ご訪問ありがとうございます。
岩田広治医師 』
で、今回の改訂の『心』
「改訂ガイドラインは、
いくつか選択肢がある中で、
患者さんと相談をして、
介入を決定する際に
参考にしてほしいツールである」
実際の臨床現場、
患者からすれば、『自分の』癌の治療、
で重要なのは、
『医師の経験』や『患者の価値観』が
加味されること、
『ガイドライン』は、
あくまでベースとなるツール。
ということを前面に押し出した改訂が、
さらに、
「今までよりも、医師・患者の
shared decision making の重要性
を考慮し、
日本の乳癌診療が成熟し、
次のステップに入ったことによる
ガイドラインであるともいえる」
「生存期間などの『益』と、副作用などの
『害』のバランスを考慮した手法を
取り込んだ」
「CQの投票の結果の賛成率や独自の
メタ解析結果も記載されている。」
が、すっごく、喜ばしく嬉しく感じる、
とご紹介した、
乳癌診療ガイドライン、自分の目線で
気になるところ
(乳癌学会として、まだ議論があったり、
私もブログで同病の患者さんから
質問を受けたり、自分「だけ」が正しいと
いうような方々から批判コメントを浴びたり
した点も含む。)
を確認しました。
※人(患者)それぞれ、必要な情報が違うで
しょうから、
ガイドラインをお読みくださいね。
あくまで、私は自分のために確認した
メモです。
※私はホルモン非反応(ゼロ、ゼロ)の乳癌で
あり、転移・再発も、HER2タイプか
トリネガか、というところなので
日本人乳癌の7~8割の方が関係する
ホルモン治療も、自分に無関係なので
私のブログでは取り扱いません。
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【薬物療法編】2/2 転移・再発治療
◼転移・再発治療の目的
・「生存期間の延長とQOLの維持・改善」
・QOLの構成要素
「身体面」「心理面」「社会面」「機能面」
◼治療選択で考慮する因子
①患者の個別性
・生物学的特性(ER、PgR、HER2など)
・転移臓器と広がり
・再発までの期間
・術後薬物療法の薬剤
・症状の有無
②エビデンス
※多様な背景の患者集団を、対象としている
ため、データ解釈は単純ではない。
③患者の希望
◼治療原則
・殺細胞性抗がん剤は、単剤順次投与
が勧められる。
(理由)
同時併用は単剤投与に比べ奏効率は高いが
毒性が増加し、「有意な生存期間延長は
認められない。」
・転移・再発乳癌における臨床試験で
「PFSで優位差があるがOSに有意差なし」
の場合、QOLや薬剤費などの因子も検討し
「益と害のバランス」を考慮する必要。
・かつて造血幹細胞移植や自己骨髄移植を
併用した大量化学療法が臨床試験として
行われた。奏効率は高くなってもOSは
延長しなかった。
大量化学療法は臨床試験においてのみ
行われる治療法、日常臨床で実施すべき
ではない。
⬆FECの追加が出来ないかの主治医との
議論でも聞いた。でも、あの時は諦め
られず、主治医はセカンドオピニオンで
中村先生のところに行って聞いて来いと
言った。(違ってたらごめんなさい、
多分、中村先生ご自身も、この臨床試験
やってらしたのではないかな。乳癌学会
理事長:最近退かれましたね…教授の先生
土曜日のセカオピは3ヶ月待ちだった
ので、セカオピは実現しませんでしたが)
・治療が奏効していても、有害事象(副作用)
が強い場合や患者の希望がある場合、
治療を休止し無治療で観察し、憎悪傾向を
認めた場合に再開するのも妥当。
有害事象の少ない他の治療への変更を
考慮してもよい。
臨床医は患者の有害事象の訴えとQOLを
考慮して治療継続の可否を判断する必要。
⬆ここまで踏み込んで書いていただいて
いるのが喜ばしい!
でも、薬剤の減量について明記されて
いない点が1つ残念。
抗がん剤にも、個体に合わせた
匙加減ってあると思うのですが…。
私は、今、一番、それを知りたい。〉
◼肝転移への動注療法
・全身薬物療法が基本であり、日常臨床
として行うべきでない。
(理由)
・ランダム化比較試験のエビデンスなし
生存期間に与える影響不明
・最適レジメンが不明
・手技が煩雑でカテーテルトラブルの合併症
が2~4割に認められる
◼HER2陽性転移・再発乳癌の一次治療
①ハーセプチン+パージェタ+ドセタキセル
強く推奨 (100%)
②ハーセプチン+化学療法 弱く推奨(92%)
※タキサンとナベルビンの比較試験
TRAVIOTA、HERNATA
予後延長効果が遜色ない~やや劣る、
有害事象はナベルビン群が有意に少ない。
※ハーセプチン単独
HERTAX、JO17360
いまだイベント数が少なく
確定的な結論が得られていない。
比較的緩徐に進行する無症状の転移・再発
乳癌に限ってはハーセプチン単独療法から
開始することを考慮してもよい。
③カドサイラ 弱く推奨(92%)
※ハーセプチン+パージェタ+タキサン比
予後延長の効果(益)は明らかでないが
毒性(害)は少なくバランスは益が上回る。
が、一次治療としては保険適応外。
◼HER2陽性転移・再発乳癌の二次治療
①ハーセプチン投与中進行した場合、
カドサイラを強く推奨(100%)
※ハーセプチン+パージェタ+化学療法で
進行となった場合の二次治療としての
カドサイラ使用のデータはまだない。
②ハーセプチン+化学療法を弱く推奨(92%)
③タイケルブ+ゼローダは行わないことを
弱く推奨(83%)
※EMILIA、EGF100151試験
◼HER2陽性転移・再発乳癌の三次治療以降
①カドサイラが未投与であれば
カドサイラを弱く推奨(92%)
②三次治療以降も抗HER2薬継続を
弱く推奨(100%)
※パージェタの使用については一次治療の
エビデンスのみで、二次治療以降の
エビデンスはない。
※ハーセプチン、タイケルブを含む抗HER2
療法継続の益と害のバランスは大きいとは
言えず、患者の好みが大きく影響する。
◼化学療法をどこまで続けるべきか
・有効性の示された化学療法を三次以降も
順に使用していくことは妥当。
・個々の症例の治療経過、治療目標、
リスクとベネフィットなどを考慮して
慎重に治療方針を検討する必要。
※三次以降のセッティングでの第3相試験で
単剤投与でOS延長のエビデンスがあるのは
ハラヴェンのみ。
◼治癒(根治)を目指した治療は勧められるか
・薬物療法の完全奏効または局所治療の追加
で腫瘍の残存がなくなり再燃のないまま
長期生存する症例報告あり。
・しかし、現時点では、治癒を目標とする
治療方針の妥当性は評価できない。
※現時点では、治療の有効性を判断する
指標として、治癒率よりもOSを重視すべき
と考える。
※ 治癒を目指した治療戦略の妥当性を
エビデンスに基づいて評価するものであり
個別の症例において「治癒を目指す」
ことを否定するものではない。
◼脳転移への化学療法
・有症状の脳転移には放射線や手術が原則。
・大きくの化学療法薬は血液脳関門を
ほとんど通過できないが、脳転移で
血液脳関門が破壊され化学療法が有効に
なる場合あり。
・髄膜播種に対する確立した治療法はない、
症状緩和目的の支持療法を考慮。
◼局所・領域再発切除術後の化学療法
・局所・領域再発切除術後には、
完治を目指して化学療法(やホルモン療法)
を考慮する。
・初回手術後に用いた薬剤の種類、
再発までの期間、患者の希望、合併症を
考慮し個別に検討すべき。
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