香三才―香と日本人のものがたり
折にふれて読み返す大切な本のひとつで 香三才(2004年、東京書籍)は、畑正高氏よる日本の香文化を概説した書籍です
畑正高さんは京都生まれ、松栄堂の代表取締役社長として香文化の普及に尽力してきた人物です
香に関する執筆だけでなく、香り風景選考委員、大学講師、香道教室理事など幅広く活動された方で『香三才』のほかにも香の文化に関する著作・監修書籍があります
(畑氏は2025年8月9日に逝去されています71歳)
京都の老舗香舗・松栄堂の代表を務め、香文化の普及活動にも携わっておられた方で本書は専門書というより一般向けの文化解説書として位置づけられています
香の伝来は🌸
日本における香木の記録は、『日本書紀』推古天皇3年(595年)条に見られ淡路島に沈香が漂着したという記事でこの記述は、日本における香文化史を語る際の基本史料とされ
その後、仏教儀礼の中で香は供養・清浄のために用いられ、寺院文化とともに広がったそうです
宮廷文化と香としては🌸
平安期には、香は宮廷文化の一部となり『源氏物語』などの文学作品には、衣に焚きしめた香が人物描写の一要素として登場しますが とても素敵☺️
香りは個人の教養や身分を示す文化的記号として機能したそうですよ
中世には組香が成立し、室町時代に香道として体系化されたとされ現在も、例えば御家流香道や志野流などの流派が伝承を続けているとのこと
香を「聞く」という表現で
香道では、香りを「嗅ぐ」ではなく「聞く」と表現し、この用語は現行の香道実践でも確認できるとの事
大好きなこの本の特徴は 古代から近代までの香文化を通史的に整理しつつ、宗教・文学・美意識との関連を紹介しているところで
史料の引用を交えながらも、わたしのような一般読者でも理解しやすい構成になっています
日本人と「香り」との関わりを、歴史・文化・感性の観点からたどる文化史で「なぜ日本人は香を受け入れたのか」という文化的背景にも焦点を当てており、香とは祈りであり、場を清め、心を整えるものとして生活に根づいていった様子などもわかります
古代から現代まで、日本の生活や宗教、文学、美意識と香がどのように結びついてきたかを、やわらかく読みやすい語り口で紹介してくださっておりとにかく美しい丁寧な本です☺️🌸



