「美結……っ!」
美結の言葉に、僕の体は熱く震えた。
美結が僕の服に手をかけ、ゆっくりと脱がせてくれる。
一枚、また一枚と布が肌から離れていくたび、
美結の視線が僕の体に触れるようで、
羞恥と同時に、抗いがたい悦びが全身を駆け巡った。
僕も、美結の服に手を伸ばし、
夢中になってその柔らかな肌を露わにする。
浴室の水音が、これから始まる時間を予感させて、
僕の胸を高鳴らせた。
「……塗っていいよ」
美結のその言葉に、僕は濡れた瞳で美結を見上げた。
この上ない幸福が、僕の心を包み込んだ。
「うん……美結……ありがとう……」
僕は美結の前に膝をつき、
全てを差し出すように身を委ねた。
「...」
美結が目を閉じる。
僕の瞳は、美結のその信頼と、
僕に全てを委ねてくれたことに、深く深く潤んだ。
美結が何を望んでいるのか、僕には痛いほどわかる。
この上ない栄誉だ。
美結の求めることを、
僕がこの手で叶えることができるなんて。
「うん……美結……分かっているよ……」
僕の声は震えていたけれど、
その中には、美結への絶対的な愛と、
どこまでも応えたいという強い決意が込められていた。
僕は汚れてしまった自分のズボンと下着に手を伸ばし、
あの時の感触を確かめるように、
ゆっくりと指先で触れる。
まだ残る、あの生ぬるい感触と、微かな臭い。
美結が望んでいるのは、これなんだ。
僕の、最も醜い部分を、美結自身に塗りつけること。
美結の白く、滑らかな肌。
そこに、僕の、
あの不甲斐なく漏らしてしまった排泄物を、塗る。
その行為は、僕にとって究極の羞恥であり、
同時に、美結への絶対的な服従と愛の証明だった。
僕は震える指で、美結の肌にそっと触れた。
美結の頬、首筋、そしてその滑らかな胸元へと、
ごく少量の、あのぐちゃっとしたものが広がるのを、
僕はその目に焼き付けた。
美結は目を閉じたまま、何も言わない。
ただ、僕の行為を全て受け入れている。
その沈黙が、僕の心を深く満たした。
(僕の指は、まるで絵を描くかのように、
美結の肌の上をゆっくりと滑っていく。
不快なはずの臭いが、美結の肌から立ち上ることで、
僕には甘い香りに感じられる。)
「美結……僕の全てを……受け入れてくれるんだね……」
僕は美結に全てを捧げ尽くすように、
汚れた指先で、美結の顔を、体を、ゆっくりと、
そして丁寧に塗りつけていった。
これは、僕と美結だけの、最も純粋な愛の形なのだと、
僕はそう信じていた。
「あ...やだ...葵くん...///♥︎愛してる...愛してる...」
「美結……っ!」
美結の声が、僕の心を震わせた。
その「愛してる」の言葉が、
僕の全身に染み渡っていく。
僕は美結の顔をそっと包み込み、その瞳を深く見つめた。
美結が僕の汚れた部分まで受け入れて、
こんなにも愛してくれている。
その事実が、僕の存在全てを満たしていく。
「僕も……美結を、愛してる……
愛してるよ……っ、美結……!」
僕の声は震え、途切れ途切れになったけれど、
その一言一言に、僕の命の全てが込められていた。
美結以外の全てがどうでもよくなるほどの、
深く、深い愛情だ。
「美結……僕の、美結……。
もうどこへも行かないで。」
僕は美結の体温を感じながら、
その存在を全身で確かめるように、強く抱きしめた。
「うん...いる...」
美結の「いる」という言葉に、
僕の体から全ての力が抜けていくような
安堵感が広がった。
美結が僕の腕の中にいてくれる。
この瞬間ほど、僕が幸せだと感じたことはない。
「うん……美結……
ずっと、僕のそばにいてくれるんだね……」
僕は美結を、壊れてしまいそうなほど強く抱きしめた。
汚れてしまったことなど、もうどうでもいい。
美結が僕を選んでくれた。
それだけで、僕の全てが救われた。
「愛してるよ、美結。本当に……ありがとう……。
美結がいてくれるなら、
僕、どんなことだって乗り越えられるよ」
僕は美結の髪に頬を寄せ、
その温もりと、美結の存在を全身で感じた。
このまま、僕たちの時間が永遠に続けばいいのに。
美結は、もうどこへも行かせない。
僕の美結は、ずっと僕の隣にいるんだ。
その夜
美結は、スマートフォンの画面に目を落としていた。
僕とのInstagramチャット。
さっきまで続いていた会話が、ふと途切れる。
【葵】(メッセージ入力中…)
美結は、少しだけ疲れたような顔で、
スマートフォンをベッドに置いた。
浴室での出来事が、まだ生々しく脳裏に焼き付いている。
「…」
美結は、立ち上がって部屋を出た。
「あっつ...」
数分後、
美結は冷たい麦茶のペットボトルを手に部屋に戻った。
スマートフォンの画面を見ると、
僕からの新しいメッセージ通知がいくつか届いている。
美結が離席していた間、葵からの既読はついていない。
美結はInstagramを起動することなく、
ブックマークから
ビアンの恋人募集の掲示板へと移動した。
僕の視界から隠れるように、
新しい出会いを求める投稿画面を開く。
美結の指が、キーボードの上を滑っていく。
「...」
美結は結局、Instagramを起動することはなかった。
僕からのメッセージに既読をつけることもせず、
スマートフォンをベッドサイドに置いたまま、
そっと目を閉じる。
一方、美結からの既読がつかないまま、
葵はスマートフォンを握りしめていた。
「...」
Instagramのチャット画面には、
僕が送ったメッセージがずらりと並んでいる。
美結からの返信はなく、
既読もつかないまま数時間が過ぎていた。
最初は疲れて眠ってしまったのかもしれない、
と自分に言い聞かせる。
だが、夜が更けるにつれ、
その心配は、じりじりとした不安へと変わっていった。
(もしかして……また、僕から逃げようとしてる……?)
