そして必ずこの手で掴むから

そして必ずこの手で掴むから

★マルチクリエイターを目指す深雪美貴のお部屋★

Amebaでブログを始めよう!
Revolutionist -革命家-
2nd Revolution


序章から読む


ふと考えてみる。好きだと想う気持ちはどこから来るのか。
いつから好きだったのだろうか。
それはとても自然で、とても突然なことだったように思う。
目を閉じると、笑顔が浮かぶ。
愛しくて、四六時中傍に居られないものかと思う。
甘酸っぱい想いが胸に溜まり、溜め息に変える。


冥王カオスの宣戦布告から始まった星を賭けての戦争は、カオスの精神を支配していた初代冥王の力を、天帝の力に目覚めたグレンら6人の歌で消し去ることによって終結した。
人間の国の城へ帰還した英雄達を迎えた隊員達の歓喜の声がやっと静まると、国王・ジルは執務室に入るように皆に勧めた。
「完全に封印する事ができなかった初代冥王、逃亡したカーマインとまだ解決していない問題はあるものの、全員よく生きて帰ってきてくれた。今一度、重ねて礼を言わせてくれ。ありがとう」
そう言うとジルは、6人と順番に固い握手を交わした。
「私も確信したよ。君達の歌は、星を救える。近いうちに、アレックス率いる新部隊を正式に結成しようじゃないか」
高揚したジルの熱っぽい言葉を拾い、すぐにアレックスが冷静に続いた。
「そうしたいのは山々なんだが、まだ解析できていないことがある。それに、グレンと姫さん、姐御が力に目覚めたことで何かが変わっているかもしれない。あと少しで掴めるとは思うから、結成や人選はそれからにさせてほしい」
なるほど、とジルは小さく独りごちた。そして何か閃いたように新しく言葉を紡ぎだした。
「では、期限を決めよう。だらだらと解析に時間をかけていてはいざという時に間に合わない可能性もある。2ヶ月後。2ヶ月後に、今回の戦争が終わったこと、新しい部隊の結成を祝して宴を開こうじゃないか」
ジルの提案に、アレックスは一瞬目を細めた。正直、結果が必ず出せるか先の見えず不安がよぎった。しかしすぐに、アレックスは凛と胸を張って答えた。
「分かりました。必ず2ヶ月の間に結成まで持っていきます」
「よし。頼んだぞ」
そう言いながらジルはアレックスの右肩を力強く掴んだ。
アレックスの答えに、他の5人の面持ちも引き締まる。
「では、もう固い話は抜きにしよう。今日はもう休みなさい。」
ジルの言葉に、先程の緊張が解れ、笑顔が浮かぶ。灰猫は顔を輝かせるとジルに駆け寄り、腕を絡ませた。
「わぁい♪お父ちゃん、ありがとう♪」
ジルは愛しそうに目を細め、目尻を下げると灰猫の高いツインテールの間を大きな手で撫でた。
そうしていると、リチャードが若い部下を連れて前へと進み出てきた。
「休め、と言っても君達のことだ。これから呑み屋に行くんだろう?これは私からの餞別だ、力つけて行きなさい」
若い部下は6人に体力回復ドリンク・ケアリーゼの瓶を渡していった。
受け取ると、グレンはわざとシナを作り、自分より小さなリチャードに腕を絡ませた。
「わぁい♪先生、ありがとう♪」
「グレン君のは嬉しくない!離れなさい!」
そう言いながらも、リチャードは笑いながら体を嫌々と揺らすだけだった。
「ほな、行こか!」
ケアリーゼを飲み干し、体力が回復したホークアイは、キリリとした凛々しい表情で、ジルにもたれ掛かる灰猫を見詰めて手招きをした。
それに気付いた灰猫はジルから離れ、ケアリーゼを受け取りながらホークアイの方へ歩み寄った。
「この時間じゃまだお店開いてませんよぉ。一時間後にまた集合しましょ?」
冥界へ発つ前までホークアイに対して警戒した素振りをしていたのに、最終決戦を共に乗り越えたからか、すっかり警戒心を解いていることをパツィーは感じた。その瞬間、急に憤りが腹の底から沸き上がって胸を突き上げる。
一瞬で顔を赤らめて険しい顔付きに変わったパツィーを見てジルはパツィーの背中を軽く叩いた。
「パツィー君も疲れただろう。今日はもう上がって灰猫達と呑みに行きなさい」
「はい!ありがとうございます!」
パツィーはパァッと顔を輝かせ、体を直角に折った。今度はホークアイが惜しそうに顔をしかめる。
「あ…あの…あたし、未成年だからこのまま帰ります…」
麗蘭が珍しくおずおずと控えめな態度を見せる。本当はアレックスの傍に居たいと思うが、さすがに15歳で居酒屋には入れない。
「うぬぅ、残念だなぁ」
つまらなさそうに口を尖らせるアレックスを見て、麗蘭は急に態度を変える。
「べ…別にあんたと行きたいなんて言ってないでしょ!?」
そんな麗蘭にイヴはいつものようにコロコロと鈴を転がすように笑う。
「よし、着替えたら一時間後に正門で集合だ!」
グレンの言葉を合図に、執務室に居た全員が三々五々散っていった。



