上の調査をせず、2021年3月に女子生徒が凍死体で発見されました。いじめの重大事態にあたるとして、市の総合教育会議(市長+教委の会議)が市教委に調査を求め、市教委が組織した第三者委員会は「いじめとの因果関係は不明」と結論付けました。納得しない遺族側が再調査を求め、上記のような調査結果が判明したのです。

 

再調査委員会は、医学的心理学的見地からの調査はもとより、SNSの膨大な投稿を精査するなど、時間はかかりましたが、非常に丁寧な調査を行い、いじめとの因果関係を明らかにしました。自殺から実に3年間、再調査委員会の緻密な調査には敬意を表しますが、それまでの市教委や学校の報告や調査は一体何だったのか、疑問が残ります。

 

↑日本テレビの放映

 

【参考】

文部科学省が示した「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(2017年)では、次のように記述があります。

○ 学校の設置者及び学校は、いじめを受けた児童生徒やその保護者(以下「被害児童 生徒・保護者」という。)のいじめの事実関係を明らかにしたい、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たること。

 ○ 学校の設置者及び学校として、自らの対応にたとえ不都合なことがあったとしても、 全てを明らかにして自らの対応を真摯に見つめ直し、被害児童生徒・保護者に対して調査の結果について適切に説明を行うこと。

 

今国会で、「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律(こども貧困解消法」が成立しました。

 

この法律は、従来定められていた「子どもの貧困対策の推進に関する法律(子ども貧困対策法)」を改正したもので、子どもの現在の貧困を解消するとともに将来の貧困を防ぐことという趣旨のもと、法律名も変更しました。

 

「こども貧困解消法」の基本理念(第3条)の中に「こどもの貧困の解消に向けた対策は、貧困の状況にある者の妊娠から出産まで及びそのこどもがおとなになるまでの過程の各段階における支援が切れ目なく行われるよう、推進されなけらばならない」を規定するなど、こどもの貧困を防ぐとともに、貧困状態にある人の妊娠・出産から子育て支援まで一貫した支援を行うことを定めています。

 

本法律は、公布後3か月以内に施行されることとしています。

 

↑NHKニュースの画面

 

 

 

仕事で子供と接する人の性犯罪歴を調べ確認することを義務付ける法「こども性暴力防止法」が、6月19日国会で可決され成立しました。日本版DBS(Disclosure and Barring Service 犯罪証明管理・発行システム)が成立したと言えます。

 

既に本ブログで記しましたが、性犯罪履歴が確認されると配置転換が義務付けられるなど、実質的に性犯罪歴を持つ者が子供と接する職業には就けなくなります。ただし、性犯罪歴の確認対象は、禁固刑以上の場合は刑終了から20年、罰金刑は刑の執行から10年、執行猶予の場合は裁判の確定日から10年です。

 

義務化されるのは、学校や認可保育所などですが、学童クラブや学習塾などは任意(希望制)としていますので、すべての子供と接する仕事に適用されるとは限りません。また、どこまでが子供と接する仕事と言えるのか、やや曖昧な部分もあり、今後の法運用が課題となりそうです。

 

子供の性被害を訴えてきたNPO法人フローレンスの記者会見

 

 

 

6月10日は、6歳までに視力1.0を維持するという願いをこめて「こどもの目の日」とされています。

 

児童生徒の視力低下が続いていて、2022(令和4)年度の学校保健統計調査(2023年11月公表)によると、児童生徒の裸眼1.0未満は、小学校で3割超え、中学校では約6割、高等学校では約7割となっています。パソコンやスマートフォンなど、目を使う(近い所を見る)ことが増えているので、当然考えられる結果なのですが、視力低下(強い近視)は将来的な目の病気や、場合によっては失明など重度の病気にもつながるおそれがあるということで、日本眼科医会では警鐘を鳴らしています。

 

「30分に1回は20秒以上目を休める」ことを教育委員会では各学校で啓発するように努めています。現状なかなか難しいことですが、学校や家庭での啓発活動が重要となります。

 

日本学生支援機構の調査によると、2022年度の日本人学生の海外留学者数は5万8162人にのぼり、2021年度の5倍以上になったことがわかりました。

 

コロナ禍のため、海外での入国制限などが緩和されたことが大きかったのですが、コロナ禍前の半数にとどまっているということです。主な留学先は、アメリカがもっとも多く、次いでカナダ、オーストラリア、韓国、イギリスの順になっています。

 

盛山文部科学大臣は、日本人の海外留学の増加を目指して、外国人留学生の受け入れとともに、環境を整えて推進していくと表明しています。

 

東京都が今年度実施の教員採用試験(2025年度採用)の応募状況を公表しました。

 

それによると、応募者は前年度より949人多い1万414人でしたが、採用予定者数の増員により、全体倍率は2.6倍(前年度比0.1ポイント減)になっているとのことです。校種別では、小学校が1.7倍(同0.1ポイント減)、中学校・高等学校が4.1倍(同0.3ポイント増)、特別支援学校が1.1倍(同0.5ポイント減)でした。

 

注目の大学3年生の応募者は3433人で575人増となりました。なお、昨年度大学3年時に応募し、合格(3年生前倒し受験通過者)したのは1829人でしたが、そのうち今年度応募したのは1468人でした。約20%にあたる学生が教員になるのをやめたことになりますが、この数字が高いのか、それとも低いのか。評価が分かれそうです。