【第15作(8分)】

 

これも芸術祭の展示映像で、

 

フランス語翻訳者さんが、フランス語から日本語

わたしが、その日本語を英語

 

翻訳し、映像では

 

右方:日本語字幕【縦】

下方:英語字幕【横】

 

で表示するものでした。


劇場でセラピーをしていて、過去の傷を癒すため、セラピストが数回、あるフランス語を言い放ちます。

 

念のため、French/English で Google Translate にかけた上で、英語字幕は "You are to be born." としました。be to... で「近い未来」を表わします。

 

英語では、人の誕生は受動態で表現します。知人に確認したところ、フランス語でも同じでした。

 

英語:I was born in Osaka.  

仏語:Je suis né(e) à Osaka. 

※(e)は、話者が女性の場合です。

 

キリスト教文化では「神から命を受ける・命を頂く」ため、人の誕生において、主体は神です。翻訳では、このことをどれだけ自然に、違和感なく日本語で言い表せるかがポイントになります。

 

日本語字幕は「生まれる」となっていました。正確なニュアンスが出ておらず、残念に思いました。

 

わたしは、原語文化を訳出する(翻訳に反映させる)必要があると考えます。言語は文化のひとつだからです。

 

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【第14作(12分)】

 

これは、芸術祭での展示映像でした。

 

スペイン語翻訳者さんが、スペイン語から日本語へ

わたしが、その日本語を英語へ

 

翻訳し、映像では

 

右方:日本語字幕【縦】

下方:英語字幕【横】

 

で表示するという、面白い流れで仕上がったドキュメンタリー作品でした。

 

それぞれ映像の画面には safe area というのがあり、その枠内に字幕を納めます。四辺の端、ギリギリの位置に字幕があったら読みにくいからです。

 

昔のテレビと、今のテレビやパソコン画面では縦横の比率が異なるし、平面になったし、そもそもテクノロジーのレベルが違うので、この safe zone にこだわる必要はないという意見もあるようです。けれど、わたしは大事な基準だと思います。

 

 

昔と今で safe area の範囲は異なります。

 

ただ、そんな条件に適っていても、2つも字幕があると画面を覆ってしまう印象が拭えませんでした。それに、どちらの言語も読めてしまうと脳が疲れます。

字幕は、読み手に視覚的負担を与えるのだなと改めて思いました。

 

もう一つ記憶しているのは、揚げパン料理の紹介で、日本語字幕が「食物」となっていたことです。「しょくもつ」と読めてしまうので、「料理」「食べ物」あたりが良いのではないでしょうか……とお伝えしてみたら、修正が入りました。

 

2言語の翻訳者がいると、こんな利点がありますね。

 

その後も、フランス語 ⇒ 日本語 ⇒ 英語で、2言語の字幕作品に取り組んだことがあります。デメリットとメリットがあるのは確かです。

 

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【第13作(14分)】

 

この映画は、男性が女性に惚れこんで、狂気じみた行動に出てしまうのですが、実はその女性の方が、もっと恐ろしい狂気に呑まれていたという話でした。

 

わたしは自主映画に英語字幕を付けるとき、あらすじや監督のコメント文なども翻訳することが多いです。この映画のあらすじでは「美しい女」とありました。

 

みなさんなら、英語でどのように表現しますか?

 

いはゆる「美人さん」は pretty woman と言います。

昔、そんな映画がありましたね。pretty というのは日常的な誉め言葉です。わたしもニュージーランドでちょっとオシャレすると、色んな人に "You look pretty" と言ってもらえました。

(注:"You are pretty" でないのがポイントです。"You look pretty" なら、美人でなくても言ってもらえます!)

 

ちなみに、lovely も同じような誉め言葉ですが、pretty より少し広範に使われます。わたしはワカメちゃん(昭和の小学低学年)体型で、NZでは確実に珍しい姿かたちなので、"You look lovely" と言っていただくことの方が多かったです。

(注:褒めて下さるのは、もちろん女性です。たぶんわたしは、謎の生物に見えていたと思います……)

 

さて、あらすじでは beautiful woman と訳しました。

 

beautiful は、美しさを表す最大級の形容詞だからです。この男性は、女性の外見だけに惚れこんでいたのではなく、仕事に打ち込む姿など内面にも惹かれていました。だから pretty では違和感があるのです。

 

このリンクは一例ですが、beautiful は pretty よりずっと重みがあります。

 

beautiful は自然を形容するのにぴったりです。

 

beautiful Mother Nature 

beautiful blue sky 

beautiful flowering dogwood 

 

もし男性が、恋人である女性に beautiful と言うなら、男性は心から美しいと思っているはずです。

 

一度だけこう言われたことがあります……

 

You are a beautiful creature.

 

めちゃくちゃ感動しました。

 

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