ある女の子の物語

 

私の御爺ちゃんは人殺しなの と嘆く かわいい女の子が居ました。

 

周りの大人達も皆、そういう目で見ていました。

 

女の子は、私の家はみんなに悪いことしたから、ずっと反省しなきゃと

 

毎日のように考えていました。

 

両親は、何かある度に、となりの家や、遠い家からも、お金を催促され

 

いつもたくさんのお金を出していました。

 

私の家は、家具職人です。手先が器用なので、いろいろなモノを売って

 

生計を立てていました。だからお金はたくさんありました。

 

ある時、隣町の家に泥棒が入りました。自治体の人達は、自警団を組織

 

しようということで、みんなの家から、若い男を招集しました。

 

私の家にも、20歳になるお兄ちゃんが居ます。全国大会で2位の成績

 

をおさめた自慢のお兄ちゃんです。

 

でも、お父さんお母さんは、御爺ちゃんが人殺しの為もあってか、若いお兄ちゃん

 

は、出さないことになりました。周りの家の人達も渋々認めていました。

 

ある時、隣の家に遊びに行っている時に、本を見つけました。

 

その本は、私の家の御爺ちゃんは無罪だったということを書いた本でした。

 

本は分厚くて、いろいろなことが書いてありました。

 

他の家も、他人の家に入って人殺ししたこと

 

そして、家を乗っ取り、その家の人を働かせて、お金を貢がせていたこと

 

隣町や、そのずっと先の家からも、わざわざ来て人殺しをしていたこと

 

そいうったこともあり、私の家もいつ殺されるか分からない状況だったこと

 

その中で、御爺ちゃんは、元の家の持ち主に返そうと立ち上がったこと

 

そして、私の家の周りの家を、次々に取り戻していったこと

 

でも、結局敗れて、私の家も一時期、他の人に乗っ取られていたこと

 

つまり、自分達を守る為には、そうするしか方法がなかったことを

 

書いていました。

 

その後で、御爺ちゃんは裁判所に連れていかれて裁かれました。

 

敵対していた人達から裁かれました。

 

その裁判官の中に、いまこの家に居る持ち主の人も出席していました。

 

私は、涙があふれてきていました。

 

今まで、御爺ちゃんは悪いことばかりしていたと聞かされていたからです。

 

あの、お家では、優しかった御爺ちゃん。

 

友達とケンカをして帰ってきた時には、あめ玉をくれて、仲良くするんだよ

 

と、優しく微笑んでくれた御爺ちゃん

 

いつもあったかい眼差しで、優しく私を見守ってくれた御爺ちゃん。

 

ずっと今まで疑問だった…

 

あの優しい御爺ちゃんが人殺しをするなんて…

 

どうあっても信じられなかった。

 

私の中で、ストンと心に引っかかてた骨のようなものが

 

取れた感覚がありました。

 

御爺ちゃんは、あの優しい御爺ちゃんは、絶対に理由もなく

 

人を殺したりしない。

 

それは、そうでもしないと私達家族が殺される危険があったからなんだ。

 

御爺ちゃんは、私を身をもって守ってくれたんだ。

 

今までごめんなさい…

 

そんな御爺ちゃんを、信じきれなくて。

 

ちゃんと私が見た、御爺ちゃんを信じていれば良かったのに。

 

若い女の子は、勇気を取り戻しました。

 

今までは、自分に人殺しの血が流れているから

 

自分に自信などなかったのです。

 

むしろ、私も人を殺してしまうのではないか?

 

と、日々をビクビクしながら過ごしていたほどです。

 

それから、いろいろ我が家の過去を調べて、

 

いろんないい所も見つけました。

 

御爺ちゃんが人殺しだといわれている過去も調べました。

 

いろんなことを学んでいるうちに

 

女の子は、御爺ちゃんに感謝するようになりました。

 

体を張って、私達の家を守ってくれた御爺ちゃんを誇りに思いました。

 

そのたびに、この家に生まれてきて良かった。

 

今日、私がこんなに平和に過ごせるのは、

 

御爺ちゃんのお陰だと考えるようになりました。

 

それから女の子は、自分を卑下することなく

 

自分の家に誇りを持ち、健全に成長していきました。

 

おしまい。

 

この話は、家とは国のことです。

我が家は、日本のことです。

御爺ちゃんは、戦争で亡くなった方々です。

本を見つけた隣の家は、インドの国です。

お兄ちゃんは、自衛隊のことです。

そして、若い女の子は、今の日本の若者を表現しています。

 

私は、今の現状をこのように見ています。

違和感がある方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、今のままではダメなような気もします。

 

この女の子のように、人殺しの汚名を着せられたままで

健全に成長できるでしょうか?

 

この物語を知って、少しでも日本の過去に興味を持って頂いたら

私のささやかな望みは叶います。

 

何か意見、感想などありました、ご連絡下さい。

 

最後まで読んで頂いて、ありがとうございます。