美容院の帰り道、ふと近くにずっと気になっていたとんかつ屋さんが目に入った。


1階が精肉屋さん、2階が店舗。

レンガ造のビルは佇まいからその歴史を醸し出している。


まだ早い時間だったので、ふらりと入ってみようとなぜか思い立ち階段をてくてくと登る。


渡鬼に出てきそうな、青年が出迎えてくれた。

気持ちが良い挨拶に、ずっと背筋が伸びる。


お手元のロゴは、創業当初からのものだろう。

風情を感じずにはいられない。


ちょっと焦げ気味のメンチカツとエビフライ。

どっしりとした陶器のうえで佇んでいた。

さすがお肉屋さんと言わんばかりの、ジュースィーメンチカツ。うん、うん、おいしい。


お味噌汁はお豆腐となめことわかめ。ちゃんとお味噌汁としても成り立つ具材が入っていて、小さな心遣いを感じる。


時間を追ってきたのが、サラダのドレッシングはこちらからどうぞ、と銀色の専用の器を渡された。ちょこんと、テーブルにいるのが、なんともかわいい。かわいぃい…





こういうところにときめき散らしてしまう。



えっ…わたしの…すきな…分量で…かけて…いいんでございましょうか…う…




老舗ならではの独自スタイルを見せつける感じの自信も好きなのだが、ここは自分で選んでいいよ、と選択を委ねられる緩急に嬉しくなる。


はじめは、わたしと男性客1名だったのに、

気づけば満席になっていた。家族連れ、ご夫婦、ひとり客。それぞれがそれぞれに楽しんでいる。

愛されてきたお店の、景色だった。


ひとりっ子によって身につけた、1人遊びのひとつ人間観察をフル活動させていたところ、ある一言が聞こえてきた。


ポン酢ください!ネギ多めでね。







ポン酢ください!?!?!








そんなものはメニューに載っていない。

それもリクエスト付き。

これぞ、常連さんのなせる技。





あと3回くらいきたら、

しどろもどろに、ネギポン酢を頼んでみよう。