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土曜日、合同練習が終わって翔チャンにあった。潤もいて、ニノちゃんの様子を聞かせてくれた。

眠ったまま涙を流したなんて……。
また…ユウと同じだ。

翔チャンと潤はお父さんの反応に驚いたらしい。呆然として珍しいモノを見たような顔してたって。
お父さんはニノちゃんの涙を見たことがないのかな?


日曜日、父さんも気になるらしく当直でもないのに病院に様子を見にいってくれた。やっぱり眠ったままで、時折うなされては、涙を流しているみたいで、目覚めそうで目覚めないらしい。まるで目覚めたくないみたいだって。

「雅紀、この間翔クンと一緒に来てたお前の後輩は…たしか、じゅん、だったな?」
「そう、松本潤。ニノちゃんのクラスメイトだよ。何?潤がどうかした?」
「いや、うわごとでちょっとな…。」
「潤はこの間…お母さんって聞こえたような気がしたって。」
「ナースは、とし、って聞こえたらしい。」
「とし?分かんないな。それより家族は聞いてないの?お母さんは自分呼ばれたらわかるでしょ?」
「いや、二宮サンは…。知らないの?」
「え?なんかあるの?離婚とか?」
「私からは言えないな。」



いったい何があったんだろう?
潤が言ってたな。

「ニノのことは正直よくわかりません。」
「でも、本当の彼は何か違うような気がして…。」
「ベールがかかってるみたいで、踏み込めないんです。」

わからなければ守れないの?
ただ、君を守りたいのに。

君は、ユウみたいになってはいけない。



ユウ、君が好きだった。
こんなに惹かれていたなんて…。

大野さん…貴方が…。

君があんなに惹かれるなんて…。
ユウ、もっと君といたかった。