世界はコンサートでご紹介した論文 "Music and early language acquisition" は「音楽と乳児期の言語習得」についてでした。その主張には、裏付けがたくさんあります。中でも、言語と音楽に対する「左右脳(側頭葉)の働き」は印象的でした。

 

まず

  • 成人において言語は左脳、音楽は右脳」で処理される傾向があります。しかし、刺激によって左右共にある側頭葉前方の働きが促され、重複する場合があることがわかっています。
  • 乳児においては話し声と楽器音に対して、左右脳の働きが重複することがわかっています。
  • 人は成長と共に、脳の各部がそれぞれの働きを担えるようになるのです。

次に

  • 側頭葉が25~50ミリ秒の経時変化(時間の経過による変化)を認知してくれるので、わたしたちは会話の音素、音節や文節を認識できます。
  • 楽器の識別についても同じで、側頭葉が出だしの音に反応して、楽器の音色や音質を鋭く認知します。その結果、わたしたちは何の楽器なのか区別します。

  • 何種類もの楽器がそれぞれの音を出したり、1つの楽器がさまざまな音色を奏でたりする時、わたしたちは側頭葉の働きによって音域、音の強弱や長短、まとまり感やメリハリ感、指使いさえも聞き分けています。

つまり

  • 会話の声であれ、楽器の音であれ、左脳と右脳の側頭葉がそれぞれに認知・識別する内容は似通っています。
  • それは「音素、音節やリズム、声色や声質、音色や音質、声域や音域、強弱と長短、まとまり感やメリハリ感、(楽器の場合は)指使い」どで、成人でも左右の側頭葉がオーバーラップするほど、言語と音楽は似ているのです。

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