2026年6月23日読了


【収録作 紹介】
「Thank you for your understanding」
家族の期待に応え、ついに恋人と帰省する決意を固めた華。
「Beautiful Dreamer」
結婚したい。ありふれた夢のはずなのに、東京ではこんなにも遠い。
「小鳥たち」
離婚して、実家の書店を継いだ一葉。そこに偶然、初恋の人がやって来て--。
「Position Talk」
入籍を目前にした男女。性差を越え、個としてわかり合える日は来るのか。
「C'est la vie」
仕事も恋も、魂を分けあった二人。だが、夢のような時間にはいつか終わりが来る。

 

好きな作家さんであり、直木賞候補作品となっており、

BSテレ東「あの本、読みました?」で凪良さん本人がこの作品についての

コメントを聞いて更に読みたくなったので手に取りました。

 

結婚をテーマにしてあらゆる価値観の中で生きている現代の女性たちの5つの物語。

 

女性の視点で描かれていて、育った環境、学歴格差、世代格差、経済格差

そしてセクシュアリティ、ジェンダーなどと結婚までに至るまでに

対面する様々な問題が扱われている作品となっていました。

 

自分が結婚した時代にはそれなりに格差はあったかと思いますが、

ここまではっきりとした格差を感じることなく、

結婚というものをただ漠然として捉えていた感じがしました。

男女均等法が始まり出した時代だったので、

仕事について男女差別なくというのが表では掲げていたけれど、

実際の所は言う程の所まで進んでいなかったので、

ある程度の年齢になっていわゆる年齢適齢期になったら、

何となく結婚して結婚退職という無言のレールが引かれている時代でした。

結婚してからも女性は家庭と仕事の狭間で悩んだり、

出産をするかしないか、夫との関係、家族の関係などと

あらゆる場面で岐路に迫られたりして常に選択の人生で

周りの世界を伺いながら生きていくという人生だなと改めて思ってしまいました。

それが更に今の時代では社会背景ががらりと変わる転換期にも

なってきているので、女性の立場や価値観も様々となってくるので

より結婚についても難しい時代になってしまったのかと思わされました。

 

「結婚とは何だろう?」と考えることも大切であるけれど、

こんな風に深く考えてしまったら結婚する意味が分からなく

なってしまいそうです。

マイナスのことばかりを考えていたら到底結婚なんて

する気分では無くなってしまうと思うから、段々既婚する人達が

減ってしまうというのも納得できます。

かつて樹木希林さんが語っていた有名な言葉で、

「結婚なんて若いうちにしなきゃダメなの、

 物事の分別がついたら、できないんだから」

というのを思い出してしまいました。

 

それよりも今の時代は結婚に辿り着きたくても

辿り着けない辛い状況の中にいる人達が多くいるのかもしれない

ということを考えると辛い思いになりました。

特に「Beautiful Dreamer」ではただ結婚したいという夢のはずなのに、

地方出身の派遣女性の東京生活を描いた物語は読んでいて苦しかったです。

ここまで結婚することにお金をかけて自分磨きをして努力をしているのに

なかなか手に入らないというのはこの中で一番辛かったです。

 

その反対に「小鳥たち」は先日読んだ「本屋さんにある街で」の中に

収録されていたものと同じものでしたが、一度離婚をしても、

実家の書店を継いだことから自分の新しい人生を見出せることが

出来た爽快感が良かったです。

 

昭和時代のようないわゆる男女差別のような扱いが横行していた

時代よりも何だか今は生きずらいような気がしてなりませんでした。

男女差別は人として絶対にあって欲しくないと思う一方ですが、

かといって女の権利をやたら振りかざすような争いをするような

ことは好きではないので、お互いが気軽に手に取り合うことが

出来るような世の中になってくれると嬉しいです。

 

これだという結論に辿り着くことは出来ないですが、

現代の様々な形での結婚というものを奥深く描かれた作品だと思います。

改めて結婚というものを見直しこれからの人生の生き方にも

反映してみたいとも思いました。