「おっさんずラブ」や「あなたの番です」などの作品をヒット作へと導いた、今最も忙しい俳優田中圭さんが主演を務める映画「mellow」が現在絶賛公開中です。
そして、この映画の主題歌を務めるのは歌手の並木瑠璃さん。
並木瑠璃さんと言えば、2008年に「学園天国」でメジャーデビューを果たし、その後は学業を優先した生活を送り、現在は明治大学文学部に所属、軽音サークルで活躍し、自身で作詞、作曲、編曲までこなすシンガーソングライターです。
そんな彼女が今回発表したのは「花になる」です。
映画内で田中圭さん演じる主人公 夏目誠一は街で一番オシャレな花屋の店主ですが、曲名からして映画とマッチしてそうな曲ですよね!
ということで、今回は並木瑠璃さんの「花になる」の歌詞に込められた意味を探っていこうと思います。
目次
- 「花になる」の歌詞
- この歌詞のキーワードは?
- ショートストーリー
- 「花になる」を聴くには
「花になる」の歌詞
花になる/並木瑠璃
気が付けば いつでも 笑わせてくれたね
数えきれない思い出 めくりながら息を吐く
赤から青になって そっと前を向いて歩く
急がなくていいから ゆっくりでいいから
会いたい 知りたい もっとそばにいたい
Ah そんな言葉が今 花になる
水色の空を 泳ぐ白い綿雲
滲む淡いこの想いは変わらずに
ずっと
会いたい 知りたい もっと触れていたい
Ah なんてすぐに言えないかわりに
足音が響く 過ぎ行く日々とともに
滲む淡いこの想いは変わらずに このままで
立ち止まり 進めない 土砂降りの雨の中
一日の終わりが 気づけば早くなってた
止まっていた世界から やっと抜け出せたの
だから ありがちな毎日が 眩しく光りだす
会いたい 知りたい もっとそばにいたい
Ah あなたらしいってことが何なのか
今すぐ伝えたい 甘い香りとともに
滲む淡いこの想いは変わらずに このままで
会いたい 知りたい もっとそばにいたい
Ah そんな言葉が今 花になる
水色の空を 泳ぐ白い綿雲
滲む淡いこの想いは変わらずに
ずっと
会いたい 知りたい もっと触れていたい
Ah なんてすぐに言えないかわりに
足音が響く 過ぎ行く日々とともに
滲む淡いこの想いは変わらずに このままで
歌詞に込められた意味とは?
この曲は一見、フラれた、もしくは遠距離恋愛中の女の子が男の子に想いを馳せている曲に思えるのですが、何度も聴いていると、私には 旅立つ彼女とそれを見送る彼氏の物語 に思えてきたのです。今回は、私の妄想したお話を、この歌詞の深読みとして紹介したいと思います。
その前に、この歌詞のキーワードの解説をします。
- 赤から青になって
- 花になる
①
赤から青になって そっと前を向いて歩く
「赤から青になって」が表しているのはきっと信号でしょう。
そこからさらに発展して、「自分自身を止めているブレーキを外し、かわりに新たな自分になるためのアクセルを踏む」ということを比喩しているのではないでしょうか。
そこで私はもしもここの主語が語り手自身ではなく、他人だったとしたら?と考えてみました。
そうすると、
「自分自身を止めているブレーキを外し、かわりに新たな自分になるためのアクセルを踏」んで前を見て挑戦し続ける誰かを応援している、そんな歌詞に思えてきませんか……?
