今日も精一杯生きましょう
このふみサロは、毎月課題図書が決められ、課題からインスパイアされたことを文章にして提出し、それを主宰の元角川出版編集者の城村典子先生、スーパーバイザーで、これまで12冊の本を出版されている後藤勇人先生のお二方からとメンバーからのフィードバックをいただくというシステムです。
映画、『鬼滅の刃 無限列車編』観覧中、劇中の台詞、「俺は俺の責務を全うする。」で、私は急に忘れられないあの時の記憶が蘇ってきた。
そう、あの、東日本大震災の時の記憶。
私は6年生の担任で学年主任だった。
午後2時46分、6時間目の授業のため、教室移動しようとしている時、突然の大きな揺れ。
立っててもわかる。
まずい。
「机の下に入りなさい!」
思わず怒鳴った。
状況判断、状況判断…。
教室の後ろの水槽の水で揺れの大きさを測る。
恐怖で子どもたちがキャーキャー言い始めた。
「声を出すなー!!」
一喝。
誰かが声を出すとパニックになる。
声はおさまる。
よし、これでパニックは防げる。
地震の揺れは大体1分。
1分凌げばなんとかなる。
私は絶対、一人残らず子どもたちを保護者の元に返す、ただそれだけを考えていた。
時計を見る。
1分経った。
まだ揺れはおさまらない。
校舎は耐えられるのだろうか?
天井は?蛍光灯は?
状況判断、状況判断…。
一秒一秒時を削る。
一秒がとてつもなく長い。
耐えろ、とにかく耐えるんだ。
次の一瞬を待った。
長かった。
揺れている間はできるだけ私が考えていることをそのまま言葉にした。
何を言ったかは覚えていない。
揺れ始めて5分、まだ揺れている。
収まってくれ。
私はこの子たちを家に返さなきゃいけないんだ。
教卓を掴んだまま立っていた私は常に教室を見渡していた。
水槽の水を見る。
ようやく揺れに変化が。
少し収まった。
そうすると全員校庭に避難の放送が。
避難訓練通り廊下に子どもたちを並ばせる。
誰も喋らない。
よし、これで指示が通る。
校庭に全員避難、全員無事を確認。
そのまま校庭で協議。
寒さなどを考え校舎に避難。
午後9時、全校児童の最後の一人、私のクラスの児童を保護者に引き渡して、全校児童の引き渡しが完了した。
あの時の記憶は誰もがそうだろうが忘れられない。それが10年も経とうとする今頃、このタイミングで思い出すのか⁉︎
極限状態での咄嗟の判断。
一秒一秒が戦いだった。
もうすぐあれから、10年。
たまたま私は地域の防災教育に携わるようになった。私は今、子どもたちにどうしたら恐怖感なく町の防災について伝えられるか、学校に配布する指導案を作っている。
これが新たな責務の一つであるような予感がしている。
…………
この会の良いところは、同じ本が課題なのに集まってきた文章が全然違う切り口で書いてあって、非常に勉強になるところです。
障害のある方が防災訓練に出ることで行政の対応が変わった話、憲法9条に触れる話、実際にご家族に自衛官や消防士の方がいる家庭の話、大川小学校の避難について考える話…本当に勉強になります。
人の多様性を感じられる、だからこそ一人一人の価値が大事とおっしゃっる城村先生の言葉に納得するのでした。