千歳ながく 小欲の家に存す

 

葛城山人(慈雲尊者)

 

               慈雲尊者の墨跡

 

本年は、江戸時代に大阪や京都で活躍した高僧 慈雲飲光(じうんおんこう)尊者の

生誕300年にあたり、西宮市・黒川古文化研究所、南河内郡・高貴寺さま等の共催で

特別展が大阪府立「近つ飛鳥博物館」で開催されています。

(上記写真は、黒川古文化研究所・研究図録から抜粋)

 

 

 

【上記の大意】

「小欲」は、諸々の仏教経典にしたためられる語で、「足るを知る」とともに

人がもつべき大切な心の戒めです。「欲」は常に執着心を増大させるため

そこから「苦」が生まれてきます。その「苦」から解放され、心の「富貴」や「安楽」を

得るためには「足る」ことを知らなければなりません。

 また、「欲」のおもむくままにひと財産を築いたとしても、一方で自らの心を

律する努力がなければ、むしろ財産の存在が多くの軋轢や弊害を引き起こす

原因にもなります。たとえ子孫が引き継いだところで、長く維持していくことの難しさは

歴史が物語っています。むしろ美田を残さず、いつの世にも欲は少なく驕らず堅実に

励み続けるとの教訓を宝とし伝えていくことが、長い目で見たとき安定的に永らえる唯一

の方法でありましょう。

 

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