そして、二番の
止まっていた世界から やっと抜け出せたのだから ありがちな毎日が 眩しく光りだす
この歌詞では、自分を縛っていた何かを自ら取っ払い、新しい世界に足を踏み入れたような描写がされています。
つまり、一番の歌詞と二番の歌詞では語り手が別で、一番の方は「応援する側」、二番の方は「応援される側」ということになります。
②
会いたい 知りたい もっとそばにいたいAh そんな言葉が今 花になる
「本当はまだそばにいてほしかった、けれど彼女の意思も尊重したい……」
そんな彼氏のささやかな優しさが伝わってくるようです。
そして、ここでポイントなのは、「そんな言葉が今 花になる」というこのフレーズ。曲名にも使われているほどなのでキーワードであることは確かなのですが、二番のサビには使われていないのです。
つまり、一番の語り手に言って欲しかった、ということですね。
「花になる」というと「美しく咲き誇る」という意味で受け流してしまいがちですが、ここではそれに加えてもう一つの意味があるように思います。
「花=美的な存在の代名詞」というのは世界共通認識のようなものなのですが、「花」にはもう一つ、日本独自の考え方があります。もののあはれ、つまり無常観や四季の変化における儚さを象徴としているのです。
会いたい。知りたい。もっとそばにいたい……そう口にしても、その願いは美しくも儚く消えていく。そんな寂しさが「花になる」という言葉に込められているのではないでしょうか。
そして、一番と二番で語り手が別人だということと、二番の言葉を考慮すると、一番は「彼女を応援する彼氏」、二番は「何かに頑張っている彼女」ということが考えられます。
以上のことを踏まえて、この歌詞に沿ったショートストーリーを書いてみました。
映画をもうすでにご覧になった方はこのショートストーリーを読むと、あることに気づくかもしれません。
「この曲ってまさか……??」
ショートストーリー
アルバムをめくりながら君のことを思い出す。
「海外に行く」といった君を笑顔で送り出したものの、心にある寂しさはどうしたって消えてくれない。
ただ、挑戦し続ける君を応援したい、と思っていることも事実だった。
まるで信号が変わったのを見て踏んでいたブレーキを外し、かわりにアクセルを踏み込むように、君は自分自身を前に進めようとしている。そんな君が誇らしくもあり、羨ましくもあった。
自分も変わらなくちゃ。アクセルを踏まなきゃ。一歩でも、二歩でもいい。ゆっくり、でもせめて成長して帰ってくる君に見せられるような自分にならなくちゃ。
でもやっぱり、とアルバムをめくる手を止める。本の中のたくさんの写真では、君が笑顔でいる。それを見るだけで、すぐにまた寂しさがこみ上げてくるのだ。
「会いたい……」
一人の部屋で呟いても、胸にあるこの願いは美しくも儚く消えていく。今会いに行っても迷惑をかけるだけだ、君は一人で夢に向かって頑張っているのだから。
ふうと一息ついて、またページをめくる。
「この写真……」
ふと、目線がある一枚の写真に留まる。それは君が留学に行く前に撮ったデートの時のものだった。澄み切った青空と、眩しい君の笑顔が映っている。
「綺麗だなぁ……」
アルバムから写真を取り出し、窓から差し込む光に透かしながら見る。窓の外の今日の空も、写真と同じ澄み切った青空だった。
日本からここへ来て少し経ったが、海外での生活にはまだ慣れない。
言葉もうまく伝わらないし、考え方の違いに苦しむことも多々あり、毎日が失敗の繰り返しだった。
でも今までの自分じゃない、と自分で言い聞かせる。
他人から提供されたことだけをこなす自分じゃない。やっと新しい自分になれる糸口を見つけられて、自分のために生きている今こそが自分を動かす原動力になっている。そう、信じている。
でもやっぱり、と商店街のショーケースを覗き込む。
「これ好きだったなぁ……」
日本で自分を待っているあなたの顔が浮かぶ。本当は今すぐにでも会いたいのだ。お店に行けばあなたの好きなものを探してしまうし、こういう時あなたならどうするかなと考えてしまう。
離れて改めて感じた「あなたらしさ」、今すぐにでもあなたに伝えたい。できるなら、花びらが風に乗って降るように、そっと、あなたに届いてほしい。
「花になる」を聴くには
この「花になる」ですが、1月10日にいくつかの音楽配信サイトにて配信が開始されてます。
そのサイトは
また、この曲が主題歌となっている映画「mellow」は1月17日から全国公開しているのでぜひそちらもチェックしてみてくださいね。
今回は並木瑠璃さんの「花になる」という曲をご紹介させていただきました。いかがだったでしょうか。
透き通った力強い歌声に切ない歌詞がマッチして素敵な楽曲になっています。
ぜひみなさんも聴いてみてくださいね。