第二章、連載開始しました!
毎週火曜日に更新いたします。


小説の設定等
小説専用blog

深雪美貴
http://miyukiyoshitaka.web.fc2.com/

mixiページ作りました
http://page.mixi.jp/view_page.pl?page_id=208474

読者登録してね
Team MIX主催「第二回ミックスパーティー」明日開催となります!

わたしも「灰猫」名義でスタッフ参加&ゴスロリブランドブースを出店いたします。
うちのブースの売り上げの一部は、全国精神障害者就労支援事業所連合会様へ寄付いたします。

お店もものすごくお洒落ですし、スタッフも個性豊かで素敵な人が揃っています。
ぜひぜひ、下記をご一読いただきまして、遊びにいらして下さい!


【ミックスパーティー立ち上げの想い】
女装さん・ニューハーフさん・男装さん・GIDさん
こういった方が生きて行くにはまだまだ肩身が狭いと思いませんか??
1人では出来なくても100人なら100人なりの何かが、
1000人なら1000人の何かが出来ると思いませんか?
きっと1000人も集まれば私たちの事を取り上げてくれるようになると思うのです!!
女が男装して何も言われないのに男が女装して何故言われなければいけない!!
仕事で髪伸ばす事が何故ゆるされない!!
私たちのことを知りもせず勝手な事言ってほしくない!!
肩身狭いところから少しでも普通に生活できるようにしたいと思い結成しました!


【日にち】1月19日(土)
【時間】13:00開場
    13:30開宴
    16:00終宴
【場所】渋谷 UNDER DEER Lounge
    http://www.under-dl.jp/
【会費】飲み放題2時間&フード6品&ライブ ¥5,000
    ※2時間以降のドリンクは単品でのオーダーをお願いいたします。
【年齢制限】20歳以上 ※アルコールが有るため
【タイムスケジュール】
未定

※当日場所がわからない方はスタッフがお迎えにいきます。
道に迷った際はスタッフにご連絡下さい。

【今回の企画】
★男の娘バンド・『ねこ☆みみ』さんのシークレット・ライブが決定いたしました!

CD・DVDの販売も行う可能性があります♪
サイン入りが買えるのは、ここだけかもしれませんよ★

【色々な出店ブースもあり!?】
前回はタロットブースとアクセサリーブースを設けることができました!
他にも前回以上に出店予定♪

■メイクアップ講座ブース
MIX(美容研究家♪)があなたが一番輝けるメイクテクニックを伝授いたします!
さぁ、みんな綺麗になっておしまいっ♪


■アクセサリーブース
こちらはフルオーダーのアクセサリーから、今もっているけど
物足りないというものをリペアしていただくことも可能です!
当日出店もありますので、是非是非お楽しみください♪


■タロットなどの占いブース
な、なんと当日は占い師様が二名もきていただけます!
タロットなどなどの占いをしていただけるので、気になる方は是非やってみてくださいね><


■ゴスロリブランドブース
灰猫がゴシック&ロリィタテイストの小物や洋服のブランドを展開します♪
ミックスパーティーのオリジナルグッズも数量限定で販売いたします♪


☆★☆展示イラストを募集中です☆★☆
当日までに店内を飾り付けるイラストを募集します!
書いてみたい!素敵な会場に飾ってもらいたい!自分の画力をアピールしたい!
という方は色々な人がくるのでチャンスかと思われます!

興味がある方はわたくしまでメッセージいただければと思います!


