戦後の空に パンとミルクが配られた それは命の糧だった

 けれど――私の心は 白いごはんを求めていた

祖母の手が炊いた 湯気立つ米の粒 味噌汁の香り 漬物の塩気 

それが、私だった

 

異国の栄養は 私の舌に馴染まず 心に届かなかった

それでも食べた 生きるために

 

時は流れ 令和の街に 世界の料理が溢れる 

スペインも メキシコも 地中海も 

それらは美しく 私も味わう

 

けれど―― 食品添加物が 私の身体を蝕む 

保存料、着色料、増粘剤 それらは “心”を持たない

 

コンビニの棚に並ぶ 

 

 

無数の便利な食べ物 

そこに、誰かの想いはあるか 

そこに、私の記憶はあるか

 

私は思う 

食とは、命をつなぐもの 

文化を育てるもの 

そして―― 心を交わすもの

 

お母さんが作ってくれたから嬉しい 

コックさんが心を込めてくれたからありがたい 

そんな情緒が 私を育てた

 

だから私は願う 

お米を中心に 

心を込めた食卓を

 

未来へ残したい

ご飯は日本人の心そのもの

世界の料理を否定しない 

むしろ、共に味わいたい