私のブログの読者さんのブログ記事に
少々引っ掛かる記述があったので
免疫療法を素人なりに学んだことを
書いておきたいと思います。
◼分子標的薬ハーセプチンは免疫療法の一種
私のブログの読者さんに多いと思われる
HER2陽性乳癌患者さんにはお馴染みの
まさに『夢の新薬』であった、
ハーセプチンは、『分子標的薬』
として定着していますよね。
HER2は細胞の増殖能に関係している
タンパク質(分子)で、
それが、癌細胞の表面にたくさん発現して
いると制御不能な細胞増殖を引き起こす。
(進行が速いってこと)
そのHER2タンパク(分子)にくっついて、
HER2の細胞増殖機能を阻害するのが、
ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)。
特定の分子に働くから、『分子標的薬』。
ここまでは、誰も異論はないですよね。
そして、
ハーセプチンはHER2に作用する、
抗HER2モノクローナル抗体。
その主な作用の仕方に、
ADCC(抗体依存性細胞障害作用)活性
と呼ばれる作用がある。
簡単に言うと、
HER2にくっついたハーセプチンの
くっついていない方の手が、
癌をやっつけるNK細胞や単球の手と
くっついて、それらを活性化することで
癌をやっつける。
免疫(NK細胞や単球)の力を使っているから
免疫療法の一種でもある。
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◼免疫チェックポイント阻害剤(薬)は
分子標的薬の一種
本庶先生、アリソン先生のノーベル賞受賞で
最近話題の免疫チェックポイント阻害剤は
がんをやっつける免疫機能のブレーキを
阻害するから、免疫療法。
と報じられているから、
ここまでは、誰も異論はないですよね。
どうやって、そのブレーキを阻害して
いるかというと、
本庶先生発見の「PD-1」で説明すれば
(小野薬品工業のHPや国立がんセンターの
情報サイトに分かりやすい絵が出ています)
ブレーキの仕組みは、
免疫細胞(活性化T細胞)に発現した
分子「PD-1」が
癌細胞に発現した分子「PDL-1」と
くっついてブレーキをかけているので、
分子「PD-1」にくっつく
「免疫チェックポイント阻害薬」
(本庶先生と共同開発した小野薬品工業の
薬剤で言えば、オプジーボ)
で、ブレーキを阻害する。
オプジーボは抗PD-1抗体。
特定の分子に働くから、
免疫チェックポイント阻害薬も
分子標的薬の一種。
ブレーキの仕組み上の、
どの分子とくっつくか、が違う
「免疫チェックポイント阻害剤」
があって、
キイトルーダ(ペンブロリズマブ)は
オプジーボ(ニボルマブ)と同じく
抗PD-1抗体。
ロシュ/中外さんの
テセントリク(アテゾリズマブ)は
癌の側に発現している「PDL-1」に
くっつく、
抗PDL-1抗体。
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分子標的薬も、免疫チェックポイント阻害薬
も、抗がん剤の一種。
昔ながらの抗がん剤を識別する必要が
ある時は、私はブログ上で、
「アンティーク抗がん剤」とか
「昔ながらの抗がん剤」とか
「殺細胞性抗がん剤」とか
書いています。
癌と無関係に生きている人々や、
ハーセプチンを知らないタイプの
乳癌サバイバー、患者さんに
「分子標的薬」って言っても通じないし
特に分けて述べる必要もない時は
「抗がん剤」と簡便的に括って書くことも
あります。
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