病気がピークの時、

ついに走れなくなった日

会社を休んだ日

結局もうそれから

そのまま退社したんだけど

その日に初めて

自分はおかしくなっていると

自覚した。


もちろん自覚が無かったので

病院に行っておらず

鬱病とは思わなかった。

電車に乗れなくなっていて

それでも通勤の朝は乗り継ぎの

臭い駅のトイレで

吐きながら

休み休み

誤魔化して出勤した。


自分を客観的に見れば

とっくにボーダーライン

越えてたんだ。

あんなにおかしかったのに

なぜブレーキを

踏まなかったの?


初めて

これはヤバいと自覚したのは、

会社を早退した次の日

昨日まで触っていた

スマホのロック解除パスワードが

起きたら思い出せない。

嘘みたいな本当の話。

何年も同じパスワードで

変えた事は一度もない。

当時私用スマホは

顔面指紋認識が無いものだった。

会社を休んだその朝

思い出せず開けないのだ。

皮肉にも

会社の携帯ロック解除は

指紋認証のボタンがある

当時最新のスマホだった為、

鬼のような着信とメールの通知音を

電源も切らず

対応したり夢の中まで聞こえた。

私用のスマホは

パスワードを何回入れても

結局ロックは解除出来ず

入力制限もかかったりして

世の中から

不良品は存在してはいけないよ

と言われている

そんな気がして

泣きながらそのスマホを

投げつけた。

彼氏(現在の夫)が拾って

なだめてくれたので

なんとか我にかえれた。

病院で貰った診断書

鬱病、パニック障害の文字に放心状態。



会社に送らねば

とにかく休みを取らねばと

封筒に詰めて

文字を書こうとしたが、

文字が上手く書けず

別人みたいで。

たったの数行の文字を

何度も間違う自分が

許せなく

情けなく

頭はぐちゃぐちゃで

診断書の入った封筒を

握りしめてくしゃくしゃにし

叫んでまた投げた。

彼は何も言わず

くしゃくしゃの封筒を

拾って

一生懸命広げて

住所を書いて

送ってくれた。


当時の記憶は多少断片的だが

夫の涙で我に帰ったのを

覚えている。



夫が拾ってくれなければ、

次は自分を捨てていた。