昔からご覧下さっている方はご存知の通り、私は摂食障害でした。
食べられない方の拒食症です。23歳の時死にかけて、その頃体重は23キロになっていました。
高校生の頃から10年くらいでしょうか。なによりも食べることが怖く、頭の中は食べ物と数字に支配されていました。

もう自分をコントロールできなくて、止めることも、助けを求めることもできない本当に苦しい日々でした。
こんなにも苦しいのなら死んでしまいと思ったこともあります。でも死ねなくて、生きるしかないと思い知らされたような気持ちになったのです。



そして私は今、料理の仕事をしています。
この事実に対し、自分自信不思議な感覚に陥ることがありますが、そうなることが必然的であったようにも感じるのです。



今回、はじめて料理とは違う本を作らせていただきました。
病気になってからどのように過ごし、向き合ってきたか。葛藤し、乗り越えてきたか。
この本には、今の私を形成した道と、今をどう生きているかを記しています。







1月27日発売予定
本日よりご予約が始まりました。











今、正直な気持ちを書くと、私はこの本をどのようにご紹介するのが正しいのかわかりません。
料理の本と違い、沢山の方の生活にお役立ていただきたいものとも違うし、売れて欲しいという気持ちともまた違います。
そして、自分の弱さや情けなさを晒すことが恥ずかしいという思いもあります。

ただ本当に必要な方に届いて欲しいと思うのです。日々過ごす中で、誰にも理解されない苦しい事柄がたくさんあって、人知れずそれらと闘っている人。そんな誰かに何か届けばと、心から願っています。







私は今、料理研究家という仕事をしています。
といっても、料理学校を出たわけでもなく、先生について勉強したわけでもありません。
私が学ぶ場所はここであり、先生は皆さんです。
時には新しいタイプの先生だと言われることもありますが、私はその言葉を有難く受け取っています。

食に執着して過ごす日々は、あの頃となんら変わっていないでしょう。ただ、思いを向ける先だけが違うのです。



私はある日突然にペコリという料理アプリに参加し、それからブログをはじめました。
その頃現実世界ではまだまともに話すこともできませんでしたが、SNSの世界では昔のままの自分でいることができたのです。

SNSの世界は、病気が完治していない私にとって、気丈に振る舞えた唯一の場所。そこで顔も見えないたくさんの方々と知り合うことができ、支えられ、応援してもらう中で、少しずつ元の自分を取り戻してきたように思います。

思い返せばそこは、病気の事を伝えられた唯一の場所でもありました。そこで皆さんが優しく受け入れて下さったことは決して忘れません。

その中で「料理本を出したい」という大きな夢を持ち、劣等感も後悔する気持ちも焦りも抱えながら、それでも必ず叶えると自分に誓ったのでした。
母を喜ばせたかったのです。

右も左もわからない世界で私を押し上げてくれた皆さん、そして引っ張り上げてくれた出版社。今思えば奇跡的なことが沢山ありました。
この本を作っていると、そんな色々なことを思い出し、言葉にはならない感情が溢れ、あの頃の私と、今の私とが向き合っているようでした。
おかしな話しかもしれませんが、病気の私は自分でも手に負えないくらい強く弱いのです。でもだからこそ、今の自分があるのだと、改めて感じています。




病気は辛く苦しいですね。
今闘っているご本人はもとより、周りの方も相当な思いを抱えられておられることでしょう。
どうするのが正解だという答えはありませんし、ある日光が差して突然治るということもありません。ただ葛藤し、もがく中で必ず見えてくるものがあると信じています。

あれから10年が経ち、私には今やっと見えたものがございます。
あなたは一人ではないし、大丈夫だと伝えたい。

その長いトンネルの先には、全然違う世界が広がっていますよ。私は弱いけれど、あなたがそこに向かった時はどんなことでも受け止める強い心を持っています。手を伸ばして待っています。

だからもしその時が来たら、勇気を振り絞って一歩だけ踏み出して下さい。
もうそこで頑張らなくても大丈夫。
どんなあなたでも大丈夫です。