No.6小説ブログ

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主が妄想…想像した小説を載せているブログです(*^_^*)

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「はぁ、はぁ…」

「も、もうだめ…走りぇない…」

隣で弱音を吐いているこいつは、紫苑。
「体力ぐらい身につけないと、いつか死にますよ閣下。」

鼻で笑いながら茶化す。

「ネズミは、きつく、な、ないのかよ…」
「まぁね、少なくとも人の心配が出来るくらいは。ま、何がともあれおかずは俺のだ。残念だったな。」

美しい白髪の髪をなでてみる。

「くっそー…」



○●○●○●○●○●○●○


「やっぱ…やるよ。」

「いや、遠慮しとくよ。」

おかずを押し付け合う。

知らなかった、こいつ、料理へったくそなんだ。

目の前には真っ黒の物体。
何だこれは。

「レシピどうりに作ったんだけど…」

阿呆。レシピどうりに作ったらこんな事にはならん。

「まぁいいよ。くってやる。」

そう言おうとした時だった。



コンコン、コンコン


…誰だ?

紫苑がドアの方へむかう。

「やめろ! …敵だったらどうする。…俺がいく。」

ギィ…

ゆっくりドアを開けてみる。

「ネズミ、俺だ。」

「なんだ、イヌカシか。」

「なんだとはなんだ、ネズミ。
俺はわざわざ手紙を届けにここまできたんだぞ。」

ーーー手紙?

おかしい。この西ブロックで手紙を使うなんて。聞いた事もないぞ…

「紫苑あてだって。しらねぇおっさんから。」
「しらねぇおっさん?誰だよ。」
「だからしらねぇって言ってんだろ。覆面してたんだよ。」

イヌカシと話していると、紫苑の白い手が横を通った。

「イヌカシ、ちょっとそれ貸して。」

手紙が紫苑の手に渡る。

駄目だ、読んではいけない。
そんな気がした。

「どうしたんだ?ネズミ。ぼーっとして。」

紫苑の声ではっと我に返る。

いけない、「また」隙を作ってしまった。

前までこんな事はなかった…

紫苑の前でだけ隙を作ってしまう。
なぜだ?油断してるのか?
あいつは必ずおそってこないと言い切れるのか?

自問自答していても答えは出ない。
やめよう、こんな事、考えるだけ無駄だ。


「あぁ…なんでもない。今日の晩飯は美味しく作れるといいですね、閣下。」
「なっ…!」

…黙り込んでしまった。
実は、この頃紫苑が自分で料理をつくる、と言い出した。

だから、今日も買い物にきたのだ。
イヌカシのとこで稼いだ僅かばかりの銅貨をもって。


「なんだよ、怒ってんのかよ?」
「…やっぱ美味しくなかったか?」

…一瞬の沈黙。


「ぶはっ」
おかしい。思わず声を出して笑ってしまった。


「そんな事より早く家に帰ろう、寒くなってきた。」

…けっ、自分の家みたいに言いやがって。

だがその意見には賛成だ。ほんとに寒くなってきた。

クラバットやツキヨも腹をすかせて待っているかもしれない。

「走るか?」

「そうだな…よし、ネズミ、競争だ!今夜の晩飯のおかずをかけて!」

「は⁉なっ、ちょっとまてよ!」

ーー二人の少年はかけて行った。
これから起こる、出来事も知らずに。


見下されている


そう、感じ出したのはいつからだろうか。

あまりに長い期間の事だし、皆この西ブロックの奴らは見下されていたから、別に気にも止めなかった。


ーー紫苑

あいつに出会うまでは。

あいつは「壁の中の奴等」とはあまりに、あまりに違った。

奴は誰も見下さない

No.6の中の胸くそ悪い高慢な奴らも、西ブロックの人間以下のレッテルを貼られた奴らも、皆同じ人間だ、という

小ネズミにさえ名前をつけるほどだ。


何を考えているのかわからない。

いや、完全に分からないというわけでは無い。
天然で、皆を気にし過ぎている。
自分より、他人。

馬鹿じゃないのか、と思うと同時に怖くもなる。

恐れてしまう。

あいつは何処かに大きな「怪物」を飼っている

それはいつ出てくるのかわからない。

だから怖い、だから畏れる。
人間の定理ではないか。


俺は、お前が怖いんだよ…紫苑。