その日も三宅商店岡山事務所ではスタッフ達がいつものようにテキパキと働いていた。

 

注文の入った商品をピックするもの。梱包をするもの。商品ページを作るもの。SNS発信をするもの。お客様対応をするもの。

 

皆、日本各地から岡山県は吉備中央町に移住してきた、いわゆる子育て世代の面々。各所で多彩な経験を積んできた素晴らしいスタッフが集まってきた。男性陣は皆、ロン毛ヒゲだったり、ファッションもそれぞれな個性派集団。うまいこと互いに補い合って、日々の業務に取り組んでいる。

 

あれは午後3時ごろ。

 

丁度その日発送分の荷物を配送業者さんが持って行ってくれた後だった。

 

珍しくどなたかが尋ねる声。玄関を開けると近所のAさんだ。毎月、吉備中央町の地元誌と月間のゴミ捨てカレンダーを届けてくれる。その日もいつも通り届け物を受け取って、世間話だ。岡山事務所が引っ越してきてからまだ3ヶ月かそこら。コミュニケーションを大事にしている。

 

話も収束に向かったところでAさん

 

「明日折り入って話があるのですが、訪ねても良いですか?時間は合わせます」

 

 

・・・

 

 

怒られるのか!?

 

 

 

■ ■ ■ ■ 目次 ■ ■ ■ ■

 

1)怒られたの?

2)一通の新着メール

3)喧嘩は良くない

4)焦らずコツコツが良い

5)都市と地方の垣根を超えて

6)お得情報!!

 

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 

 

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1)怒られる!?

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けったいな見た目の若者達。

 

見慣れない服装。ロン毛ヒゲ。

 

配送業者も含め車の往来も増えた。

 

集落が賑やかになるのは良いが、騒がしくなるのは望んでいない。

 

当然のごとく愛想よく、かつ自然体で接してきました。

 

それでも何か粗相があったのかなあ。タイミングが合わず挨拶できてない人もいるし。知らずして集落のルールを犯していたり。とか。

 

 

おっと、お客さんだ。

 

 

Aさんの旦那さんと、Bさんの二人。

この集落の責任者です。

 

ストーブに火をつける。大豆がBさんにまとわりつく。

 

大豆(犬)

 

 

 

そこで渡されるプリント用紙。

 

それは集落の行事ごとのカレンダーでした。

 

 

(怒られるんじゃないんだ)

 

 

3月19日を皮切りに、町内清掃、草刈りからお祭りまで。

 

実はこのあたりはお祭りが非常に盛ん。

 

集落の神社の祭りから、いくつかの集落を束ねる大きな神社の祭り。そして吉備中央町の6つの神社が合同で開催する岡山県の3大祭りの一つである加茂大祭まで。

 

加茂大祭の様子(吉備中央町ホームページより

 

当然やります。というかスタッフ一同、店主含めて興味あり。

 

草刈りでは若い連中不在でお年寄りがずっと頑張ってきた。祭においては神輿を担ぐ人をよそから呼んでこなくてならなかった。

 

それならもちろんちょうど良い。こちらは若い力が揃っています。

 

三宅商店が目指すのは内輪内輪というより、外へ外へと広がっていくリレーション。

 

パーマカルチャー(パーマネント+カルチャー+アグリカルチャー)の肝はデザインの構築にありますが、ここで行なっているのは如何に人の繋がりが滞りなく流れていく関係性をデザインするかという実践です(なんて堅苦しいこと言わずただの生活)

 

集落の行事やお祭りへの関わりが明確になったその日は、古民家に事務所を構えるのを機にパーマカルチャーの実践に入った三宅商店が、さらに一歩その世界に足を踏み込んでいくにあたっての象徴的な日でありました。

 

そんなふうに思うのはその日以降、パーマカルチャルな機運の高まりをひしひしと感じる出来事が岡山事務所周辺で湧き上がってきたからです。

 

頭でっかちに理念に走る時代から、実践を伴う時代への転換点。

 

なのかもしれません。

 

気になってしまいましたよね。

 

 


 