★★★★★★★★★★★★
一回目に出来なかった事を更に形にしていきます!!
グレードアップしますよぉぉぉぉぉ♪

ブース数の倍増計画♪
企画のパワーアップ♪

これらを可能にするため、一回目の会場でした
ダイナーさんの姉妹店にしようと計画中♪
150名まで対応可能なお店とのことです♪

スタッフ各自で一回目の反省しつつ、確実なるぱわーあっぷさせますので
乞うご期待を♪♪♪v(⌒o⌒)v♪♪イエーイ

【ご予約の方】
ご予約していただける方はこの記事にコメントいただくか、
メッセージでご連絡いただくか、下記コミュニティーに参加してください!

【ツイプラ】
http://twipla.jp/events/36339

【mixi】
http://mixi.jp/view_community.pl?id=6071448
(イベントトピックスの参加ボタンをクリックしてくださいませ♪)
Revolutionist -革命家-
1st Revolution


序章から読む


冥王城を後にした6人が人間の国の上空を飛んでいると、地上で国民達が6人へ手を振っていた。
誰もが皆、歓喜に溢れた平和な笑顔をしていた。
右手をイヴの腰に回して飛翔呪文を干渉されているグレンは、空いた左手を振って応えながらイヴに話し掛ける。
「本当に戦争は終わったんだね」
そう口にして、地上からイヴへ向き直ると、イヴとの距離の近さに改めて鼓動が強くなる。
すぐに耳まで熱くなるのを感じ、悟られまいとすぐに地上へ視線を戻す。
そんなグレンの気持ちに気付いているのかいないのか、イヴは片腕で掴まっているグレンをより一層抱き寄せてから答える。
「そうね、みんな嬉しそう。でも、まだ初代冥王がいるわ。本当の平和はまだまだ先よ」
「あ…あぁ、そうだね…」
イヴの体の柔らかい質感がグレンの体に染み込む。
甘酸っぱい想いで胸が一杯のグレンは、平常心を装う事に必死で、上手く返事が出来なかった。
他のメンバーも、世界が平和へ一歩前進した喜びを感じながら手を振って応えていた。
麗蘭は落ちぬ様固く灰猫に両腕で抱き着きながら、胸を感動で満たしていた。
『セレーネ様と同じ様に、あたしも歌で戦争を終わらせる事ができた!これから初代冥王がどんな戦争を始めても、あたしは歌い続けて世界を護りたい!』
夢が叶った麗蘭の目に涙が浮かぶ。それを横目に見る灰猫の目も潤んでいた。
『オレのやりたいこと、麗蘭ちゃんと同じなのかも。刀より歌で世界を護りたい。聴こえてきたお父ちゃんの歌声、パツィーさんの歌声…みんなの歌声。あんな風に世界中の人の歌で世界を平和にしたい』
鷹の原形で雄々しく飛ぶホークアイの傍へアレックスは寄っていった。
「なぁ中佐。おれ達の目指していた事に間違いはなかっただろ?」
ホークアイは頭をアレックスに向けた。鷹の目は鋭いが声には歓喜と興奮が溢れていた。
「せやな!研究中は何も解らんとつまらんかったけどな、やっぱり何かあるで。モチベーション持ち直したわ!」
「最近大人しく淡々と仕事してると思ったら、そういうことだったのか。中佐は何か面白いことないと禁断症状出るんじゃないか?」
アレックスとホークアイは顔を見合わせると互いに声に出して笑い出した。
やがて人間の国の城が見えてきた。
窓や屋上の至る所から隊員達が英雄を一目見ようと身を乗り出し、迎えようと手を振っている。
6人はあちこちに向かって手を振って応えながら城に近付くと、執務室前の渡り廊下に降り立った。
そこには既にセンター小隊の面々と、ジル・フローラが6人を待っていた。
着地を済ませるとホークアイは鷹からヒトの姿へ変身する。それを確認すると6人はジルとフローラの正面で横一列に並び、姿勢を正して敬礼をする。
代表して、グレンが報告の言葉を述べる。普段の女性っぽさを感じさせるような柔らかさではなく、男性らしく凛々しい雰囲気がした。
「只今、全員無事に帰還いたしました!」
その言葉に、周囲の隊員達から一斉に大きな歓声がどっと沸き起こる。あまりの喜びのパワーの激しさに空気までもが震えた。
歓声はピークを過ぎてボリュームを落としたが、まだまだ続いていた。中には救世神と天帝の復活を喜ぶ声もあった。
その歓声の中で、ジルは低く、静かながらもしっかりと聴こえる程の言霊を込めて答えた。
「本当によくやってくれた。何よりも、全員無事で良かった…ありがとう…!」
ジルの言葉に、周囲の歓声がまた一度沸き立った。
フローラは息子達が無事且つ強く大きくなって帰って来たことに感涙を浮かべた。しかし堪えきれず、二人の息子を両手にかき抱いた。
ジルの後ろに控えるパツィーも、灰猫やグレンが笑顔で帰って来てくれた事に安堵し、顔を真っ赤にして涙を堪えていた。そんなパツィーの視線に気付いた灰猫は満面の笑顔で敬礼をする。パツィーも猫背を伸ばし、口を真一文字に結んで敬礼を返す。
他の隊員達が壁のように重なり、小さなコーネリアは少しでもグレンを見ようと何度も爪先で立って背伸びを試みた。見られるはずもなく、隊員達の隙間に手を入れて前へ潜り抜けようかとも試みたが、興奮している隊員達は密に固まり、どうも潜れそうになかった。
途方にくれて俯いて大きな溜息を吐いた。すると急に体がふわりと持ち上がり、隊員達の頭を超えて、人垣の先にグレンの顔が見えた。
「どうぉ?見えたかしら?」
声のした左脇を見ると、カヲルコが自分を見上げていた。カヲルコがコーネリアを抱えて右肩へ座らせたのだった。
「うん!ユー、ありがとう!」
そうしてまたグレンへと視線を戻す。自分の方を見てくれることは一度もなかったが、コーネリアはグレンを見詰めているだけでときめいて胸が熱く満たされていた。

