しばしの沈黙が流れる

照れくさそうに、気まずそうに笑いながら

彼女はうつむいてる、

「私のこと覚えてませんか?」

さきほどはじめましてと言った目の前の娘が

唐突に知り合いだったかのような話し方をする

俺は少し考える………全く思い出せない

「全然…思い出せない…ごめん」

彼女は少し寂しそうな表情を浮かべる

「そうですか…ごめんなさい」

はじめましてと声をかけたのはもし覚えてなかったら

恥ずかしいと思い、緊張のあまり口から出た言葉らしい

気まずい沈黙が流れる

「何かの勧誘じゃないの?」

俺は胸に抱えてた、想いを言葉を出してみる

「そ…そんなんじゃないです!」

彼女が急に大きな言葉を出したためか

周りの人がこちらの方を見る

泣き顔の女性、そして男である自分

別れ話でもしてるのかと、ヒソヒソと話し出す客もいる

またもや気まずくなった俺は、彼女を連れてファミレスを出ようとする

「とりあえず、店出よう」

彼女に声をかけて、冷めたコーヒーを早めに飲み干す

「は…はい!」

急なことに彼女も慌てたのか急いで一緒に頼んでいた

オレンジジュースを飲み干す

店の外に出たあと、落ち着けるベンチを探して座る

彼女が唐突に

「一緒に行ってもらいたいところがあるんです」

申しわけなさそうにそうつぶやく

「なんで?」

とっさに俺はそう答えた

冷たく聞こえたようで彼女は一瞬体を小さくすくめる

「お願いなんです、もしかしたら私のことも思い出してもらえるかもだし…」

最後のほうは声が小さくうまく聞き取れなかったが

やることもない 俺はしぶしぶつきあことにした

歩くこと30分もたたない場所にあまり目立たない

公園があった

「ここです!」

彼女は急に目を輝かせ公園のなかに駆け出す

まるで子どものようだった

あまり広くもなく 遊具もない

あるのは1本の木

「何か思い出せませんか?」

少し不安げな顔で俺の表情をうかがう

俺は少し考える、何も思い出せない…

その時、桜の花びらが1つ頭のうえに落ちてきた

「あ…」

今では様変わりしていて気づかなかったが

小さい頃 この公園に来ていた…


学校で嫌なことがあった時、親に怒られた時

「思い出した…?」

彼女は少し嬉しそうに俺の顔を覗き込む


1人で落ち込んだり泣いたりしていた時

声をかけてくらた女の子、名前も知らない

ただ優しく声をかけてくれ、笑顔で励ましてくれ

泣いてるときにはハンカチを貸してくれたりもした

最初は恥ずかしさもあり

「あっちにいけよ!」なんていってもそばにいてくれた

そのうち少しづつ話をするようになった

学校のこと、家でのこと

彼女は何も言わずに話を聞いてくれた

「思い出した…」

俺は一気に記憶が蘇る

彼女は嬉しそうにこちらを見ている

「良かった…」

心底ほっとしたように彼女は胸をなでおろす

「寂しかったよ」

彼女はそうつぶやく、大人になるにつれ

公園に来る機会も減り、次第に彼女のことも忘れていった

「今日はね…伝えたいことがあって君を探してたんだ」

伝えたいこと?忘れてしまうような長い期間があいてるのに何を伝えたいんだろうか、少し緊張する

「私ね、今日でお別れなの」

俺はその意味が理解できず、頭が?でいっぱいになる

彼女はまた泣き出し、言葉を詰まらせながら

ゆっくりと語り出す

「君を初めて見たときから、大好きになってまたいつか会えるって毎日、毎日待っていたんだよ!」

たまに公園の前を通りがかるのを見ても声をかけられなかったこと、次々と彼女の口からあふれる言葉に俺は感情が追いつかなかった

一通り話し終えると彼女は いきなり俺を抱きしめた

俺は優しく、頭を撫でる、こんなに自分を想ってくれていた事にとても嬉しい反面少し照れくさかった

日もくれはじめ、帰宅する時側が近づく

「明日、また来るよたくさん話しよ!」俺は暗くなってきた公園で彼女の手を握る

「うん…」寂しそうに彼女はうなずく

しかし、その明日が来ることはなかった


…続く