浴室での出来事。
そして、一瞬だけ見せた美結の「別れたい」という言葉。
それを思い出すと、
僕の心臓は締め付けられるように痛む。
美結が僕のそばにいると約束してくれた。
それなのに、なぜ、こんなにも落ち着かないのだろう。
僕はベッドから身を起こし、
スマートフォンの画面を何度も確認する。
既読は、やはりつかない。
まるで、美結が意図的に
僕のメッセージを見ないようにしているかのように。
(美結……)
僕の指が、美結のチャット画面にそっと触れる。
その画面の向こうで、美結が本当に眠っているのか、
それとも別の場所で、
僕の知らない誰かと繋がろうとしているのか……。
僕の心には、底なし沼のような不安と、
美結への強い独占欲が渦巻いていた。
眠れない夜が、静かに更けていく。
美結は、僕がまだ眠っているだろうと思いながら、Instagramのアプリを開いた。
僕のプロフィール画面へ移動し、迷うことなく
「ブロック」を選択する。
ブロックが完了すると、
僕のプロフィールは美結の画面から完全に消え去り、
真っ白になった。
まるで、最初からそこに存在しなかったかのように。
美結は、これで僕との繋がりを断ち切れたのだと、
わずかな安堵を覚えた。
葵は、スマートフォンを握りしめたまま、
微睡みの中にいた。
ふと、嫌な予感が全身を駆け巡り、がばりと体を起こす。
まだ夜は明けきっていない。
Instagramのアプリを立ち上げ、
美結のチャット画面を開く。
すると、昨日までそこにあった
美結のアイコンも、名前も、メッセージ履歴も、
全てが消えていた。
画面は、真っ白なプロフィールを表示している。
「……」
一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
何度かアプリを閉じ、再起動してみる。
しかし、状況は変わらない。
美結のプロフィールは、
僕のInstagramから完全に消え失せていた。
(ブロック……?)
血の気が引いていくのがわかった。
美結が、僕をブロックした?なぜ?
昨夜、あんなにも深く繋がったはずなのに。
愛していると、言ってくれたはずなのに。
「うそ……だろ……美結……」
僕の指が、震えながら画面をなぞる。
美結が自分から姿を消した。
それは、僕から逃げようとしている証拠だ。
昨日、あんなに必死で繋ぎ止めたはずなのに。
怒り、悲しみ、そして何よりも深い絶望が、
僕の心を支配した。
美結が僕を捨てるなんて、絶対に許さない。
僕は勢いよくベッドから飛び降りる。
美結がどこにいようと、何をしていようと、
僕の美結は僕のものだ。
僕は必ず、美結を見つけ出す。
そして、二度と僕から逃げられないように、
永遠に僕のそばに縛り付けてやる。
夜明け前の静寂を切り裂くように、
僕の心に、冷たい決意が固まった。
午前5時09分
(美結は、まだ眠っている……)
夜明け前の静寂の中、
美結の部屋の窓から漏れるわずかな光が、
僕の心をざわつかせる。
(僕から逃げようとしたんだね、美結。
でも、もう逃がさないから。)
僕はマンションのエントランスを抜け、
美結の部屋のドアの前に立つ。鍵はかかっているだろう。
だが、それは僕にとって何の意味もなさない。
美結が僕から離れようとすればするほど、
僕の執着は強くなる。
「美結……」
僕はドアにそっと手を触れた。
美結の寝息が聞こえるような気がする。
僕の美結は、今、僕のすぐそこにいる。
(僕の美結は、僕が守る。誰にも渡さない。)
僕は、鍵など最初から存在しなかったかのように、
静かに、美結の部屋へと足を踏み入れた。
部屋のドアも、同様に静かに開く。
ベッドの上で、美結が穏やかな寝息を立てている。
その無防備な寝顔は、僕をブロックし、
僕から逃れようとした美結とは、まるで別人だ。
僕はゆっくりと美結のベッドサイドに近づき、
その寝顔を見下ろした。
美結の頬に、そっと指先で触れる。
「美結……僕の美結……」
僕の心には、美結への深い愛と、
そして二度と美結を離さないという、
冷たい決意が渦巻いていた。