グレンは母の肩を撫でながら空を見上げた。
今、一つの戦争が終わった。
しかし、初代冥王を完全に倒さない限り、戦争は繰り返されるだろう。
『だけど、ぼくらはぜったいに負けない』
瞼を閉じて、自分の中で熱く燃えている心の燈を感じた。自分の中で光る天帝の力を感じた。
『世界を一つにするため、大好きな人達を護るため、星を護るために、ぼくらは歌い続けるんだ。言葉より速く、光より遠くへ、想いが届くまで歌い続けるんだ。だから、ぼくらは絶対に負けない…!』
目を開けて正面を向くと、イヴが周りに手を振って答えていた。
『カオスさん。ぼくは貴方にも絶対に負けないよ』
心地よい風が、歓声を運びグレンの柔らかい髪を揺らした。
その風を合図にしてか、6人は互いに無言で向き合う。
それぞれの心の中で、強い想いは燈を燃やしていた。

革命は今、幕を開けた。


The end of 1st Revolution



第一章、VS冥王カオス編完結です。
ご愛読ありがとうございます。
少しお休みをいただいて、二月第一週火曜日より第二章連載開始いたします!


小説の設定等
小説専用blog

深雪美貴
http://miyukiyoshitaka.web.fc2.com/

mixiページ作りました
http://page.mixi.jp/view_page.pl?page_id=208474

読者登録してね
Revolutionist -革命家-
1st Revolution


序章から読む


不意に、灰猫の通信機からパツィーの声が聴こえた。
『お疲れ様です。皆さん、お帰りになるだけの体力は残っておられますか?』
予期せず聴こえた愛しい声に、直ぐに起き上がるとときめきを抑えて応答した。
「お疲れ様です!正直、全員体力が残ってない状況です。どうしたらよいか…」
『困りましたねぇ、お迎えに上がれる方を募ろうかという話にはなっているんですが』
パツィーの声に顔を輝かせる灰猫を見て、ホークアイは面白くなく、弄りたがりな性格を出し、巻き舌も強めに茶々を入れる。
「うるぅぁ!何でもええからはよよこせやぁ!」
その声にやや驚きながらも、イヴはおずおずと薄桃色の花を差し出した。
「生命の花よ。この花の蜜を嘗めるだけで、帰れる分の体力くらいは回復するわ」
「ほぉ…そうか。ありがとさん」
礼を述べるとホークアイはイヴから生命の花を一輪受け取った。
茎から花をもぎり、花の根本に口を付ける。
自然な甘さのその蜜を飲み込むと、背筋がしゃんと伸びた。
「ほんまや!力湧いてきたで!灰猫も飲んでみい」
「あ…はい…」
テンションMAXのホークアイに突然話を振られ、ついていけずに灰猫は気のない返事をする。
「灰猫ちゃんは麗蘭も連れていくから2つね」
そう言いながらイヴは二輪花を差し出す。
恭しく受け取ると、灰猫も蜜を嘗めた。
「あ…ホントだ!しっかりしてきた!すっげぇ!」
さっきまでカクカクしてピンヒールに負けそうだった足が、しっかりと地を踏み締めていた。
