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2016.4.15 Fri.

朝、いつもの電車に乗る。
当然ニノは乗ってこない。
担任はただ病欠と伝える。
クラスメイトが一斉に俺を見る。
黙って首を横に振る。


一人でランチした。ニノが来る前、俺どうしてた?クラスメイトは遠巻きにしている。

「潤、一緒に食べよ?」

相葉先輩がトレイを並べた。

「お前がヘコんでどうすんだ?」

櫻井先輩が前に陣取る。

あ…お疲れ様です…。

思った以上に声が出なくて驚いた。


「今日、帰り病院に行こうよ。」
「そうだな…軽音はパスする。」
「俺も…行って良いですか?」
「潤が行かなくてどうするの?」
「松本が運んだんだろ?」
「俺…ニノを……なんで…。」
「潤のせいじゃないよ。大丈夫だから。」
「落ち着けよ。まず、二宮の話を聞いてからだろ?何があったかまだ分かってないし。」

正門横で待ち合わせることにした。
午後も誰とも話さなかった。


終礼が終わり、担任より先に教室を飛び出した。階段を駆け下りる。

「………。」

玄関ホールのソファに相葉先輩が座っていた。ニノが座っていた場所だ。
やっぱり先輩も絵のようにキレイだった。

「松本?」

階段から櫻井先輩が降りてきた。
俺を見て不思議そうにするから、黙って視線をソファにむける。

「雅紀! おまえ…。」

はじかれたように立ち上がる。

「大丈夫だよ、翔チャン。
 ちょっと思い出していただけ…。
 行こう、ニノちゃん待ってるよ。」


正門で警備員さんに昨日の礼を言う。
教えてくれなかったら、ニノは一人で倒れてたかもしれない。
お陰でぎりぎり間に合った…そう、間に合ったんだ。
 

 

病院に着いた。だけどよく考えたら、もう退院してるかもしれない。むしろ退院してて欲しい。
病棟ナースステーション前を会釈して通り、個室へと向かう。ちょうど部屋からドクターが出てきた。

「お父さん、ニノちゃんは?」
「雅紀、きたのか。ちょうど良かった。
 翔クンも…。」
「こんにちは。」
「キミは?」
「こんにちは。松本です。バスケ部1年です。二宮クンとクラスメイトです。」
「潤は4月からバスケに来たんだ。
 元々はサッカー部。」
「潤?…そうか…。」
「そう、松本潤クン、1年の首席だよ。」
「あ、いや、首席は二宮クンです。」

「へぇ、雅紀の周りは首席だらけだな。」
「もう、そんなコトよりニノちゃんは?」



嘘だろう?まだ目覚めないなんて。

ただ、眠っているらしい。
呼吸も心拍も問題はないそうだ。

「ちょうどお父さんがこられてるよ。
 キミらにお礼を言いたいって。」

お父さんが出てこられて、挨拶を交わす。
ひと通り自己紹介して、お礼を言われた。

「さあ、どうぞ入って下さい。」


おそるおそる病室へ入る。
点滴とモニターにつながれて、ニノが眠っていた。

こんな時なのに、俺は…
ただ美しいと思ってしまった。




3人とも見とれて動けなかった。