映画/「全艦発進せよ!」 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道



1956年
アメリカ
監督:ジョゼフ・ペヴニィ
出演:ジェフ・チャンドラー、ジョージ・ネイダー、ジュリー・アダムス、レックス・バーカー

さて、ミッドウェイ海戦で惨敗した日本軍は数的優位を失い、次第に攻勢に転じたアメリカ軍との戦いは、日本軍が占領した南洋の島嶼部をめぐる攻防へと移行します。

これは、そうした戦いの中、マキン、クエゼリン、サイパン、グアム、そして沖縄と転戦していく強襲揚陸艦(LST)を描いた珍しい作品です。

新米ばかりの将兵が乗る新造艦に、歴戦の鬼艦長が赴任し、厳しい訓練と激しい実戦をくぐり抜けながら、部下を鍛え上げる。
軍人魂の賛美に終始したハリウッド製戦争映画のルーティンのような作品ですが、ルーティンにはルーティンの面白さがあります。

鬼艦長を屁とも思わない残飯処理係の水兵がコメディ・リリーフで出てきたりするあたり、やはり可笑しいですね。

また、紋切り型のストーリーですが、舞台が上陸用舟艇母艦というのはなかなかマニアックで、発進訓練のシーンなど、かなり興味深いです。
舟艇を早く送って早く回収するために、危険を冒して艦をギリギリまで島に接近させる艦長の判断など、細かいですがよくできてていますね。

クライマックスは沖縄上陸の際に受けるカミカゼ攻撃。
ここがこの作品の白眉で、かなり迫力があります。
突っ込む側の映画は多いですが、突っ込まれる側の恐怖感を描いた映画は珍しく、その点でもこの作品は特筆に値します。

しかしまあ今となっては、特攻機の波状攻撃を受けて死屍累々の甲板に、無名時代のクリント・イーストウッドが衛生兵役でチラッと登場するのが最大の見所でしょうか。