「智幸さん年末どうす「仕事」
正月生放送特番の台本を書き進める私のそのノールックの切り返しに「そうだとは思ったけどさ」と呟きながら、井澄は自分が座椅子になる代わりにと腹を揉んでくる。
「正月予定開いてる日とかあるの?って話」
「28日から31日までと3日から5日は空いてる」
「じゃあ俺大晦日来て良い?」
「……井澄は実家帰らなくていいのか?」
思わず手を止めて井澄のほうを見ると「いまうちの実家横浜でよく帰ってるから平気」と井澄は明るく切り返してくる。
「そんな頻繁に?」
「うん、このところはロケ場所が実家近かったしね」
そういや少し前まで撮影していた井澄主演の映画はみなとみらいが舞台の話だったことを思い出し、そりゃ自宅より実家のほうが近けりゃそっち行くわなと納得した。
「それに正月は弟の顔見に行くんで帰って来なくていいよって言われた」
「いや弟の顔は見に行けよ……弟さん新潟だっけ」
「うん、でも夏に一度会ってるから良いやって。それに向こうも親とちゃんと話したいことがあるって言うし」
前にこの間新潟に行ってきた~と聞かされたのを思い出し、たぶんその時に顔を合わせてたのだろう。
親子でちゃんと話しておきたいことって相当シリアスな部類の事のような気がするがいいんだろうか。
「とにかく、俺は年越しは恋人と二人が良いですって事」
「じゃあお前仕事納めから仕事始めまでうち泊まるか?」
「えっ?!」
「私は実家帰らないし、暇なら年末年始の大掃除手伝ってくれ」
「あ、そういうこと……」
「すけべな要望は努力次第で叶えてやる」「泊ります」
即答である。
つくづくこいつ常に素直だがいいんだろうか、と心配になる。こちらは分かりやすくていいのだが。






ただぐだぐだいちゃいちゃしてるだけ