えっと…“ヒロコさん”
急に名前でてきましたが、お祖母様付のねえやサンです。
お祖母様に仕えて50年って設定です。





2016.1.17 Sun.




お父さん…何故、この日を選んだの?
21年前の今日、大災害がこの地を襲った。
早朝から慰霊の合同ミサが執り行われ、
その後ひっそりと祈りを献げて納骨式が行われた。




ボクは中学生の正装、つまり学校の制服で参列した。普通に礼服で良かったのに、お父さんがどうしてもR学園の制服を着させたいようだ。
たぶん、お祖母様にはっきりアピールしたいんだよね。

先週の金曜日からお祖母様とは会ってない。
また、あんな表情されたら…。
ボクはそれが怖くて、お祖母様と目が合わないように視線を落としていた。
自分の存在を隠すようにお祖母様の視界から外れる。お父さんも間に入ってボクを隠しているみたい。ヒロコさんが窺うようにお祖母様とボクを見ていた。




納骨堂は多くの人が出入りしていて、お祖母様は社葬のときみたいに気丈に振る舞ってる。
シャンとしてらしてさすがって感じ。
そっか、だから今日なんだね。


「誠治さん、今までありがとう。
 翠の人生は幸せでした。
 貴方のおかげです。
 二宮の家は貴方に任せますから、会社の方もよろしくお願いしますね。」


一度もこちらを見なかった。
ヒロコさんに支えられるようにして、タクシーに乗り込み、帰ってしまわれた。


ボクが視線を避けていたから仕方ないけど、一言も話しかけないなんて…。
本当に見えていないんじゃないかな。

それとも、ボクがちゃんとご挨拶すれば良かったの?

その場の誰もがお互いの距離を測りかねているようで…。





いつか…前みたいに笑いあえるのだろうか?