先日、人生初の精神科へ足を運んだ。

 
自分の息子が、まさか精神科へ行くことになるとは思わなかったが、しかし、息子は現に困っている。
 
今は一刻を争う事態のように思えて、意を決して受診。
 
 
困り事は、簡単に挙げると、
 
 
☆不安が大きい。すぐに泣く。敏感。緊張と不安が高まるとパニックを起こす。
 
☆人が恐い。集団に入れない。母子分離できない。一人で登校できない。
 
☆興奮すると周りが見えなくなる。落ち着きがない。ずっと喋り続ける。感情コントロールが上手くできない。
 
☆対人関係トラブル。すぐに友達と喧嘩になる。負けると癇癪。どんな状況でも、自分が正しいと思い込んでいる。暴言を吐いてしまう。
 
など。
 
特にこちらからは医師に、発達のことは何も言わず、心の問題として列挙したが、医師は、その困り事を聞いた後、息子のソファーに寝そべっている姿を見ながら、
 
「忘れ物は多いですか?」
 
と聞いてきた。後は、
 
「学校ではきちんと座っていられる?」
 
とか、
 
「こだわりはありますか?」
 
など。
 
色々と答えていると、医師はやはりこう言った。
 
 
「なるほど。発達に凸凹がありそうですね。」
 
 
 
やはりそうか…。
 
 
 
 
長年、心の奥で悶々としてきた答えがひとつ見つかったようだった。
 
 
 
医師曰く、自閉スペクトラム症と、ADHDが併発している可能性があるとのこと。
 
しかし、今はADHDの方が強く出てきているようだ。
 
登校時の泣きやパニックは、その二次障害であり、不安障害であることを告げられた。
 
 
母は、発達の問題であることは予想はしていたが、ADHDのことはほぼ頭になかったので、少し面食らってしまった。
 
しかしよくよく考えると、昔から、おんなじことを何百回と言っても分からなかったりする息子なので、そのことを思い出せば、すとんと腑に落ちた。
 
 
医師は続けて、発達検査を受けるように促してきた。
 
もちろん、二つ返事で「はい」と言った。
 
 
ここまできて、はっきりしないと、息子に適切な支援ができなくなる。
 
息子に必要な支援と理解が欲しい。
 
すでに二次障害が出ているのだから、周囲に理解してもらい、早急な手立てが必要だと思った。
 
普通だったら、何をしても他の人と同じことを要求されてしまうが、特性があることが分かると、どうしてあげたらいいか、共通の理解ができる。
 
根拠を持って、こういうサポートが必要だ、と言える。
 
 
何で他の子とこうも違うのか?
 
何事もスムーズに行かないのはなぜか?
 
今までずっと、理由が分からなかったから、とても辛かった。
 
でも、特性のためだと分かると、どれだけ今まで怒ったって意味がなかったということを知る。
 
愛情をどれだけ注いでも、その辺りはどうにも変わらなかったことが腑に落ちる。
 
 
息子は幸いにして、素直で明るい性格の持ち主だ。
 
いくら怒られたって、次の瞬間にはケロッとして、楽しいことを次々に想像しているところがある。
 
だからこそ、パニックになって暴れても、翌日には何事も無かったような顔をしていたりもするんだろう・・・。
 
一見、他の子と何ら変わりはない。
 
でも、定型発達の子なら自然に習得できるスキルを、息子は、いちいち手取り足取りで教えていかなくてはならない。
 
そのためのサポートを、学校へもお願いしようと思ったのだった。
 
 
 
ADHDの可能性と聞き、すぐに入手して読んだ本。
 


 

普通で、ちょっと元気すぎるだけだと思ってきた我が子が発達障害だったと知り、それを夫婦共に受容し、適切な接し方に至るまでが、分かりやすく描かれた漫画。
 
ADHDと言っても、やはり一人一人違うので、こちらの男の子とは異なっている点もあるが、深く頷ける部分もたくさんあった。
 
巻末のコラムも、とても親の気持ちに寄り添ってくれているなと感じた。
 
とにかく、この男の子もそうだが、困りごとが顕著になってきている時には、もう対応が困難というところまで来ている場合もあるので、この脳の特性をもっと知ってもらうことが重要だ。
 
普通に近づこうと頑張り続ける人生よりも、そのままをさらけ出して、周りの人に助けてもらいながら生きる人生の方が、何倍も楽で幸せに違いない。
 
それは決して、特別扱いというのではない。
 
みんなと同じように育ち合う中で、大人がすべき、必要な工夫と行っていいと思う。