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選抜大会、体育館の雰囲気からして全然違った。男女同じ会場だったし応援も大勢で緊張してしまう。
先輩方は慣れているのか、他県の女子チームがカワイイとか対戦チームの女子マネが美人だとか余裕をみせていた。

「おい!凄い美男美女カップルが見てるぞ!相葉のこと応援してんじゃね?」
「アイツ、お前の後輩だろ?女連れで観戦ってなんだよ。」
「先輩の試合に彼女連れてくるとかナイから。よく言っとけよ!」
「はい、スイマセン。」

ギャラリーを見上げると潤がニノちゃんと並んでて、こちらに会釈してきた。
わざわざ来てくれたんだ。嬉しくなって手を振り返した。
二人とも後輩です…と言いかけたけど、説明するのが億劫になって放っておいた。





「じゃあ、来週な。
 できるだけウチの練習に来いよ。
 毎日やってんだからな。」
「はい、失礼します。」

デビュー戦は勝利した。
前半後半ともにコートに入れて8ゴール、まずまずだ。何より勝ちに貢献できたことが嬉しい。先は長いけど何事も積み重ねだ。



 

潤とニノちゃんが見に来てくれてた。
やっぱり潤はどこにいても目立つ。
ニノちゃんもまんま女子で可愛かった。
カップルに間違えられるのも無理はない。


駅に向かって歩いていると公園から潤が出てくるのが見えた。続いてニノちゃんも出てきて、手をつなぐのが見えた。
仲良さそうに頰を寄せて話している。
ホントにお似合いのカップルに見えた。

完全にタイミングを失って、声をかけそびれた。駅に着くまで楽しそうにふざけて歩く二人の後ろを黙って歩く。


どういうこと?まさかホントにつきあってるの?この間の相談は?大野さんとのことはどうなったんだ?
……?……?……。
翔チャンに相談だな……。






沢山浮かんでくる“?”にとまどいながらも二人の手が“恋人つなぎ”なのは見逃さなかった。