マンガ/小梅けいと「戦争は女の顔をしていない」 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道
KADOKAWA

2015年、ジャーナリストとして初めてノーベル文学賞を受賞した、スヴェトラーナ・アレクセイヴィチ。
彼女が取材した、第二次世界大戦時の独ソ戦に従軍した女性500人以上の証言を集めた原作を小梅けいとがマンガ化した。

現在Web連載中で、非常に評判となっている作品。
ようやく単行本が出たので早速購入。

期待どおり、というかそれ以上、想像を絶する内容に打ちのめされた。

第二次世界大戦で2700万人の犠牲者を出し(当時ソ連の総人口は1億9000万人)たソ連。
ソ連軍の特徴は女性兵士の存在で、彼女たちはみな志願兵であった。
これは社会主義の建前が男女平等であったことと、愛国主義教育が根本にある。

本作に登場する女性兵士も実に多岐にわたる。
洗濯兵(そういうものがあったことを初めて知った)、看護兵、狙撃兵、航空兵、歩兵など兵種も戦場も違う女性兵士の戦中、戦後の様々な証言。

マンガではそれらがモザイクのように次々と現れる。
まだこの後も無数の女性たちの従軍体験が描かれるのであろうが、最終的には巨大なモザイク画となって作品のテーマが立ち現れる予感を抱く。

とにかくディテールの細かい小梅けいとの絵は、戦場の空気をリアルに蘇らせる。
私たち日本人の知らない戦場が確かにそこに存在しているのだ。

まだ1巻を読んだだけで、生半可な感想が憚られるが、これはぜひとも女性に読んでいただきたい。

マンガ界では間違いなく「今年の1冊」になるでしょう。
マンガ読み、読書家共にマストな一冊。
こういうのが出版されるとは、まだまだマンガも捨てたもんじゃありません。
原作も読まねば。


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