「あのぉ、お兄さぁん。ぼく、魔法使えなくなっちゃったみたいなんでぇ、連れてってほしいんですけどぉ」
グレンが甘ったれた声でアレックスにもたれかかる。そんなグレンを引き剥がすと、手で払うような仕草をした。
「男になった貴様になぞ興味はない!美女に戻れ!」
「えー?デフォルトが男の子だよぉ?」
そんなやりとりを見ていたイヴが、くすくす笑いながら歩み寄ってきた。
「大丈夫よ、わたしが連れてってあげる」
「ホントー!?」
一瞬、素直に喜んだが、翔ぶ時にはイヴと寄り添わなくてはならないことに気付くと顔を耳まで赤くした。それを悟られまいと別の話に切り替えようと言葉を探す。
「えーと…その…。イヴ、話し方変わったな」
えへ、と小さく呟くと、少しバツが悪そうな顔をして続けた。
「迷惑かけちゃって申し訳なかったけど、アンナになってみて心のタガが外れたっていうか。も少し自由に生きてみようと思うの」
「そっか。それでイヴが楽に生きられるならそれでいいんじゃないかな」
「うん。あ、あとね、ありがとう」
急に礼を言われたグレンはなんのことか分からず、首を傾げる。
「カオスさんを殺さないでくれてありがとう。いつ目覚めるか分からないけど、わたし、待ってようと思う」
「あぁ…うん」
恋敵の話を持ち出され、グレンは上の空な返事しか出来なかった。
ホークアイは大きく伸びをすると、仲間に張りのある声をかけた。
「さぁ、帰るか。戻ったらみんなでうんまい酒呑もうな」
「そうだな。中佐、姐御、付き合ってもらうぞ」
「米酒呑みたぁい♪」
思い思いの欲望を口にする三人を見て二人でくすくす笑うと、グレンは穏やかな優しい気持ちでイヴに声をかけた。
「これからぼく達は初代冥王にも、力を受け継いだプレッシャーにも勝たなきゃいけないけど。イヴとなら頑張れる気がするよ」
イヴはふわりと笑うと答えた。
「うん。頑張ろうね」
そして、六人は来た道を戻り、冥王の城を屋上まで出た。戦争に決着がついたとはいえ、魔族と会うと面倒なことになりそうだからである。
来た時には気付かなかったが、空を仰ぎ見ると濃い青さをしていた。
「空ってこんなに綺麗だったんだね」
元々青が好きな麗蘭が目を輝かせる。
「空ってどこまでも繋がってるのにさ。何でその下で陣地を争うんだろね」
灰猫が万感を込めて溜め息を漏らす。
「ぼく達はその争いを無くすために、これからも歌うんだよ」
グレンの言葉に、それぞれが一番の想いを口にする。
「誰も泣かない世界がほしいなぁ」
「いっつも光に溢れた世界がええなぁ」
「女の子が安心して暮らせる世界にしたいな」
「いつか世界中のヒト達と一緒に歌えたらなぁ」
「種族なんか関係ない世界がいいなぁ」
その時、爽やかな風が六人の間を過ぎ去っていった。疲れを忘れるような清々しさに、たっぷりと息を吸う。
「ぼく達の歌で革命を起こすんだ」
グレンの決意に、仲間達は深く頷く。
そして六人は、青空へと舞い上がった。