【パーマカルチャーの基本書】

 

『パーマカルチャー 農的暮らしの永久デザイン』

- ビル・モリソン [著]

 

パーマカルチャーの生みの親であるビル・モリソン本人により、パーマカルチャーのデザイン原理が初めて提示された経験と知恵がぎっしり詰め込まれた永久保存版の1冊。

 

 

 


 

 

 

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2)一通の新着メール

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根拠もなく機運の高まりを感じているわけではありません。

 

突然送られてきた店主からのメール。それはソーヤー海さんからのメールの転送でした。

 

 

ソーヤー海さん(Tokyo Urban Permacultureより)

 

海さんの仲間のカイルさんという方が岡山事務所の近く、本当に近く!に、パーマカルチャーセンターを作りたいとのこと。それに伴い、ぜひ店主・三宅&三宅商店と繋がりたいとのことでした。

 

と、いうわけてお会いしたカイルさん一行。

 

カイル・ホルツヒューター(カイルさんのブログより)

 

カイル・ホルツヒューター博士

日本大学大学院 生物資源科学研究科  

建築・地域共生デザイン研究室

 

いわゆる「断熱」のプロ。

日本でのストローベイル(藁のブロックで出来た家)建築の温湿度環境と壁内湿気対策を研究すると同時にワークショップを指導しています

 

断熱!待ってました。

 

岡山事務所の古民家はすこぶる風通しが良いので、断熱は急務。でもなかなか着手できていない。そんな中に現れたその手のプロ。しかもパーマカルチャーな断熱。ぜひ教わりたい。

 

というわけで一緒になんかしよう!となりました。

 

そしてその翌日。またしても素晴らしい出会い。土壌再生のプロである「大地の再生 全国「結の杜」づくり」の御一行がやってきました。滞っていた地下の水脈を手当てして、水はけや、土壌不全を改善し、湿気を除去できるとな。

 

水はけ!待ってました。

 

岡山事務所の家の周りはジメジメしている。土も腐敗し、呼吸ができていない状態。そんなことだと木造建築は痛んでしまう。逆にいうと、湿気を撃退できれば木造の家は300年は持つとな。

 

早速指南を受けまして、店主も早速実践。

水や空気の滞っているところに沿って地面に穴を溝を開けていく。そうして土の呼吸を促してあげると、水が空気がサーっと流れていくとな。水脈に針やマッサージをする感じ。

 

実際その後数日すると土の乾き方が違うんです。雪解け水の影響があったにも関わらず。

 

その後店主は天穴を開けた溝に炭と枝を敷き入れ「水脈」を完成させた

 

生産者と消費者を繋ぐ、「物」のメディアとしての三宅商店と、教わり、実践し、伝えていく、「情報」のメディアとしての三宅商店。

 

今後の展開が楽しみ。でしょ。

 

さーて早速、家のことでも予習しようかな。

 

 


 

『山で暮らす愉しみと基本の技術』

- 大内正伸 [絵と文]

 

山暮らしの衣食住における「住」を突き詰めた本書。草を刈り、木を伐る為の刃物の手入れから始まり、石垣、水源、小屋作りまで、クソ真面目な内容。山暮らしを覚悟した人、山暮らしを覗き見したい人に。

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・ 

 

『セルフビルド 家を作る自由』

-  蔵前仁一 [編]

-  矢津田義則+渡邉義孝 [著]

 

家を建てる、手を加えていくためのインスピレーションを与えてくれる。そんな写真で埋め尽くされている一冊。

 

 

 

 


 

 

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3)喧嘩は良くないです

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さて、情報のメディアというキーワードが出てきました。見ての通り三宅商店の商品ラインナップはそれぞれストーリーがありますので、それはそれで情報そのものなのですが、岡山に事務所を構えることで、行動を伴った、より信憑性の増した(自分で言うな)情報を発信できるようになっていると思っています。

 

店主がそれなりの社会的影響力を持っているだけに、我々商店スタッフも情報の精度には敏感です。

 

コミュニケーション

 

Communication

 

