«R学園»
2016.3.14 Mon.
テスト返却日
掲示板前はため息が溢れている。
「はぁ、凄すぎてなんにも言えないね♡」
「やっぱり“Perfect Fairy”だよな。」
全体順位/氏名/合計点(1000点満点)
【順位/男女別】
①二宮和也…950点【1/273 1/140】
②倉木麻衣…878点【2/273 1/133】
②鈴木亮平…878点【2/273 2/140】
④安田章大…863点【4/273 3/140】
⑤黒木 華……860点【5/273 2/133】
・
・
まさしく有終の美を飾ったようだ。
さっき手続き書類を受け取りにやって来た。
「クラス委員も中等部代表もご苦労さま。
最後まで首席、おめでとう。」
「ありがとうございます。
本当にお世話になりました。
母のことでは色々気を遣っていただき、
ありがとうございました。」
「クラスのみんなにはもう話したの?」
「いえ、まだです。
最終日までは黙っているつもりです。
卒業式後に伝えようと思っています。」
中等部代表の役目を終えてからか…。
彼らしいかもしれないが、皆は寂しがるだろうな。彼が去ったあと皆に責められるに違いない。ま、彼の意思を尊重しよう。
2016.3.17 Thur.
卒業式
中高一貫教育の本校は中3のほとんどがそのまま高校に上がるため、3学期の終業式に中等部の卒業式も行われている。
クラス代表がそれぞれ卒業証書を受け取り、簡単に終わる。
一応、中3生の保護者も参列して、謝恩会が校内の小ホールで催される。。
中等部3年間の思い出のスライドショーなどが行われた。
あとは二宮さんが中等部代表で学園と保護者に感謝を述べてお開きだ。
マイクの前に立ちゆっくり会場を見回す。
優等生スマイルに同級生の母親達までがウットリしているのがわかる。
やっぱり最後まで“Perfect Fairy”だ。
挨拶を終え、お辞儀一つで下がろうとしているので思わず止めた。マイクをとる。
「えー、みなさんにお知らせします。
二宮さんは卒業後、転校することが決まっております。本校は今日が最後です。」
会場が悲鳴にならない悲鳴でパニック状態だ。
「二宮さん、改めてひと言、ね?」
まだ、ざわついている。無理もない。
学園一の人気者が、突然いなくなるんだから。
「突然ですいません。
今まで沢山迷惑をかけてきました。
いろんな場面でいろんな人に助けていただきました。
先生方はもちろんクラスのみんな、同級生のみなさん、先輩方、後輩のみんな、キチンとお詫びできず申し訳ありません。
みなさんに良くしていただいて嬉しかったです。本当にありがとうございました。
お世話になりました。感謝しています。
R学園での3年間は忘れません。
ありがとう、さようなら。」
本当に誰にも話していなかったんだな。
まだ会場全体がざわついている。
泣いている生徒も少なくない。
ふと、思った。
どれだけ周りに好かれていても、たとえ高等部にまでファンクラブがあったとしても、彼自身が友達と思える人はいなかったんじゃないのか? ずっと独りでいたのか?
新しい環境でも独りでいるつもりなのか?
S学院で彼に寄りそってくれる誰かに出逢って欲しいと心から願う。
当の本人は、ニッコリ笑って会場を後にした。
サヨナラ、“Perfect Fairy”…。
2016.3.14 Mon.
テスト返却日
掲示板前はため息が溢れている。
「はぁ、凄すぎてなんにも言えないね♡」
「やっぱり“Perfect Fairy”だよな。」
学年末テスト成績上位者(50位)
全体順位/氏名/合計点(1000点満点)
【順位/男女別】
①二宮和也…950点【1/273 1/140】
②倉木麻衣…878点【2/273 1/133】
②鈴木亮平…878点【2/273 2/140】
④安田章大…863点【4/273 3/140】
⑤黒木 華……860点【5/273 2/133】
・
・
まさしく有終の美を飾ったようだ。
さっき手続き書類を受け取りにやって来た。
「クラス委員も中等部代表もご苦労さま。
最後まで首席、おめでとう。」
「ありがとうございます。
本当にお世話になりました。
母のことでは色々気を遣っていただき、
ありがとうございました。」
「クラスのみんなにはもう話したの?」
「いえ、まだです。
最終日までは黙っているつもりです。
卒業式後に伝えようと思っています。」
中等部代表の役目を終えてからか…。
彼らしいかもしれないが、皆は寂しがるだろうな。彼が去ったあと皆に責められるに違いない。ま、彼の意思を尊重しよう。
2016.3.17 Thur.
卒業式
中高一貫教育の本校は中3のほとんどがそのまま高校に上がるため、3学期の終業式に中等部の卒業式も行われている。
クラス代表がそれぞれ卒業証書を受け取り、簡単に終わる。
一応、中3生の保護者も参列して、謝恩会が校内の小ホールで催される。。
中等部3年間の思い出のスライドショーなどが行われた。
あとは二宮さんが中等部代表で学園と保護者に感謝を述べてお開きだ。
マイクの前に立ちゆっくり会場を見回す。
優等生スマイルに同級生の母親達までがウットリしているのがわかる。
やっぱり最後まで“Perfect Fairy”だ。
挨拶を終え、お辞儀一つで下がろうとしているので思わず止めた。マイクをとる。
「えー、みなさんにお知らせします。
二宮さんは卒業後、転校することが決まっております。本校は今日が最後です。」
!!!!!!!!!!
会場が悲鳴にならない悲鳴でパニック状態だ。
「二宮さん、改めてひと言、ね?」
まだ、ざわついている。無理もない。
学園一の人気者が、突然いなくなるんだから。
「突然ですいません。
今まで沢山迷惑をかけてきました。
いろんな場面でいろんな人に助けていただきました。
先生方はもちろんクラスのみんな、同級生のみなさん、先輩方、後輩のみんな、キチンとお詫びできず申し訳ありません。
みなさんに良くしていただいて嬉しかったです。本当にありがとうございました。
お世話になりました。感謝しています。
R学園での3年間は忘れません。
ありがとう、さようなら。」
本当に誰にも話していなかったんだな。
まだ会場全体がざわついている。
泣いている生徒も少なくない。
ふと、思った。
どれだけ周りに好かれていても、たとえ高等部にまでファンクラブがあったとしても、彼自身が友達と思える人はいなかったんじゃないのか? ずっと独りでいたのか?
新しい環境でも独りでいるつもりなのか?
S学院で彼に寄りそってくれる誰かに出逢って欲しいと心から願う。
当の本人は、ニッコリ笑って会場を後にした。
サヨナラ、“Perfect Fairy”…。