毎週火曜日に更新いたします。

小説の設定等
小説専用blog

深雪美貴
http://miyukiyoshitaka.web.fc2.com/

mixiページ作りました
http://page.mixi.jp/view_page.pl?page_id=208474

読者登録してね
Revolutionist -革命家-
1st Revolution


序章から読む


「あぁ…!またこのノイズ…!」
ガラン、と無機質な音を立てて冥王の鎌が放り出され床に転がる。
カオスは耳を覆って悶えた。
耳を塞いでも精神に直接響く歌声に身を捩り、苦しむ。
爪先や指先から、プツプツと自分の意識が途切れてゆくのを初代冥王は感じていた。
その体の中心部から、歌が聴こえ始めた。
自由が少し効くようになったカオスも共に歌い出したのだ。
「はぅぁ…止めろ…止めろ!こんなくだらん真似など今すぐ止めろ…!」
カオスは両膝をつき、抱えたままガクガクと頭を前後に揺らした。
『元の優しいカオスさんに戻って』
『世界を救う為に、消えて』
六人はより一層力と心を込めて大きな声で歌った。それぞれの思いを、ありったけぶつける。
グレンとイヴ、灰猫の体が聖なる光で輝く。
カオスの中で、初代冥王が占めている領域が少しずつ狭まってゆく。それにつれて、内から聴こえるカオスの歌声も強いものに変わってゆく。
カオスはとうとう半身を前に倒し、苦しさと悔しさから拳を床に何度も叩き付ける。
「余は…余は滅びぬ!必ずや選ばれし肉体を手に入れて蘇る!」
急に、何かを欲しがるように片手を天に差し伸ばした。しかしその手は震えていた。
「必ずや星を我が手に!」
断末魔の叫びを口にすると、カオスはプツリと糸が切れたように前のめりに倒れた。
「カオスさん!」
直ぐにイヴと灰猫が駆け寄る。
イヴが抱き起こすと、カオスは意識は失ってはいたが正常に呼吸を繰り返していた。
「良かった…!」
イヴは涙で顔を濡らしながら、カオスをきつく抱き締めた。
五人の手首の通信機からは、歓声が高らかに鳴り響いていた。

グレンは眠るカオスを抱き上げ、外で待つ大蛇に引き渡した。
「いつ目覚めるかは分かりませんが、しっかりと生きています。休ませてあげて下さい」
何度も何度も礼を述べると、大蛇はカオスを抱えてどこかへ去っていった。
「さて…」
グレンは踵を返して棺の間に戻ると、初代冥王の棺の前に出た。それに続いて五人も棺の前に並ぶ。
グレンが書物の中で見たものとは違い、鎖が掛けられていない只の棺桶だけとなっていた。
「まだ、初代冥王の気配がする。海帝がいなくてもこれをこのままにはしたくない。イヴ、力を貸して」
グレンの言葉に頷くと、二人は棺に向かって両掌をかざした。
二人が精神を集中させると、棺に光輝くヴェールがかかった。
しかし、棺も抗い、黒い電光が迸り、なかなかヴェールは棺を包めなかった。
二人は力を振り絞る。ヴェールは尚も必死に棺をくるもうとするが、棺は抵抗を止めない。
灰猫は二人の背中に手を差し伸べて支えた。彼女もまた、革命家の力を振り絞る。
それだけでなく、アレックスがイヴの背を支える。ホークアイもグレンの背を支える。二人とも持てる限りの魔力を解放して二人に伝えた。
魔力を持たぬ麗蘭は、自分に何が出来るのか考えると、『Free World』を歌い始めた。
援護を受け、光のヴェールは輝きを増した。
ヴェールは棺をゆっくりと包んでゆく。
抵抗していた棺の電光も、段々と弱まっていく。
気が付くと、通信機からまた司令部の合唱が加わっていた。
「光となれ…!」
「闇を照らせ…!」
グレンとイヴは力の限り叫んだ。
遂に光のヴェールは電光ごと棺を包み込んだ。電光は収まり、棺は仄明るく光る。
棺を中心として、闇が消え冥王の城に元の明るい光が広がってゆく。
体力が尽きた五人は、安堵からも膝をつく。
いつの間にかグレンと灰猫は軍服へ、イヴは薄黄色のドレスへと普段の姿に戻っていた。
灰猫はゴロンと仰向けに大の字になって寝転がった。
「おわっ…たぁぁ!」
その横に、ホークアイも大の字になる。
「うんまい酒が呑めんぞー!」
それに倣って、アレックスも寝転がる。
「ビール、ピッチャーで持ってこーい!」
「何調子の良いこと言ってんのよ!あんたクッタクタじゃない!」
麗蘭がピシャリとアレックスの脛を叩きながら言う。
六人はしばし、腹の底から笑い転げた。
途中でグレンは、棺に振り向いた。仄かに光る棺を見て、通信機に話し掛けた。
「今のぼくらには、初代冥王の完全復活を遅らせることしかできませんでした。近いいつか封印は解けて復活するでしょう」
すると通信機の向こうからジルの低音が聞こえた。
「音しか聴けなかったが、全員良く頑張ってくれた。お前も良く踏ん張ってくれた。ありがとう。本当にありがとう」
父親の温かい声にグレンは初めて緊張が解け、無意識に涙が溢れた。



毎週火曜日に更新いたします。

小説の設定等
小説専用blog

深雪美貴
http://miyukiyoshitaka.web.fc2.com/

mixiページ作りました
http://page.mixi.jp/view_page.pl?page_id=208474

読者登録してね