レイが突然来てくれた。


ただそれが嬉しいなんて。私ったら中学生みたい。

そう思いながらも身体は軽く、歩いている。


スーパーの駐車場についたが、レイがどこにいるかわからなかった。私は辺りを見回した。


そこに1台のミニバンが近づいてきた。黒の大きな車。クジラみたい。そのクジラの窓が開いて、私の前に止まった。


「みどりさん、早く乗って。」


レイだ。レイはそう言うと後部座席側の扉を開いてくれた。私は乗り込む。すると車はスーパーを出て走り出した。


「お久しぶり。みどりさん元気だった。」


「はい。」


「それはよかった。ところで、食べ物の好き嫌いあるかな。」


「あんまりないかも。すぐには頭に浮かばないから。」


「良かった。今日僕がよく利用している、個室のあるレストランにご招待しようと思ったんだけど、魚料理の店なんだ。」


レイと食事。嬉しい。

私はエプロンの端をなんとなしに触って心を落ち着けた。


レストランは車で1時間くらいでついた。

裏口から個室に案内された。私はなんだか遊園地に来たみたいな気持ちになっていた。


個室に座ると、レイはサングラスと帽子を外した。

なんてきれいな顔なのだろう。私はうっとりとレイを見てしまった。


「ワインで良いかな。」


レイはあれこれと食べるものを決めていく。

私はその姿を俯瞰する。


ワインが運ばれてくると、レイはワインを見ながら私に話しかけた。


「みどりさん、お礼遅くなってごめんなさい。

あらためて、ありがとう。」


「いや、私なんもしてないのに、こんな素敵な店にご招待いただき、こちらこそありがとう。私こんな格好で来てしまって恥ずかしい。」


「みどりさん、キレイだから気にしないで。何を着ていてもみどりさんはキレイ。好きになっちゃうくらい。」


私の頬は、真っ赤になっているだろう。

ワインのせいかな。