読書/町山智浩「最も危険なアメリカ映画」 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道
集英社文庫

これは非常に刺激的で面白い本だった。

古今の様々なハリウッド映画を通じて、アメリカ社会の裏面をあぶり出してゆく、一種の「啓蒙書」

しかも読み終わる時には、我々が「裏面」だと思い込んでいる事物こそは、実はアメリカ社会の本音なのかもしれないということがわかる。

本文自体はオバマ政権時に書かれたものらしいが、ドナルド・トランプ大統領の登場を目のあたりにした現在の私には、「危険」などころか、ひたすら恐ろしく、不気味な本。

KKK(白人至上主義者)を英雄的に描いたグリフィスの「國民の創世」に始まり、大都市への戦略爆撃を提案するためにウォルト・ディズニーが私費で制作した「空軍力による勝利」

そして本書のひとつのテーマでもある「ポピュリズム」を論ずるため、キャプラの「群衆」やロッセンの「オール・ザ・キングスメン」カザンの「群衆の中の一つの顔」を紹介する。

そして最終的に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と「フォレスト・ガンプ」を並べ、ゼメキスの欺瞞性を厳しく看破するに至り、本書のもうひとつのテーマかである「人種差別」がはっきりと浮かびあがってくる。

「ポピュリズム」と「差別」は今や我が国でも、猛威をふるいつつあり、他人事ではない。
そういう意味で、本書がこのタイミングで文庫化されることは大変意義のあることだ。

出たばかりの文庫本なので、多分まだ本屋にあります。
映画マニアにもそうでない方にもオススメ!

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近未来。
遥か異国の地、天災と人災によって荒廃した東京。
差別と暴力の渦巻く汚れた街で、少年と少女は運命的に出逢う。
現代を生きるすべての人に捧げる、血染めのジュヴナイル。
「トッケイ-東京特殊警備保障-」をどうかよろしくお願いします!
m(_ _)m

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