2016.3.14 Mon.


«鈴木»

今日はホワイトデー、テスト返却日だ。



学年末テスト成績上位者(50位)

全体順位/氏名/合計点(1000点満点)
           【順位/別】

①二宮和也…950点【1/273  1/140
②□□□□…878点【2/273  1/133
②鈴木亮平…878点【2/273  2/140
④□□□□…863点【4/273  3/140
⑤黒木  華…860点【5/273  2/133



ニノ、やっぱり凄い。1000点満点で2位に70点以上差をつけるなんて。
中学最後のテストだけあって、どの教科もかなり難しかった。数学なんて平均が60点を下回ってた。それなのに10教科で50点しか落としてないなんて考えられない。

それにしても黒木さん頑張ったな。
いくら今学期はニノと勉強してたからって前回9位から今回は5位、女子では4位から2位は驚きだ。掲示板の前でニノに感心してる横顔は、どこか誇らしげで頼もしく見えた。


返却日は午前中のみ、学食でランチしたら部活だ。でもその前に…。
今年も保健室でニノのバレンタインのお返しを渡す手伝いをした。恒例のイベントだ。




「あと、鍵かけておいてね。」

小池先生が出て行った。




「今年もありがとう。
 本当に二人にはお世話になりました。
 絶対に忘れないよ。」
「どういたしまして。『御礼』なんていらないのに。こちらこそ恐縮しちゃう。」
「そうだよ。オレなんてニノのおかげで高等部のお姉様方にお近づきになれて、超ラッキーなのに。」
「フフッ、でもいくら感謝しても足りないよ。」
「大丈夫よ。本当に私達も楽しんでるの。」

「それより、絶対に忘れない、なんて今年で終わりみたいなこと言うなよ。」
「…あのさ…。
 もう少し黙ってようと思ってたけど…。」
「え…何? なんかあるの?」
「お父さんが転勤で…。僕、高校からS学院に行くことになったんだ。」
「え……。」
「S学院って、K県の姉妹校か?」
「うん。先週、見に行ってきた。」
「…ウソ…。」
「もう、決まったのか?」
「試験、よほど悪い点を取らない限り編入できるんだって。」
「いつ…?」
「R学園中等部を卒業後、春休みには。」
「そっか、決めたんだ。」
「うん、お祖母様から離れるのも良いかもしれないと思ってね。」
「…さくら…せっかく…。」
「家はそのまま、庭もそのまま行くつもり。
 時々は見に来るよ。」
「そう…。」
「お願い、まだ誰にも言わないで。
 …静かに去りたいんだ。」
「解った。自分で言いたいんだよな?
 黒木さんも解ったろ?」
「…うん…。」


黒木さん、真っ青だ。
大丈夫かな?
さっきからまともに話せてない。


「あ、オレ、部活行かないと。
 また明日な。」
「うん、ありがとう。また明日。
 ごめん黒木さん、書類をとりに職員室に寄るから先に帰ってて。」
「あ、はい…。」

ニノはクルリと身を翻して行ってしまった。
黒木さんとふたり、保健室前に取り残された。




結局…。
最後まで近づけなかったってことか。

── ニノ、あんまりだよ。