前回からのつづきです。

読んでくださる皆さん、「いいね」してくださる皆さん、そしてコメントをくださった天使ママさん、どうもありがとうございます。

同じ立場の方からの励ましの言葉ほど心に響くものはないです。

つらい思いをしているのは私だけじゃない。

そう考えただけで、ほんの少し心が軽くなります。

 

***

 

私が「産みます」と言うとお産のための処置が始まりました。

夫は内診室を出て待合室へ。

助産師さんから「いったん帰って入院準備をしてまた来てください」と言われていましたが、朝になるまで島に行く船がないので、院内で待たせてもらうことになりました。

 

「これから子宮口を広げる処置をします。

そのあと、陣痛促進剤の点滴をします。

陣痛がきたらお産に入ります」

 

先生の説明はそんな感じでした。

でも、破水したとはいえまだ27週。

私の体は産む準備なんてまったく整っておらず、子宮口が開くとは思えませんでした。

 

「あの…帝王切開はできないんですか?

産気づくまでに、赤ちゃんの心臓が止まったりしませんか?」

 

私の質問に、先生はていねいに答えてくださいました。

 

「帝王切開はあまりおすすめできません。

一度でも帝王切開をすると次のお産も帝王切開になる場合が多いです。

子宮の回復を待って、次の妊娠まで1年から2年あけてもらわなくてはいけません。

子宮のダメージによっては3人目はストップがかかることもあります。

もしみやこさんが2人目、3人目を考えられているのであれば…

みやこさんの体のことも考えて、経膣分娩が望ましいです」

 

そのようなことを言われました(うろ覚えですみません)。

先生の言葉を聞いて「それなら経膣で…」と納得しました。

私も夫も、子どもはできれば2人か3人ほしいと思っていたからです。

 

「もし赤ちゃんが弱ってしまったら、緊急帝王切開に切り替えます。

その時はまた説明させてもらいますからね。

今はとりあえず、子宮口を広げましょう」

 

「わかりました。お願いします」

 

助産師さんがバタバタと準備をして処置が始まりました。

 

「少し痛いですよ。

ゆっくり息を吐いてくださいね」

 

先生が器具を挿入しました。

 

(あれ?あんまり痛くない…)

 

そう思ったのも束の間。

次の瞬間、味わったことのない激痛が走りました。

 

「痛いっ!!!」

 

思わず叫んでしまいました。

反射で足がビクン!となったのを、助産師さんに押さえつけられました。

経験のない、例えようのない激痛です。

内蔵を無理やりこじ開けられるような…とにかくイヤな感じでした。

 

「痛いねー。ごめんねー。

今、子宮口に○○(※聞き取れず)を入れてますよ。

これで子宮口を広げます」

 

助産師さんが説明してくれました。

本当はもっと喋ってくれていたのですが…

あまりの痛さにほとんど聞こえていませんでした。

 

処置はすぐに終わりました。

痛みは刺されるような鋭いものから、じわじわ鈍いものに変わりました。

とても重い生理痛が子宮から腰にガンガンのぼってくるような感じです。

さらに、股に何かがはさまっているような違和感もプラス。

ぴよちゃんのためとはいえ、つらかったです。

 

モニターを外してから内診台を降り、車椅子でLDR室へ。

夫も車椅子のあとをついてきました。

LDR室にはソファやテレビや机があり、陣痛用ベッドと分娩台がある以外は普通の家のリビングみたいな感じでした。

 

私は陣痛用ベッドに上がってふたたびモニターをつけました。

ぴよちゃんの心拍はさっきと変わっていませんでしたが、やっぱり普段の妊婦健診よりは弱々しかったです。

まだ、お腹の中で生きていました。

 

「次は点滴をします。

陣痛促進剤を入れますから、じわじわ痛くなっていきますよ」

 

ベテラン助産師さんが点滴を打ってくれました。

点滴を打つのはこれが始めてだったのですが、あまり刺さっている痛みを感じなくて驚きました。

 

「大丈夫?

もう痛くなってきた?」

 

夫は心配そうにベッドの横で私に付き添ってくれていました。

点滴を刺して3分もたたないうちからそんなことを言っていたので、少しなごみました。

ベテラン助産師さんも笑っていました。

 

「まだ効かないわよ~。

あと30分もしたらちょっとずつ痛くなるの」

 

「うん。まだ痛くないよ。

それよりさっき内診された方が痛いや。

子宮口に、無理やり棒を刺されたんだよ。

グリグリ~ってされて叫んじゃった。

今も内臓がズクズクする感じで痛いの」

 

内診のことを話すと夫は青ざめていました。

夫は血を見るのが苦手なタイプです。

映画で大きなケガをしたり出血したりするシーンも目をそむけてしまいます。

だから、もともと立会い出産の予定もありませんでした。

それなのに、なんの心の準備もしていないままこんな状況になって、申し訳なかったです。

 

「みやこさんも赤ちゃんもがんばってるんだもん、

旦那さんもがんばらないとね。

でも、どうしても具合が悪くなったらソファで横になっていいからね」

 

ベテラン助産師さんは夫のフォローまでしてくれました。

夫は不安げにしていました。

 

「モニターは別室でも監視してるから安心してね。

まだ痛くならないと思うけど、何かあったらコールしてね」

 

手に届きやすい位置にナースコールのボタンを置いて、ベテラン助産師さんは出ていきました。

急を要する事態のわりには意外とほったらかしにされるんだな…と少し不安でした。

でも、さっきもぴよちゃんの心音が弱くなってすぐ来てくれたし、今は陣痛がくるのを待つべき時なんだと判断しました。

 

それから陣痛がくるまでは夫と喋りながら時間を過ごしました。

ベテラン助産師さんの言葉どおり、30分ほどでじわじわと生理痛のような痛みがやってきました。

最初はガマンできるくらいの軽いもの。

時間をかけて、どんどん痛みは増していきました。

 

つづく