コムニカチオ(communicatio)「分かち合うこと」というラテン語からきています。

 

分かち合う、共感する

 

なるほどコミュニケーションとは融和でなくてはならない。

 

昨年店主がソーヤー海さんのNVC(非暴力コミュニケーション)合宿に参加してきてから、商店スタッフも改めてコミュニケーションのなんたるかに意識を向けるようになりました。

 

(NVCキャンプにて:左から 安納献・ソーヤー海・店主)
三宅日記:NVC合宿より下山より

 

「頭(思考)で判断・批判・分析・取引などするかわりに、自分自身と相手の心(ハート)の声に耳を傾けて、今の感情(Feeling)・ニーズ(Needs)を明確にしていくことで、お互いの誤解や偏見からではなく、心からつながりながら共感を伴ってコミュニケーションをする」(nvc japan HPより)

 

頭ではなく心

 

私たちが良かれと思って放った言葉は、相手のためのではなく、私たち自身のための言葉になっていないか。

 

それは会話になったとしてもコミュニケーションには至らない。あなたあっての私。私あってのあなた。I and Iな繋がり。

 

私たちが無意識に行なっているなんとない決めつけが、無用な怒りや苦しみを生み出している。その現実と立ち向かっていく。

 

分かち合う、共感する。

 

簡単ではないけれどシンプルな答えへ。

 

一歩づつでいいじゃないですか。

 

 


『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』

- マーシャル・B・ローゼンバーグ[著]- 安納 献 [監修] 小川 敏子 [翻訳]

 

 

現在28言語に翻訳され、世界で120万人の人たちに読まれている「話し方」の教科書。

コミュニケーションのように毎日当たり前のようにしている(と思い込んでいる)行為だからこそ、盲点があるのではないでしょうか。

 

 

 

 


 

 

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4)焦らずコツコツが良い

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色々学びたいし実践したい。

 

でも衣、食、住と、やること一杯、一遍に詰め込んでもどれも中途半端になりかねない。

 

それならひとまず「食」からいかがですか。手作りで。それも料理とかでなく、

 

「味噌」「醤油」「梅干」

 

なんていかがですか。

 

なんでも手料理でこなしてしまう人でも、味噌や醤油はスーパーで買ってくるのが当たり前。そこに関しては何の疑問も挟まない時代になってしまいました。

 

でもこれらはちょっと前までは当たり前に家庭で作っていたものです。

 

では、ちょっと後はどんな時代がやってくるでしょう。

 

このまま技術や文化が失われているのか、はたまた、

 

「味噌」「醤油」「梅干」

 

を当たり前に自給しているのか。

 

皆様はどっちの時代が良いですか?

 


『手づくりのすすめ』

-  自然食通信編集部 [編]

 

一家に一冊!この本があれば、味噌をはじめ、豆腐・こんにゃく… 

醤油だって手づくりできます。

 

 

 

味噌づくりにはこちらのブログ記事もご参照ください

『あたらしくてなつかしい経済の物語り』(7)「味噌のつくり方・後章」

 


 

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5)都市と地方の垣根を超えて

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これらの話が地方だけに当てはまるように聞こえていたら、それは筆者の力量不足。

 

コミュニケーションや味噌造りなどはどこでもできるのは言わずもがな。ソーヤー海さんが提唱する「アーバンパーマカルチャー」しかり、場所場所によって目指すべきデザインが違うだけの話。

 

 

 

むしろパーマカルチャーに普遍性があるなら都会のように人工の密集地で出来て当然ですし、アメリカはオレゴン州のポートランド()のようにすでにモデルケースは存在しています。

 

 

Spectator[ポートランドの小商い] 

 

そしてそんなポートランドからも三宅商店にアプローチが来ています。

 

波は来ている。後は我々が合わせていくだけ。

 

ワクワクしますでしょ。

 

全く話が尽きません。このままでは紙面が拡張するばかり。皆さんの貴重な時間をこれ以上いただけないのでここで終了します。

 

次回のメルマガでは、もう一歩進んだ目線でお話できることを期待しています。

 

それでは!

 

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