朝目が覚めたら、玄関に毛布をかぶせられた状態で目が覚めた。
「……なにこれ」
昨日フラフラで仕事から帰ってきたところまでは覚えてるのだが、もしかして疲れのあまり玄関で寝落ちとかそう言う事なんだろうか。
とにかく状況を把握しようと布団をかぶったままずるずるとリビングに向かうと英人がひとりでアマ○ンプラ○ムを見ていた。
「……英人、お前学校は?」
「秋恵ちゃん起きたんだ。あと学校はインフルで休み」
英人と暮らし始めてそれなりの年数が経つが、小学校卒業を目前に控えた英人はずいぶんと大きくなってもう私より背が高くなった。
「そうか、瑞穂さんは?」
「母さんさっき病院行った、なんか熱すごいから薬貰ってくるって」
「布団も瑞穂さんが?」
「うん、俺一人じゃ運べないし……というか顔赤くない?玄関なんかで寝るから風邪ひいたんじゃないの?」
「あー……確かにそんな気がする」
箱から体温計を引っぱり出すと微熱が出てるし身体も少しばかり重い、最近疲れてたしそれで風邪気味なのかもしれない。
「ただいま……」
ヘロヘロの状態でリビングに入ってきた瑞穂さんは今までになく元気なさげに見えた。
「おかえり、生きてる?」
「さっきインフルの診断が出たから私もしばらく休むわ、職場から許可はとった」
「うん、その方がいいと思う。寝な」
あからさまに体調が悪そうに見えるし生徒にインフルを移すよりはいいだろう。
「秋恵、あんたもよ」
「私は瑞穂さんよりは元気だし」
「このところずっと仕事に出ずっぱりでしょうが。英人、悪いけど私ら寝てるからお昼ぐらいになったら軽く食べられるもの用意しといて」
「はーい」
英人にそう言って瑞穂さんに引きずられるように部屋に押し込まれる。
もっとも、私達は生活リズムの違いの関係で一緒に暮らし始めた時から別々の部屋で寝ているのだが。
「あんたも私も昼まで寝てさっさと治しましょ」
「……瑞穂さんよりは先に治るよう頑張るわ」
そう言って部屋のドアを閉めると自前のベットに寝ころんだ。

次に体調崩すことがあったら私と英人の二人がかりで看病してやる。

よく分からない決意を固めつつ連勤の疲れが残った体を毛布でくるむのだった。